ONE PIECE ~青天の大嵐~   作:じんの字

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少将を少々と十回繰り返してみな!!

 

ある大型軍艦の甲板で2つの影が激突した。

 

しかし、ぶつかった瞬間に1つの影は遠くまで吹き飛び、一方のは細い影は平然としている。

 

前者はグンジョー、後者はマツ。

 

体格だけで見るのならば明らかにグンジョーの方が有利だろうが、能力的な面でみるならばマツの勝利だ。

 

それは“覇気”の力の恩恵と言える。

 

この状況では覇気の使えないグンジョーはそのありままる体力を使ってマツに食らいつくしなかった。

 

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side グンジョー

 

 

「グアッ!!」

 

 

今度はよけられるどころか、そのまま吹き飛ばされた。

 

 

「・・・呆れた体力だな。」

 

「どういたしまして!!“旋風スクランブル!!”」

 

 

虎丸から“旋風スクランブル”を放つが、それも見事にヌラリとかわされる。

 

 

「・・・さっきも言ったが、私はお前の行動が読める。故に、その程度の技では私に一撃もあてることはできない。」

 

「うっせ!!」

 

 

“旋風スクランブル”を交わしたばかりのマツに斬りかかる。

 

 

ガキイ!!

 

「…ヌン!!」

 

「うおっ!!」

 

一時的に刀は衝突するが、それも覇気ではじかれる。

 

「・・・また早くなったな。」

 

「おほめ頂き光栄でごぜえます!!」

 

高速で動き、マツに接近する。

 

「…“柳下”」

 

「うわ!?」

 

激突する瞬間にまたしても霞のように消えてしまう。

 

「“御岩”」

 

「なっ!?」

 

いつのまにか死角に現れたマツが刀をふり下ろす。

 

「グガッ!!」

 

何とか反応して斬撃を受け止ようとするが、受け切れず、斬撃をくらってしまう。

 

ビシャ!!

 

斬られた箇所から血が吹き出る!?

 

「…!?」

 

しかし、吹き出た血がマツに当たり、一瞬動揺したように見えた。あれ、チャンスじゃね!?

 

「そいや!!」

 

「!?」

 

マツが慌てて身を引くが、すでに斬撃はマツに届いていた。

 

「どうだ会心の一撃ぃ!?」

 

「…油断したな。」

 

「そうだな、油断ついでに俺お前の倒し方分かっちゃったもんね!!」

 

「!?」

 

「さてと、おそらくお前はは覇気は使えるものの、それをまだ制御しきってないんだろ?何故ならさっきから読めるはずの俺の斬撃を見切らずに受け止めたり、今みたいに避けきれていないからだ。」

 

「…」

 

「どうやら図星みたいだな。それに、無意識のうちにはなった攻撃にも反応できないんだろ?さしずめ、まだ覇気を知ったばかりのヒヨっ子ってところか。」

 

「…知った口をきくな。私はこれでも、一年近く覇気を学んでいる。この力で数多の海賊を斬ってきた。故に、覇気を使えぬお前に私が負けるはずがない!!」

 

マツが初めて口調を荒げた。おそらく、こいつは自分の努力を馬鹿にされるのが嫌いらしい。

 

「アホか。そこら辺の職人だって自分の技術を磨きあげるのに何十年もかかってんだ。そこらへんの一般人がちょっとやそっとでできたら、この世界天才だらけだろ。ヒヨっ子がいきがんな。」

 

虎丸を構えなおし、マツを睨みつける。

 

「確かにお前は強いよ。でも、俺は強い、という考えと、だから絶対に負けない、というのは別の話だ。テメエがそう思い続ける限り、お前はその程度だってことだ」

 

しばらく間を開けた後、マツが話しだした。

 

「…貴様の言いたいことは分かった。確かにその通りだな。貴様に言われたとおり、私はこれからもおごらず、自分の力を研磨していくことにしよう。」

 

「あそ。俺には関係ないけど。」

 

「…改めて貴様に敬意を表し、私も本気を出す」

 

チン!チン!

 

腰のあたりにくくりつけていた何かを下に落とした。

 

「…これは(ダイヤル)。実際に存在するのかどうかは知らないが、空島という空に浮かぶ島で使われている道具らしい。旅の商人から買ったものだ。炎貝(フレイムダイヤル)と呼ばれるものを使った」

 

「それで蜃気楼を起こしていたんだろ?」

 

「…そうだな。ちなみにこれを使ったのは初めての経験だ。中々有効だったが、やはり私には合わない戦法だったようだ。」

 

「嘘つけ」

 

ノリノリで使っていたじゃないか!!

