シャボンディー諸島のオークションの件から5ヶ月が過ぎた。あの後、少女を助けた件で珍しかったのかニュースクーが持って来た新聞に大々的に載ってしまった。まさか、見出しにまでなるとは……まぁ、顔が載らずにペストマスクが載ったからまだ良かったけど……今度から気をつけないと。でも、人は助ける。見えないように助けよう。
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さらに、2ヶ月後。マリージョアから20km離れた半径200m程の無人島では少年が1人、島の中央であぐらをかき、瞑想をしていた。しかし、もし誰かがその修行風景を見ていたとしたらその人物は驚愕し自分の目を疑うだろう。なぜなら島には木々が一本も生えてなく、動物も存在しない。そもそも、生命の気配を少年以外見られず、感じられないからだ。少年は瞑想が終わったのか、ゆっくりわと目を開けて立ち上がる。少年の左手にはいつの間にか取り出された刀が握られていた。少年は刀を腰に当てる。右手を刀の柄にそっと置く。置かれた瞬間、少年を中心に暴風が吹き荒れ砂が舞う。刀は衝撃波をつくり、衝撃波は海面に当たった瞬間30m程の水柱をつくる。
「ふっ〜。これぞ一刀入魂だね。半年前よりも抜刀術が上手くなったな。もう刀術に至ってはやることがないかな。」
んー。体術は最初にやったからもう十分だし…んんっ?海賊船だ。船か。大きいな…ん?なんかあの船怪しいぞ。帆は破れていて、船の所々に欠損が見える。あれでよく沈まないな……少し見に行ってみるか。…月歩‼︎…一応、姿は消して行くか。
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【海賊船にて】
透明になった少年は島から船まで空中を走り、静かに船に降り立つ。
「うっ…これ一体、どういう事だ‼︎何が起きたんだ⁉︎」
少年の目の前には30人ほどの海賊の死体が転がっていた。そして、全ての死体には綺麗な直径1m程の穴が空いていた。
「どういうことだ?海賊の宝の取り合いか?いや、こんな傷は人間ではつけられないか…!!!!ザシュ。…!!!!」
先程まで少年が立っていた床には直径1m程の穴あいていた。
この穴は‼︎これは死体の穴と同じ…‼︎
ガキン!!!
いきなり飛んで来たものをとっさに刀を取り出して弾く。
ん…⁇いったい何が飛んで来たんだ?
少年は渡りを見渡すが、弾いたものはどこかへと消えていた。少年は見聞色の覇気で半径500mの球状の円をつくり弾いたものを探す。
…いたっ!上か!……‼︎
そして、少年の上、20m上空には3m程のカジキの形状をした魚が20匹いた。しかし、背中からは二体の翼が生えていえてそれを使い飛んでいた。
そして、魚たちは少年に鋭利な嘴を向け突進して来た。その速度は150キロほど。少年は刀を使い敵を斬り捨てようとするが…
ーーガキン‼︎
「くそっ!武装色の覇気が使えるのか‼︎こいつらは一体…とにかく、これだと船がもたないよ。空中で戦うしかないか。それに、新技も試したいからね。…氷の階段(アイスステア)」
少年が片足を踏み出すと六角形の氷の板が足下に造られ少年は階段を上がるかのように上空へと向かって行く。少年の顔には笑みが浮かんでいた。
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【上空にて】
20匹の魚達は羽を使い飛んでいる。そして、その反対には少年が氷の板の上に立っていた。
「よし、武装色の硬化‼︎
少年の刀は黒く染まり漆黒になる。そして、雷を纏う。
「よし、斬れ味がさらに2倍になったな。これなら余裕を持って斬れる。…行くぞ…刀技
少年の身体は光になり、光速で魚達の間を移動する。少年が移動した後には一筋の光が現れ。魚達は斬られたことにも気付かずに元の場所にいる。刀を鞘にしまう音が鳴ると身体から血が吹き出し絶命する。
「悪魔の実の同時使用には慣れてきたな。それよりこの船はどうしよう?死体だけでも埋葬するか。」
少年はそう言うと死体を埋葬するため船に戻る。
