スパロボ転生R(リファイン)   作:7誌

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取りあえず形になったので投稿。
おそらく皆さんが予想してる事をやります。


50~?周目

 最初に言っておくべき事がある。

 俺はどこぞのテロリストや傭兵、バラルの腐れ仙道の様に無駄に犠牲を出すのが好きな訳ではない。

 活動資金を稼ぐ過程で邪魔者の蹴落としや恐喝、不法入国にその他諸々と山ほどやってるので説得力は微塵もないが、これでも最低限に抑えているつもりである。

 

 話が逸れた。

 俺の目的である「孫光龍への復讐」。

 これを果たす為には奴等が乗り込んでいる霊亀皇の森羅万象甲をどうにかしなければならない。

 超機人最強の盾にして最強の矛というのは伊達ではない。

 遮断、吸収、消失、反射の能力を能力を併せ持つ、億を超える光膜の群れを突破するにはどうすればいいのか?

 繰り返す人生の中で俺は考えた。もう、頭から煙が出るくらい考えた。

 

 色々と考えて試行錯誤を繰り返し、失敗を繰り返す事幾星霜。

 その果てに、俺は一つの活路を見出した。

 

 霊亀皇の森羅万象甲は最強だ。

 遮断・吸収・消失・反射の能力をもった光膜は龍虎王の破山剣でも破壊する事は出来ず、寧ろ攻撃した破山剣が削り取られるほどで、しかも搭乗者の意思で自在に光膜を操作まで出来るのだからチートもいい所である。

 だが破壊出来ない訳ではない。森羅万象甲の限界以上の攻撃をぶつける事が出来れば破る事も可能だ。

 

 そして俺は知っている。俺が破れずとも、それを破ってくれる者達が存在している事を。

 

 ならば俺がやるべき事は一つ。

 最高にして最低のタイミングを見計らい、戦場に特大の花火を撃ち込む。

 ただそれだけである。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「さて、どうしたものかな……」

 

 孫光龍は現状を分析する。

 

 四機の鋼機人と母艦である魁龍、これらを取り込み五鋼合体を果たした龍虎王の一撃。

 その威力は凄まじく森羅万象甲でも防ぎきる事は出来ず、徐々に亀裂が生じてきている。

 「バラルの門」と五鋼合体魁龍虎王という、最硬の障壁と最強の剣に挟まれた霊亀皇。軋みを上げる森羅万象甲は誰の目から見ても限界を越えようとしている。このままいけば近いうちに破られるだろう。

 

 己の悲願を叶える為にもバラルの門をこじ開ける霊亀皇()を失う訳にはいかず、この後に来るであろう戦乱を考えれば龍虎王()を失うのも惜しい。

 どちらを選ぶべきか考え、そして

 

「――最強の剣ゆえにへし折りたくなかったんだけどね」

 

 ため息交じりの言葉と共に、孫光龍は❝剣❝を諦める事を選択した。

 

「消し飛んでもらおうか! この森羅万象砲でね!!」

 

 孫光龍の意思に従い、霊亀皇の口に光が灯る。

 霊亀皇の主砲である森羅万象砲。

 龍虎王との戦闘によって真の姿を取り戻した霊亀皇が放つこれならば、攻撃する事に気を取られている龍虎王を消し飛ばすことも可能だろう。

 

『────』

 

 その一方で、それに最初に気付いたのは、バラルの門の向こうにいる❞彼女❝だった。

 

『────ッ!』

 

 しかし、いち早く気付いてもどうすることも出来なかった。

 

 荒れ狂う戦場に浮かぶ影は三つ。

 砲撃を放とうとする霊亀皇の巨大な影。

 霊亀皇を討つべく剣となった魁龍を振り下ろす龍虎王の影。

 そして、海中より飛び出した巨人の影。

 

 血の様に朱い槍と魚を模した妖機人を携えた巨人が、霊亀皇の背後に浮かんでいた。

 煮え滾るほどの憎しみを隠しぬいて霊亀皇の背をとった巨人は、槍に刺さっていた白い肉塊を、霊亀皇目掛けて投げ捨てた。

 

「くたばれ孫光龍」

■■、■■■■■■(いや、お前も死ねよ)

 

 霊亀皇へと飛来する肉塊。

 南極から運び出す為、徹底的に削られもはや肉塊としか呼べなくなったそれ。

 仮死状態に留めていた真紅の槍、()()()()()()()から解き放たれた第一使徒(アダム)が、極限の苦痛を伴い覚醒する。

 

 そして、全ては光に飲まれた。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 その刹那。

 全てが光に飲まれていく刹那に、奇妙なユメを見た。

 

 男は何もない場所を歩いていた。

 一面が白に埋め尽くされた世界。見渡す限り、上下も前後ろも右左も、とにかく真っ白。いや、そもそも方向の概念すらあるのかも分からない。

 その白い世界の中に、一本の道が通っていた。

 何処までも続くような、黒い道。

 その道を歩き始めてどれ程の時間が過ぎたのだろうか。

 

 この道を歩き続ける中、男はいろいろなものと出会った。

 いつかどこかで見た気がする、同じ顔同じ声をした、同じに見えてやっぱり違う大勢の人たち。

 自分を見た瞬間に急いで逃げ出す変な魚と大きい人形。

 見てるだけで異常にムカつく、巨漢の変態と白い服を着た優男。

 

 時にはその人たちと語らい、時にはムカつく連中に石やら犬の糞を投げつけたりしつつ、男は道を歩き続けた。

 

 そうやって歩き続ける中、それは突如として現れた。

 

「やぁやぁ。漸く見つけたよ。手違いがあったとはいえ、ここまでやらかすとは思わなかったよ」

 

 それは人間だった。見た目は黒い甲冑にマントを羽織った、絵にかいたような不審人物。

 見るからに怪しいというのに、男はそれを観て、懐かしいなとだけ思った。

 

 

「……あんた、俺と会ったことない?」

「いやーゴメンゴメン。うっかり送る時間軸を間違えてしまってね。プレゼントも送るの忘れてたし、探しに来たんだよ」

「おーい?」

「しかし驚いたよ。特殊な環境に居たとはいえ、ただの凡人がここまで変わるとはねぇ。いやはや、やっぱり人間の可能性って奴は馬鹿には出来ない…っと、話が逸れたね。会った事ならあるよ。君の体感時間で……大体千年くらい前にね」

「千年前?」

「そうそう。じゃあ、さっさと君が行くはずだった時代に行くとしようか」

 

 そう言って、不審者は男を引きずって、道を逸れて歩き出す。

 男は特に抵抗することなく、黙って引きずられていく。

 それから歩き続ける事数時間、驚くほどの短時間で二人は目的地へと到着した。

 

 白い世界にポツンと浮かぶ、扉のような物体。

 不審者は言う。

 これを通って目的地へと行くのだと。

 へーと相槌をうちつつ、気になる事があったので、男は不審者へと問うてみた。

 

「なあ、俺が行くはずだった場所ってどんな所?」

 

 投げられた問いに、不審者は笑って答えた。

 

「そりゃあ勿論、刺激に満ち溢れたワンダフル・ワールドさっ!!」

 

 それじゃあ御開帳! という、不審者の愉し気な声と共に扉が光を放つ。

 そして扉が開いて、光が溢れるその向こうへと一歩踏み出し────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、向こう行く前に一発殴ってもいい? 何となく殴らなきゃいけない気がするんだわ」

「え、やだよ?」




アダム「身体痛いんでインパクトします」

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