個性『桃球』   作:猫好き

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デート?回です。書いてデートらしいイチャイチャが作者には書けない事が判明しました。恋愛もした事がない作者にイチャイチャなんて書けなかったんや。




デート②

「切島君…硬いのは…個性だけじゃなかったんだね…」

 

「仕方ねぇだろ?…俺も最近は…忙しくてやってなかったんだから!」

 

パンを食べ終わった私達は商店街を抜けた所にある公園に来ていた。広さはそれほど無いけど、週末でもある今日は子供の遊び場になっている。

 

え?私達は何をしているかって?簡単なストレッチだけど?食べた後すぐ動くのは消化が悪くなるとか聞いたことがあるけど、1週間後には遊英体育祭が近づいてきている。

 

私のパロラマの中でも良かったけど、土日、遊英体育祭近くということもあってか多くの人が利用している。私があちらに行けばアドバイスを求める人達で溢れることも考え、こうして公園で運動しながらアドバイスをすることにしたのだ。

 

「じゃあ次は軽く走るよ。」

 

「頼んでおいて質問するのもあれだけどよ。こんなことで強くなるのか?」

 

「準備運動をしっかりしてからが本番だからね。走っている間に自分の個性を客観的に見てどんな個性なのかを言っていくの。長所や短所、強みや弱点。今の自分に何が足りなくてどうすればいいのか。それを私に発表しながら走る事で君の弱点『考えながら戦う』事になるよね?フォームが崩れたり上手いこと言えなかったら、走る回数を追加していくから頑張ってね。」

 

私のこのメニューは楽そうに見えるが実はそうでも無い。いや、あれは私だったから辛かったのかもしれない。

 

「俺の個性は『硬化』。体の一部又は全身を固くする事が出来る個性。」

 

説明が始まったと同時にUターンして走りだす。切島君は一歩遅れて後に付いてくる。

 

「メリットはある程度の攻撃の無効化と、攻撃力のアップ。デメリットは遠距離攻撃がない事と、全身を固くした際は特に集中、体力が尽きると個性が切れる事。」

 

話している間にスピードを緩めたり早めたりする。そして急に止まったり歩いたりする。すると人というのはどうしたらいいか分からなくなり、ペースが崩れたりフォームが崩れたりする。

 

「切島君スピードが変わってから、正しいフォームになってないよ。もう1回最初から始め!」

 

「マジかよ!えーと俺の個性は『硬化』。体の一部又は全身を固くする事が出来る個性。」

 

そう。この訓練は速さが変わっても何が起きてもそれに合わせて動き、いつもと同じ動きが出来るのかを試す訓練。私もこの訓練を良くやったな…

 

私の場合は個性の関係上1日中走り続けた事もあった。多分今この訓練をしてもそれくらいかかると思う。(個性が多すぎて)さて、切島君はいつクリアする事が出来るのかな?

 

〜30分後〜

 

「ちゃんと自分の長所と短所言えたね。じゃあ次はその短所を克服していくよ。」

 

「…おう。」

 

少し疲れているみたいだけどクリアしたね。だけど休んでいる暇はないよ。切島君の弱点は体力と集中が切れる事で個性が使えなくなる事。

 

つまり持久戦に弱い。青山君とかスナイプ先生みたいに遠距離から攻撃できるヴィランや、鉄晢君やセメントスのように同じ守りが強いヴィラン相手には不利になる。

 

だからこれからやるのは…

 

「私も後ろを走るから一定のスピードで走り続ける訓練ね。」

 

「桃もゴエモンさんからこの訓練を受けた事があるのか?」

 

「…あるよ。私の個性ってさ、色んな事が出来るからそれぞれの個性について言っていくのはきつかったよ。何せ最初の時点で10種類程見つかっていたからね。今は…500種類くらい?今でも増えてるから正確な数字は分からないかな。そんな事より走る。ベースが乱れてきたら目標を増やすからね。」

 

「お、おう。走り切ってやるぜ!」

 

〜1時間後〜

 

「はぁはぁ。思っていたより…きついな…これ…」

 

「何処かの専門家が言っていたけど人って目標となるゴールがないと、余計に疲れるらしいよ。」

 

「そういう桃は余裕そうだな。」

 

「まあね。1日中走ってたあの時に比べたらましだよ。」

 

個性についてまだ分かってなかったあの頃は日々新たな個性が増えていった地獄だった気がする。昔を思い出した今でも1番辛かった思い出になっている。

 

あれ?私ヴィランの時より辛い思い出があるとはこれいかに…

 

「俺は体育祭で桃に挑戦する!そして桃に勝つ!」

 

「突然だね。まあ良いよ。もし私が負けたら君の言う事1つだけ何でも叶えてあげる。」

 

唐突な私への挑戦状。前後と繋がっていないが切島君なりの覚悟がそこに見えた。だから私もそれに答えて言葉を返す。

 

「ああ。俺が負けたら丸刈りになってやる。」

 

「切島君の丸刈り…プッハハハハハ。」

 

「笑うなよ。とにかく体育祭勝たせて貰うぜ。」

 

「ええ。受けて立つわ。」

 

こうして私達のデートは終わった。終わってしまったら私達はデートというよりか、トレーニングをしに来たって感じになってしまったが、私は久し振りに心から笑えた…そんな日になった。




次回遊英体育祭1種目目『伝説のエアライドマシン現る!』

次回も1週間後辺りまでに出します。

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