【マリンフォードの港】
日が昇り丁度日が真上になった頃、マリンフォードの港にはディアノス聖とレオン聖がマリージョア行きの船に乗のろうとしていた。コング元帥、センゴク大将、中将20人はその光景を敬礼しながら見ていた。
「レオン。海軍本部のあるマリンフォードはどうじゃった?来た甲斐はあったかの?楽しめたかの?」
わしには船と海兵の訓練風景を見て、何が面白かったのかわからないが今の表情からするに、無駄ではなかったんじゃろうな。
「うん。すごく楽しかったよ。海兵はかっこいいね。訓練してる姿も一生懸命で人々を守る為には予想以上の努力が必要なことがわかったよ。海軍の船の構造や帆の張り方まで見ることができて凄く新鮮だったよ。ありがとうね!おじいちゃん!」
この3日間は本当に充実してた。ゼファーの家族も助けることができたし、なにより元帥、大将、中将20人の経験値と悪魔の実の吸収による能力向上は僕の予想を越えて凄まじかった。中将達の六式の訓練も見学することができた。マリージョアへ帰ったら、六式の鍛錬をしよう。使えて損はないからな。
「それは良かったの。わしも連れて来た甲斐があった。」
そうレオン聖とディアノス聖は会話をし、港に着いている天竜人専用の船に乗り込んでいった。その姿はまるで普通の孫と祖父そのものだった。海兵達は会話の内容に驚嘆し、船が出航してもその口をあんぐりと開け続けていた。しかし、当人達はその珍妙な光景に気づくことなくマリンフォードを後にした。
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マリンフォードの事件から4年の歳月が経った。
帰って来てからの僕の生活は鍛錬一色だった。帰って来てからわかったことだが、急激な覇気の成長により悪魔の実との技の兼ね合いの難易度が増していたので、コントロールするのに時間がかかってしまった。そして現在、僕は9歳になりった。体つきが四年前とは変わり、筋肉質になったが、細マッチョになったので服を脱がないとわからない。今日も庭で無心に刀を振る鍛錬をしている。もちろん刀と全身は武装色で覆っている。
「レオン様。その全身真っ黒けっけになるのやめてくださいっていつも言ってますよね!せっかく肌が白くて綺麗なのに勿体無いですよー。」
「だから、これは鍛錬のために仕方なくやってるって、いつも言ってるでしょ。それよりもカレンは使用人の仕事はもう終わったの?」
そういうと、メイド服を着た少女は頰を膨らませながら上目遣いで僕を睨め付けてくる。はっきり言って可愛い。」
「んにゃ‼︎か、かわいいにゃんてそんにゃ〜ダメですよぉ〜主人と使用人の危ない関係なんて!メッですよ!」
「あ、また声に出してた?」
「バリバリ出てました。それはそうと、屋敷の方からお爺様が物凄い速さでこっちに走って来てますよ?」
「えっ?ほん『レオン〜‼︎大変じゃ〜‼︎』…おじいちゃんの様子を見るこっちの方が大変だよ。」
おじいちゃんは僕とカレンの元まで来ると…
「大変なんじゃ‼︎」
「だからどうしたの?そんな息切れして。はい深呼吸。深呼吸。」
おじいちゃんは3回深呼吸すると。
「1週間後のシャボンディー諸島のオークションに自然系の悪魔の実2つが同時に出品されることになったらし『本当にじいちゃん‼︎⁇早く言ってよ‼︎カレンも急いで屋敷に戻って使用人達に僕たちが行くことを伝えて‼︎』…はっはっは、はぁ…わしはいつもレオンに振り回されているような気がするの。」
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〜1週間後 オークション当日〜
【シャボンディー諸島】
シャボンディー諸島。偉大なる航路の前半にある島だが、実際はヤルキマングローブと呼ばれる巨大な樹木の集合体だ。その樹木から出るシャボン玉によって、幻想的な光景が生み出される。その中を十数人の海兵達と天竜人2人が
オークション会場に向けて歩を進めていた。
「おじいちゃん。他にも天竜人が来てるみたいだね。街自体がピリピリしているよ。それに、僕たちも警戒されているみたいだし。」
まぁ、僕は今ペストマスクを被っているからそれも注目される理由だろうけど。
「それもそうじゃろうの。自然系の悪魔の実なんてなかなか世に出回らないというのにそれが2つもいきなり出るんじゃ。来ない方がおかしいの。」
それもそうか、自然系が2つも出るんだ。天竜人のコレクターはこぞって欲しがるだろうな。それはそうとやはり、街人々が僕たちを避けているな。ここまで来ると心が折れそうだ。…ん?100メートル前の天竜人に人形を取りに来た少女が当たったな。ありゃ、やばいやつだな!もう銃を構えやがった!
【100メートル先では】
「リナ!戻って来なさい!後で人形は買うから!!」
「リナお願いだから、早く戻って来て!はやくこっちに来なさい!」
「やだ!私はペコちゃんがいいの!他の…キャッ『リナ!‼︎』いったぁーい。えぇぇぇん。」
「下々民がボクちゃんの服に触れやがったえ‼︎しかも、うるさいえ。……カチャッ……はやくボクちゃんの前から消えろえ。…パン‼︎!『剃』…何するえ。ボクちゃんはチョルコフ聖だえ同じ天竜人のお前が何するえ。」
僕は右手に武装色を纏い、銃弾を握り潰す。そして、覇王色の覇気を少量出しながら問う。
「僕はディアノス=レオン。ディアノス聖だけど、僕に文句あるの?一介の天竜人風情が?ふざけるのも大概にしてね。君はオークションに用があるんだろ?」
「くっ…わかったえ‼︎ボクちゃんはオークションに用があるから下々民になど興味ないえ‼︎」
そういい。チョルコフ聖はオークション会場へと歩いていく。
「大丈夫だった?怖かったよね?」
少女は恐怖からか腰が抜けて動かないようなので、手を差し出す。
「ひっ‼︎‼︎」
ん?なんで怖がられるんだ?…あ、今ペストマスク被ってるんだった。そりゃ怖いよね。
「じゃあ、この右手を見ててね。1…2…3……ポン!」
ポン!と何かがはじけるような音がすると右手には薔薇や百合など多種多様な花が氷で些細な所まで綺麗に造形された花束が握られていた。これが四年の歳月をかけて鍛錬し続けた成果だ。所持している全ての能力は将来の大将達と同等またはそれ以上へと発展していた。
「はい。君にあげるよ。」
そして、少女に花束を渡すと。
「わぁ〜〜!すごく綺麗な花束‼︎ありがと‼︎」
満面の笑みでお礼をされた。なんか少しむず痒い。しかし、少女は動けないため。お姫様抱っこをして両親の元へと連れて行き渡す。
娘を無事渡された両親は涙を流しながら少女を強くもう離すまいと抱きしめる。
さて、オークションにむか「「「パチ…パチパチパチパチ」」」…え?なんで?
周りにいた人々は少女を救った天竜人に最初は小さかったが、徐々に大きくなっていきしばらくすると盛大な拍手を送っていた。しかし、ところどころで、「もっと、こういう天竜人がいれば…」といい涙を流す人、目の前の光景を信じることができないのか唖然とする人がいる。これが今の僕の一族が作ってしまった現状か。人を一人助けただけでこれほどの多くの人々が一人一人様々な表情をする。こんなのは、間違ってる。もっと、みんなが笑い合える筈だ。たとえ欺瞞と言われようとも、いずれ必ず変えてみせる。誰も気づくことはないが、密かに少年は心に刻み、遅れてきた祖父とオークション会場へと静かに歩み始める。
今回はここまで。