短編で短いです。さわりしか書いてないのでこれから続きを書くかどうかも分かりません。
漫画の読み切りみたいな感覚です
短いのはご愛敬、続くかどうかも分かりません
あいかわらず最初に説明文のような書き方、後半になるにつれて短くなる描写
どうにかうまく書けないものか
フランドール・スカーレットには狂気が潜んでいる、これは彼女の実姉であるレミリア・スカーレットの言葉だ。フランには『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』があり、文字通り目があればなんでも破壊できるという驚異的な能力を持っている。その能力故かフランは多くのものを破壊してきた。玩具、家畜、植物、そして人間や同胞である吸血鬼、そして実の母親さえも。それは生まれたばかりのフランが能力の使い方も分からずにやってしまった事故なのだが、その事実は周りに非難されるものとなった。
そしてレミリアは上記をフランに押し付け、人前に出ることを禁じ、地下深くに幽閉させた。その本意は、これ以上フランが何か事を起こすと、必ず周りがフランを消そうと動くだろうと思い、周りから庇うためのもので、その狂気をコントロールできるようになれば地下から解放するつもりであった。
しかし、そんな想いはフランには届かない。フランはなぜ姉は自分を閉じ込めるのか、なぜ仲間外れにするのか分からなかった。顔を合わせるのは食事を運んでくるときと、時々本や玩具をくれるときだけ。それもほんの一瞬だけ顔を覗かせたら行ってしまう。
レミリアの気持ちとは逆に、フランはより物を破壊するようになった。持ってきた食事を、与えられた玩具を、新しい従者も、全て破壊した。そうやって騒ぎを起こすことで、もっと姉に構ってほしいという意味を添えて。しかしそれはレミリアには伝わらず、より狂気が悪化したと思わせ、制限はより厳しいものとなった。
すれ違いが、小さかった亀裂を、徐々に大きくしていく。
そんなフランに転機が訪れた。
それは以前から計画されていた、幻想郷を我が手に収めようとする、レミリアが起こす異変。フランを除き、紅魔館に住まう住民全員で行った異変の途中のことだ。一人、まだ幼さを残す顔立ちの青年がフランが幽閉されていた地下室へと足を踏み入れた。
「あなたはだぁれ?」
そんな言葉を投げかけたが、もうフランに興味はなかった。また姉の差し金で呼ばれた生贄だろうと思った。それをどうにかしても、皆は何も変わらないし、してくれない。視線を送るだけの死んだ目で青年を見た。
青年は「君は誰? なんでこんなところにいるの?」と、質問に質問で返す失礼な態度を取ったが、フランは投げやりにその質問に答えた。
自分には狂気があること、なんでも壊す能力があること、そのせいで皆から嫌われていること、一人は寂しいこと、色んな想いをぶちまけた。話したところで何も変わることはないのに、どうでもいいやとすべて話した。
「ふーん。……じゃあその狂気、僕がなくしてあげようか? そうしたら君のお姉さんも、君のことを好きになるかもしれないよ?」
フランの目に、光が戻る。
「そんなこと……できるの?」
「さぁ、やったことないし分からないけど、それでも可能性があるならやってみないかい?」
「……うん」
できなくて今まで通り、できたら良い。ならどれだけ低い可能性かしらないが、フランにはその誘いに乗る以外の選択肢はなかった。
青年の手が、フランの顔へと伸びていき、触れるかと思うぎりぎりまで近づいたとき
フランの視界は、真っ暗になった。
「これで君の能力はなくなったよ。『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』? 目を集める? なるほど流石に恐ろしい能力だね。
でも視力がなくなったら何も見えないし目も集められないよね」
「え……え、え、え?」
すてん、とフランの体が転ぶ。目を開いているのに何も見えないなんて体験は初めてなのだから当然だ。なんとか立ち上がって歩こうとするも、何かに躓いて転んでしまう。体の感覚でなんとか平衡感覚はどうにかなっているが、これでは歩くことすらままない。感じるのは、立っているという感覚と、カチカチと鳴る時計の音だけ。それ以外は何もわからない。
「ひっ!」
暗い世界が怖い。何も見えないという感覚が、どんどん冷静さを失わせていき、他の感覚までも奪っていく。何も見えない、何も聞こえない、何も感じない。闇の中に独り取り残されたかのような感覚に、フランは恐怖を抱いた。
怖い、怖い、怖い。誰か助けて!
そんなフランの手が握られる。
「ごめんごめん。いきなりそうなったら怖いよね」
「ぁ……あぅぅ」
闇の中から見つけたその温もりは、フランの心の支えとなる。それを逃すまいと必死にしがみ付く。
「さぁ行こうか。君のお姉さんのところへ」
「……うん、お兄様」
深く、大きくなった亀裂は埋められた。
その埋められたものに、フランは染まってしまった。