さらばハナダシティ。次来るのは、もっと強くなってからだな。
カスミとはバトル出来なかったが、今やりあう必要ねーんだよな。出来たらいいねって話で。出来たら、ね。
まあスターミーに勝てる要素が皆無だから、逃げるようなもんだが。対抗手段がないんだもんよ。
いやぁ、見ちゃったんだよね、カスミのバトル。挑戦者の少女を圧倒してた。
どうやってハナダジムに入ったのかって? 自動ドアだからね、あのジム。
使用ポケモンは二体。女の子が使ってたポケモンは、ウツドンとコイルだ。なるほどタイプ相性は悪くない。ポケモンの士気も高かったし、俺が見た感じでは「勝てるんじゃね?」と思わせた。
が。カスミが一体目から出してきたスターミーが、やばいくらい強かった。
まずさあ。浮いてるんだぜ、あの合体ヒトデ。
飛行タイプや特性「ふゆう」でもないのに浮くって、反則だろ。特殊技が主力だから近づいてこないだろうし、その時点でハンデありまくりだが、単純な強さも当然たっっっかい。
まず素早さ。なにあれUFO? 空中で自由に動きすぎだろ。
さすがにずっと浮いてるって事はないと思いたいんだが、挑戦者が倒されるの早すぎたのかポケモンを入れ替えた時ぐらいしか降りてこなかった。
そして耐久力。ウツドンやコイルのタイプ一致技を受けてもダウンしなかった。少なからずダメージはあったみたいだが、倒れるほどじゃない。
トドメに、技の威力と多様性。使ってた攻撃技は、確認した限りは「サイコキネシス」「バブルこうせん」「れいとうビーム」だ。
半ガチ仕様じゃねーか! どれを喰らっても死ねる自信がある。
つーか最大の難点は変化技よな。「じこさいせい」は使われるとマジ辛い。女の子、半泣きになってたぞ。無理ゲーにも程がある。
こいつは勝てんって事で、退散してきたのだ。竹槍で戦闘機を落とせるか? 答えはノーだ。
あの化け物とまともな勝負をしようってんなら、最低限こちらも非接触技を使えなければならん。向こうが接近してこないのだから、必然そうなるわけだ。
うーむ、あのスターミーの対抗策かぁ。あるにはあるんだよね、一応。
主な策は「10まんボルト」などの電気技、「ふいうち」による奇襲、「ちょうはつ」での変化技阻止。
しかーし、これらの策は技を覚えてるっていう前提なんだよな。
「ふいうち」はタマゴ技だから、習得するのは絶望的。
「ちょうはつ」はどうだろう。これからのバトルで相手を煽りまくってたら覚えるかも。
いやダメだあああ。「ちょうはつ」はニドキングに進化しないと覚えられない。ぐおおお、ここでも進化というワードが俺に立ちふさがる!
いいかげん進化したいな。どうしてニドリーノになれないんだ。誰かがBボタン連打してんじゃないか? 誰かって誰だよ、ほんと。
残る手段、「10まんボルト」。
これが一番現実的だなぁ。ニドランでも覚えられるし、威力命中共に優秀。
何より、ポケモンでもトップクラスの知名度を誇る技ってのがグッド。是が非でもモノにしたい。
最悪レベル差によるゴリ押しってのもあるが、どんだけ鍛えりゃいいのかわからん。
「つのドリル」を覚えるくらいならいけるかもしれんが、それなら何も考えず「つのドリル」連発すりゃいい話である。当たるまで何発でも。
それはつまらんか。「つのドリル」、覚えても封印するかな。通常のバトルでは頼らないようにしよう。
とにかく、そんなこんなで「10まんボルト」が必要だ。なら、向かう場所は決まっている。
クチバシティ、クチバジム。そこのリーダー、マチス。
奴のポケモンなら「10まんボルト」を使えるだろう。何がなんでもマチスと勝負して、コツを掴ませてもらうぜ。
でも、そうなったらまたあのゾクゾクマゾ実験をしなきゃならんのか。他の手があればいいんだが、思いつかないんだよなぁ。
ぐぐぐ、今回はかなりの難題だぞ。まず、あの用心深い性格のマチスに勝負してもらわなきゃならん。
上手く勝負に漕ぎつけたら、今度は奴の手持ちから「10まんボルト」を使えるポケモンを引きずり出さなきゃいかん。ライチュウとかな。
で、その「10まんボルト」を何回も受けて、体内に電力を生み出すコツを掴む…って。
うわぁ、無理くさ。不可能だろこれ。
が、まるで勝ち目のないスターミーに挑むよりかは、まだやれる気がするぞ。
とにかくやってみますかね。まずはクチバに着かなきゃならんな。
クチバへの道中、何度か野生のポケモンとバトルする。ニャースやアーボ、サンドと戦った。
ニャースは「ひっかく」してきたが、あのパラセクトの鋏に比べたら玩具の爪も同然である。真向から受け止めたら「どくのとげ」が発動、泡吹いてひっくり返った。
アーボは取っ組み合い。目が合った瞬間、脱力感を感じたので「いかく」持ちであろう。
まあそれでもこっちの方が力が上だったので、「まきつく」を引きはがして尻尾を咥え、振り回して地面に叩き付けた。
サンドは「あなをほる」をしてきた。地面タイプの「あなをほる」は振動を感じられないので厄介なんだが、岩の上に避難することでやり過ごす。「あれ??」てな具合に地面から頭を出したサンドに容赦なく「つのでつく」。卑怯とは言うまいね。
ほぼノーダメージでやり過ごした。順調に強くなってるぞ。良きかな良きかな。
野生のポケモンなら、そうそう負けはしないレベルになってきたな。それでも、タケシのイワークやカスミのスターミーには及ばんけど。
さらに数回バトルし、日が暮れたので適当な木の根元を掘って寝床とする。この穴掘りにも慣れたもんだ。
朝まで眠り、日の出と共に起床。健康的な目覚めで良い気分。
で、久々の技チェック。
そろそろ「どくづき」覚えてくれないかな~なんて期待しつつリストを頭に思い浮かべる。
すると、二つの新技を会得していた。その二つってのが、
「どくづき」
「あなをほる」
…………。
ん?
なんか、違うの覚えてる。
苦労しておつきみ山を越えたと思ったら、金玉橋前のライバルにボコられる。
じゃあ先にジムだ! と突撃したら、「バブルこうせん」に消し飛ばされる。
一番最初のポケモンの記憶。思い出すものですね