──月──日 バイト三昧
──月──日
今日も今日とてバイト三昧。
とうとう店長さんから心配されてしまったけども、これくらい働かないと生きていけないのだ。というか、もっと働かないと本格的にヤバイかもしれない。
最近ではバイトの掛け持ちも視野に入れている。
それにしても、居候が一人くらい増えたって大丈夫だろうと安直に考えていたけど、よくよく冷静に考えてみると、今の木原家には居候が四人もいるんだよなぁ。お金が足りなくなるのも、当然といえば当然だ。
まぁ、別に居候達に対して文句がある訳じゃないんだけどね。そもそも居候になれって言い出したのは、オレだったし。
それに足りないなら補充すればいいだけだ。
バイトするならナウンワーク!!
──月──日
ナウンワークを買うお金すら勿体無いので、バイト先の頼れる後輩さんに相談してみた。
誤解されないように追記をしておくけど、バイト歴がオレの方が長いだけで年上のお姉さんです。年下にバイトを紹介させた訳ではないからね。
うぐぐぐ、オレは絵の才能がないから文字で後輩さんを表そうと思ったけど、やっぱり無理だ。《大和撫子》としか書けない。
あとは意外と武闘派ってことくらいか。
この前、初対面の時に年齢が二十代半ばくらいだと思っていた(後輩さんはピッチピチの十八歳だ)ことが、休憩時間にバレて思いっきりぶん殴られたんだ。店長さん曰く、そのまま一時間くらい気絶してたらしい。
うむ、あれは世界を狙えるッ!!
閑話休題。
んで、頼れる年上後輩さん(最初からこう書いとけば良かった)に相談した結果なんだけど。
なんと!!
海の家でのバイトが決まりました。イェーイ。
──月──日
海の家でのバイトは二週間後から始まる。
なので、木原家居候の皆さんを緊急収集して、海の家のバイトの間は木原家に帰らないことをお知らせした。
おっと昨日は書き忘れていたんだけど、海の家でのバイトは一週間契約でその間は住み込みで働きまする。
そんなお知らせにアーさんとゴルゴ二人組は申し訳なさそうに頷いた。しかし、何故かレイレイだけは首を傾げた。
どうしたの、とレイレイに問いかける。
「金がないのなら、私が養ってやろうか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はう!
・・・・・・・・・・・・オレは何も見なかった。
──月──日
テーブルに札束を置こうとするレイレイに対し、札束が置かれないように見えない牽制をするオレ。
この謎の時間はこの日も続いた。
他の三人は呆れていたが、人の目なんて気にしてはいられない。これはお金持ち幼女とじゃれあっているのではなく、家主としてのプライドと戦っているのだ。
絶対に負けられないっ!!
今日の一句(多分、続かない)。
居候より
貧乏だとしても
家主どす
字余り御免ッ!!
──月──日
いやー、今日は絶好のバイト日和だった。
なんと店長さんに、今日で一ヶ月連続出勤だからもう休んでくれと言われたんだ。
ふっふっふ、甘いぜ店長さん!
オレは基本的に天邪鬼な男の子だから、休んでくれと言われたら働きたくなってしまうのだー。これはもう驚異の二ヶ月連続出勤を狙ってみようかな。
そう意気込んでいると、
「それはもう驚異じゃなくて狂異です!」
と。
年上後輩さんからも休むように言われた。
そりゃ、休んでも生きていけるのなら休むに決まってますよ。
だけど、木原家の財力はオレのバイト代(あとレイレイの募金)で賄われているんですから、休める訳がないのですよー。
でも、気遣いありがとうございました。素直に嬉しかったです。
ただ一つ疑問が。
年上後輩さん(の買い物)と付き合うだけで、木原家の財力がある程度潤うってのはどういうことですか!?
──月──日
バイトを休まされた。
まぁ、そろそろ夏休みの宿題に手をつけないとヤバかったし、それほど気にしている。
うぐぐぐ、レイレイの募金がどんどん増えていくよぉ!!このままだと、オレがレイレイの居候になる日もそう遠くないかもしれない。
パワーバランス的にもレイレイの方が圧倒的に上だしね。あの子のS気を止めてくれる人はいないのだろうか。
・・・・・・ん?いや待て、S気だと?