 

裁判長!!この人です!!

 

「…私の持つ全力の覇気をもって貴様をつぶす。」

 

「ほう」

 

どうやら決着は近いみたいだな。

 

と、ゴウッ!!という音がしてマツの振りあげた刀に何かの力が溜まっていくのが分かる。

 

「…ではいくぞ。“柳下四ツ谷斬り”!!」

 

刀は1つのはずだが、それが覇気の力により4つの刃が迫ってくる。

 

しかも、今までと比べ物にならない速さでマツが突っ込んでくる!!

 

・・・あー、あれくらったら終わりだな。

 

こんな状況なのに俺は落ち着いていた。

 

 

「ふう」

 

 

目を閉じて、軽く息をつく。

 

圧倒的な力“覇気”

 

自分にはそれが使えない。

 

しかし敵は覇気を纏い自らを斬り伏せんと突っ込んでくる。

 

 

「どうした!?あきらめたのか!?」

 

間合い、

 

 

「抵抗せずとも斬る!!」

 

 

雰囲気、

 

 

「ハアアアアアアアアア!!」

 

そして風!!相手のすべてを読み、そして斬る!!

 

「“辻斬り風ステルス”!!」

 

「!?」

 

マツは何が起きたのか分からないようようだった。

 

ザシュッ!!

 

しかし、次の瞬間には俺が斬った箇所から血が噴き出す。傷は浅い。そうするように調整したからだ。

 

「…なるほどな」

 

「何が?」

 

「…覇気でも反応できないほどの速度で移動したのか。いや、私はまだまだ未熟だった、という事だな…。お前能力者だったのか?」

 

「いや、俺はうまれてこのかた非能力者だよ。」

 

「…そうか、人間はやはり限界というものはないのだな。」

 

「それは否定しないけど、お前もお前だと思うぞ」

 

「…そうか」

 

マツはヨロヨロと振り返った。

 

 

「…実に有意義だった。海賊風情にしてはよい志と曲がらぬ意志、そして力と高潔な精神をを持っているのだな」

 

「ハッ、それはお前もだろう。あの騒ぐだけの上官と違って、お前は比較的まともに見えるが?」

 

「…私は、上官の命令に従っただけだ。だが、次お前に会いまみえるときは、自分の意志で戦わせてもらおう。次こそ、その首貰い受ける」

 

「ハッ、オメーみたいな陰気な奴にはできれば今後二度と会いたくねえよ。」

 

ハア、と思わずため息はこぼれる。

 

「良い勝負だった。ありがとう」

 

俺が歩き出すと同時に、マツもバタリと倒れる。こうして強者との戦いは終わった。

 

 

 

「ッ。」

 

 

思わず持っていた双眼鏡を握りつぶす。

 

「ちゅ、中将!!」

 

焦った声を上げる部下の声も耳に入らない。

 

「これは…これはァ、一体どういうことなのだぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁ!?」

 

目の前の戦場は明らかに海軍が劣勢だった。

 

最初は10対3で限りなく有利だったはずの海軍。

 

しかし、最初に出撃した中型の船は一瞬で切り裂かれてまたは津波によって沈没し、今もまた3隻の大型軍艦が海賊の手によって沈黙した。

数は確かに海軍が多かったが、いかんせん相手が悪すぎた。海賊側にはたった一人で軍艦を相手にできる人間が5人以上いたのだ。

 

「許さん、許さん、許さん、許さん、許さんぞぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!」

 

電伝虫を乱暴に引っ張り出し、別の艦に乗っているクインテッドに連絡をする。

 

「クインテッド中将!!そろそろ我らも出るぞ!!!」

 

『え?でもそれにはまだ時間が』

 

「そんなものどうでもいい!!あの調子に乗った海賊どもを私の手で捻り潰してやる!!」

 

電話を斬ると船を操作している海兵を怒鳴りつける!!

 

「全速前進だ!!」

 

海兵たちが慌てて動き始める。

 

「海賊ども覚悟しろ…!!」

 

さあ、この私自らが能力を使って戦いを終わらせてやるぞ!!

 

 


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