個性『桃球』   作:猫好き

46 / 53
お待たせしました。緑谷視点の決勝戦第1試合目です。

芦戸さんがかなり強キャラ化してます。また、オリジナルキャラ+設定が入ってます。ご了承ください。


雄英体育祭決勝戦①

ついに僕はここまで来た。無個性だった僕が自分が憧れた舞台に立つ事が出来る。去年まではただ憧れ立つ事を夢に見ていたが、いざそれが目の前にあるとなると心臓が飛び出しそうになる。

 

僕の対戦相手は芦戸さん。『酸』と言う強力で万能個性で近距離が主の僕には少し不利な相手と言える。だが、作戦が無い訳ではない。

 

開始直後にワン・フォー・オール ファーストリミット(常時許容上限10 %で体に張り巡らせた状態。)で場外持ち込むのが理想。

 

「やあ緑谷少年。」

 

「お、オールマイト!な、何故ここに!」

 

競技場に行く間に僕は僕に個性を与えた恩人でもあり、目指すべき目標でもあるNo.1ヒーローオールマイトだった。

 

「驚かせて済まないね。仕事の関係で昨日は来られなかったけどテレビで見たぞ。まだまだ荒削りだが、上手い事個性を使いこなせているじゃないか。」

 

「いえいえ、そんな…個性を使うという事に意識し過ぎていた事を教えてくれた八月さんや、無個性でも戦うコツや体の鍛え方を教えてくれたケンさんのお陰です。今この場に立っているのも今はライバルの皆んなのおかげです。」

 

「そんな事はないさ。現に2種目共1位と言う結果を残せているじゃないか!おっとそろそろ試合が始まるのではないか?」

 

「‼︎い、行ってきます!」

 

選手ゲート近くに行くと八月さんの姿があった。

 

「緑谷君無茶はしないでよ。治すのは私なんだから…」

 

「ははは。善処するよ。」

 

『は〜い。皆さんお待たせいたしましたこれより雄英体育祭2日目を開始します。司会は相澤先生に変わり、九尾ちゃんとプレゼントマイクがお伝えするわ。』

 

『それじゃ早速第1試合を始めるぜ!』

 

僕は今憧れの舞台に立ち、対戦相手の芦戸さんと対峙する。

 

「緑谷負けないからね。」

 

「勝たせてもらうよ芦戸さん。」

 

『レディーファイト‼︎』

 

開始と同時にワン・フォー・オール フルガウル状態で芦戸さんに近づくが芦戸さんは冷静に酸を飛ばして牽制してきた。それを交わしながら近距離まで近づく…

 

「緑谷速すぎだって‼︎」

 

芦戸さんが余裕ない声が聞こえたが油断はしない。ケンさんの所で学んだ事は何も戦い方だけじゃない。こう言うルールが決められている中での戦いで大事な事は最後まで油断しない事。

 

この決勝戦では相手を外に出すまで油断してはいけない。

 

「ファーストリミット解除!」

 

だからこそリミットを1つ解除して、タックルで場外に飛ばしたのだが、ここで僕は1つ誤算をしていた。芦戸さんがただ僕に牽制だけをしていたなんて甘い考えをしていたのだ。

 

「うわ!」

 

「かかったね緑谷!そのまま場外にご案内!」

 

芦戸さんはコンクリートの地面を酸で溶かし、まるで油を撒いたように滑る地面を作っていたのだ。そこにスピードがついている物体が来るとどうなるか?

 

答えはそのスピードのまま滑る。慌ててブレーキを踏んだけど間に合わず酸で出来た道に入り込んでしまった。そのまま場外に行く前に咄嗟に地面を殴り、穴をあける事でそのまま場外という事はなかったが、一歩間違えれば場外になっていてもおかしくなかっただろう。

 

「流石緑谷!でも私は勝たなきゃいけない理由があるから勝たせて貰うよ!」

 

芦戸さんが僕に向かって個性を使わず拳で向かってきた。普通の人ならばそれほど脅威でもないが、僕は直感を信じ転がるように避ける。

 

芦戸さんの拳が当たったコンクリートが少し凹んでいるように見えた。拳だけ酸の個性を纏わせたという事に気付くのは容易に想像出来た。

 

近距離での攻撃は不利と見て次の行動に出る。近距離が駄目でも僕にはもう1つ手がある。

 

「スマーシュ‼︎」

 

それは、個性によって発生する風を使って相手を場外に押し出すという何とも卑怯な戦法。だが、僕にはこの方法でしか勝ち筋が見えなかった。

 

それ程に芦戸さんは強かった。そして…

 

「芦戸さん場外!緑谷君2回戦進出!」

 

僕の生み出した暴風に耐え切れず芦戸さんは場外に出てしまった。芦戸さんの表情はかなり悔しそうな顔で現実を受け止めていた。

 

「ごめん芦戸さん!こんな方法でしか勝てる気がしなくて…その…」

 

「いいて!いいて!最初で場外に押し出せなかったウチの実力不足だし…」

 

試合には勝ったが、僕には芦戸さんにかける言葉が見つからないでいた。

 

……-

 

「三奈お疲れ。…泣いているのか?」

 

「だって…折角お兄ちゃんに手伝って貰ったのにこんな結果しか出せなかった。…ウチはヒーローに向いてないのかな…」

 

緑谷にはああいったけど悔しかった。ただ単に悔しかった。あの時ああしていば…なんて後になって思いついても後の祭り、時を戻す事なんてそういった個性でもない限り不可能だ。

 

「それは違うよ三奈。お兄ちゃんはヒーローになる事を諦めちゃった人間だからね。でも三奈は違う。お兄ちゃんの分も優しくて元気を与えてくれるヒーローになる為に頑張って来たんだ。例え世間が認めなくてもお兄ちゃんは三奈の頑張りを認めるからな。」

 

お兄ちゃんの優しい言葉に我慢していた涙が溢れ出し、お兄ちゃんの胸で声をあげて泣いてしまった。私はヒーローになれなかったお兄ちゃんの分もヒーローになるんだ!




芦戸さんがお馬鹿キャラじゃなくなっているような気がするけど気にしないでね。ちなみに、芦戸さんのお兄さんは同じ遊英高校に入学するも、相澤先生に除斥された過去を持っています。(オリジナルキャラクター+オリジナル設定)

次回は麗日さん視点かな…

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。