も、もしかしなくても、居候ではなく奴隷になってしまう可能性も微レ存?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はう!!
──月──日
一日振りにバイトへ行ってきました。
店長さんと年上後輩さんからもっと休めって言われたけど、そんな悠長なことは言ってられない。
幼女のヒモになる高校生という犯罪の臭いがプンプンする状況に陥ってしまうのも時間の問題だ。今は解決策が見つかるまで、がむしゃらに時間稼ぎをするしかないのである。
「何で休んだのにゲッソリしてるんですか!?」
唖然とする年上後輩さん。
それはオレに言うのではなくて、下克上疑惑のレイレイに言ってください。
八月二十二日
うーんと、木原家が騒がしい件について。
いや、別に騒がしいことを不満に思ってないけど、いつもは静かなのにどうして騒がしいの?
レイレイは秘密結社にいそうな黒服の人達と一緒に外へ飛び出して行ったし、ゴルゴ二人組は珍しくコソコソと話し合いをしていたし、アーさんはなんかソワソワしていた。
うぐぐぐ、何なのよこの急に訪れた悲しい仲間外れ感は!オレも仲間に入れなさいよ!
余談だけど、店長さんと年上後輩さんも様子がおかしかった。あと同僚の弁当さんも何処か様子がおかしかったような気がする。
今日って、何かあったかしら?
──月──日
アイエエエ!?臨時休業!?
嘘だと言ってよ店長さん。オレは臨時休業のお知らせを聞いてないんですが!?というか、臨時じゃねぇでしょ!?
うぐぐぐ、不幸だ。
まぁこんな日も偶にはあるよね?初めて経験した日だけど。
今日は取り敢えず、独りで夏休みの宿題を全部終わらせました。
掛かった時間は三時間半。素晴らしい。
・・・・・・ふぅ、いつまで続くんだろうか、このなんとも言えないこの疎外感は。
▽バイト少年
本作の主人公。
名前は木原何某。
▽店長さん
バイト少年のバイト先の店長。
変な日本語を喋るのが最大の特徴。
▽ナウンワーク
何故か耳に残ってしまう謎のフレーズ。
▽木原家
嫌な予感しかしない。
▽年上後輩さん
大和撫子。
プライベートで日本刀を持ち歩いているらしい。
▽海の家でのバイト
八月二十六日からスタート!
▽イェーイ
いぇーい。
▽アーさん
木原家の居候一人目。
名前が長すぎて本当に困ってる。
▽ゴルゴ二人組
木原家の居候二人目と三人目。
別名スナイパー二人組である。
▽レイレイ
木原家の居候四人目のくせにお金持ち。
とある結社のボスであるらしい。
▽家主としてのプライド
えっ、あったの?
▽絶対に負けられないっ!!
試合終了。
▽今日の一句(多分、続かない)
当然、続かない。
▽字余り御免ッ!!
許すッ!!
▽一ヶ月連続出勤
ぱないの!
▽驚異(狂異)の二ヶ月連続出勤
年上後輩さんの胸囲が気になる。
▽木原家の財力
バイト少年は知らない。
木原家の財力はゴルゴ二人組が四割、アーさんが三割、レイレイが二割、バイト少年が一割であることを(非情)。
▽年上後輩さんと付き合う以下省略
本作品は勘違いものです(キリッ)。
▽バイトを休まされた
良かったね(温かい目)。
▽幼女のヒモ
正確には皆のヒモ。
▽オレがレイレイの居候に以下省略
もう手遅れかもしれない。
▽居候ではなく奴隷に以下省略
もう手遅れ以下同文。
▽一日振り
そんな言葉はない(多分)。あって欲しくない。
▽何で休んだのにゲッソリしてイカ省略
ゲッソリ・・・・・・、ゲッソー?
イカ娘、かわいいよね!!
▽下克上疑惑のレイレイ
こうして冤罪は生まれていく。
▽木原家が騒がしい
嫌な予感しか以下同文。
▽同僚の弁当さん
発音が違う、やり直し。
▽今日って、何かあったかしら?
前日に下克上が起きました(敬礼)。
▽アイエエエ!?
パクリは駄目、絶対。
▽不幸だ
コラっ!!
▽ふぅ、いつまで続くんだろうか
予定では、一週間で一旦終わる