「ふぅ。これで全部の死体を集めれたかな。それにしても、相変わらず死体の匂いが酷いね。鼻がひんまがりそうだよ。あ、船内を探してなかった。もう少しだし、耐えられそうかな。」
船内に向かう為のドアを開けリビングへ向かう。
リビングに入ると海賊達は宴をしようとしていたのか、テーブルや床には大皿に盛られた料理が並んでいる。もちろん全て腐っている。
「鍛錬後だからお腹が減ってきちゃった。でも全て腐っているからなー。ある意味生き地獄だね……んんっ?あれは……」
テーブルの真ん中には見せつけるようにエメラルド色の不思議な模様の実が皿に盛り付けてある。
「……うーん。これって悪魔の実だよなぁ。これを見つけた宴をしようとしていたのか。ってか、エメラルドってどんな実だよ。検討もつかないや。僕は実の能力と名前を知らないと使えないしなぁ。とりあえず、収納して置いて調べてから吸収しよう。早く埋葬してあげないと可哀想だ。」
僕はなるべく早く船内にもあった死体も集めて、鍛錬していた島に墓を建てる。
「よし。そろそろ家に帰らないと、カレンに叱られる‼︎」
僕は急いでマリージョアにある自分の家へと走る。
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【マリージョアの家にて】
ーーガチャッ。
「ただいまー。」
「レオン様遅い‼︎お爺様はもう席について朝食を食べてますよ!」
「ごめん。ごめん。今行くから先に朝食の準備をしてて。」
「わかりました。ちなみに早く来ないと……わかってますよね?」
「は、はい!わかってますから、足を踏みつけないで!痛いから!」
カレンが足をどかしたところで、全力で部屋まで走る。廊下は走るなって?そんなのカレンの前じゃ無意味になっちゃうんだ。昔は後ろによくついてきて可愛かったのに……部屋に入ると、シャワーを浴びて着替え、急いでリビングに向かう。
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【リビングにて】
ーーガチャッ。
「おじいちゃん!おはよ!」
「おはよう。レオンは朝から元気じゃの。ところで、朝の鍛錬で何かあったのかい?」
「うん。さすが、じいちゃん。言わなくてもわかっちゃうんだ。」
僕は朝起きたことを全て話した。
「そんなことがあったのか。うーん……そうじゃ。レオン。お主オハラへ行ってみんか?」
「オハラって、あの全知の樹があるところ?」
「そうじゃ。あの島は知識の宝庫。レオンが知らないことがたくさんあるぞ。まぁ、ここから一カ月ほどかかるんじゃがの。」
「僕が行っても護衛とかが邪魔にならない?」
「護衛なんぞつけなくても良い。わしら一族は基本外へ出ないからの。どうせ、ばれん。それに、わしも昔、ここを1人で飛び出しておったからの。オハラには旧友がおる。頭がクローバーの形じゃからすぐわかる。そいつに手紙を書いておくから、渡していてくれ」
「わかった。一年間ぐらいの滞在になっちゃうかもしれないね。オハラは本が多いって聞くし、おじいちゃんは来ないの?」
「それぐらいになるじゃろうな。わしはもう歳じゃ。船旅はキツイ。それに1ヶ月も乗るのはめんどくさいんじゃよ。」
「わかった。最後のが本当の理由だよね。一年間ぐらいしたら戻ってくるから。あと、電伝虫を持って行くから何かあったら伝えてね。」
「了解じゃ。それじゃあ、わしは使用人達に用意させるように言ってくるからの。おそらく2日後に出航じゃな。」
「わかった。朝ごはん食べ終わったら僕も用意し始めるから、よろしくね。」
そして、おじいちゃんは先に席から立ち上がり、部屋を出て使用人達の元へと歩いて行った。
「……オハラか。……あそこなら僕の知らないことがたくさんある。……それにバスターコールの事も伝えないといけない。オリビアとロビンを助けてあげたいな。……よし!出航の準備をしよう!それにしても、1ヶ月は流石に長いな。…絶対にオハラは地図から消滅させない‼︎」
2日後に僕はマリージョアからオハラ行きの船にスケスケの実を使い乗り込んで、オハラへと向かった。