思いつき倉庫   作:羽撃鬼

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四夢 到達とタタリ

ヤツ、曹操の意識が消えたことを感じた誓慈は、曹操が消えたことで自らの中に宿るものを感じた。

 

 

「これはヤツが持っていた【黄昏の聖槍】とか言うやつか?ハハッ!ありがとう曹操とやら、お前は俺の役に立ったぞ!」

 

 

誓慈の手には黄金の光を放つ槍があった。

 

 

「それは曹操の!貴様アイツに何をしたァ!」

 

 

英雄派の幹部は誓慈が彼らとリーダーの槍を持つ時点で何かしら察したが認められなくて問いかけた。

 

 

「ああ。そういえば貴様達もいたのだなぁ。お前らのリーダーなら消えたよ。」

 

 

誓慈は彼らのことを特に考えてはなかった。曹操を下した瞬間、甘粕とのリンクが消えた。しかし、邯鄲の夢は使うことが出来ていたからだ。すると声が聞こえた。

 

 

『おめでとう。君は試練に打ち勝った。これからは五代目盧生「逆十字」と名乗るといい。』

 

 

阿頼耶(アラヤ)からの声に誓慈は笑った。逆十字初の盧生となったことを歓喜した。盧生となっても彼は変わらない。彼の生は痛みと共にあり。そして誓慈は手の中の槍に目を向けた。

 

 

「まず、手始めに!」

 

 

槍に自らの病めを流し込んだ。無限に存在する病みの一端を流し込んだ所で病みの総量は変わらない。病みを流し込まれた槍はその姿を変えていった。

赤黒く色を変えて、さぁ、皆に与えてやろう。俺の(やみ)を!

 

 

「黄昏の聖槍が姿を変えていく!」

 

「色も形も!」

 

「あれはもう聖槍ではない魔槍だ!」

 

「魔なんてそんなものじゃないそれ以上に邪悪だ!」

 

 

周りも聖槍が姿を変えていく様子に驚き騒いでいた。

誓慈は槍を彼らに向け、

 

 

「盧生となったのだ。【廃神(タタリ)】くらいは確保しなければな。」

 

 

と言い、近場にいた英雄派のジャンヌを貫いた。

 

 

「えっ?」

 

「お前の魂を核とさせて貰おう。」

 

「キャァァァ!」

 

 

ジャンヌは黒い炎に包まれた。炎が止むとそこには容姿や服装が変わった女性がいた。

彼女は黒い服を纏い、龍を型どった紋章を記した黒い旗を持ち、邪悪な笑みを浮かべていた。

 

 

「ジャンヌ?」

 

 

英雄派の幹部の一人が彼女の名前を呼んだ。すると、

 

 

「ハッ!私をあの聖女様と一緒にしないでくれる?私は龍の魔女、【廃神・魔炎聖女(ジャンヌ・オルタ)】!」

 

 

彼女は別の存在になったのだ。

それを見て信じられないように英雄派の面々が騒ぎ始めた。

 

 

「何いってるんですか?ジャンヌさんは俺達の幹部でしょ!」

 

「そうだよ!一緒に曹操の仇を討ちましょう!」

 

「お、おお!素晴らしい!聖処女よ!共に神に報復を!」

 

 

英雄派の面々は動揺が酷く、一人は歓喜していた。

【廃神・魔炎聖女(ジャンヌ・オルタ)】はクスリと笑い、彼らに向けて手を向けた。

英雄派のこの事が信じられない者達は、その手をとろうと歩み寄った。

 

その光景を眺めていた他の者達は彼女が一瞬邪悪な笑顔に成ったことに気づいた。

 

 

「ダメだ!止まれぇ!」

 

 

制止の言葉も間に合わす、彼らは【廃神・魔炎聖女(ジャンヌ・オルタ)】に塵も残さず燃え尽きた。

 

 

「アハハハ、あ~あ。信じた相手に殺される者を見るのって最高!殺したのは私だけどぉ!」

 

 

彼女は本当に愉しそうに嗤っていた。彼女がこうなった原因の男もこちらを嘲笑っていた。

 

 

「オルタ。」

 

「ハイハイ。わかりましたよ!さぁ、次は貴方達の番ですよ!悲鳴を聴かせてちょうだい!」

 

 

彼女は元仲間を嬉々として虐殺し始めた。

何人かの者達が、

 

 

「幹部の皆さんは撤退してください!ここは俺達が抑えます。時間稼ぎが精一杯だと思いますが、お願いです。生きてください!」

 

 

幹部の者達は「待て」と言おうとしたが、それよりも早く転移させられた。

 

 

「「「行くぞぉ!」」」

 

 

幹部を逃した英雄派の面々はここで散った。

 

 

 

そして、

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ。」

 

 

かなり離れた場所に跳ばされていた幹部達が戻ってきた。しかしそこにはもう誓慈やジャンヌは居なかった。ほとんどの英雄派の構成員は灰とかしており、残った者達ももう助からない傷を負っていた。彼らは死にかけている者の側へ駆け寄った。

 

 

「あっ、ああ!何で!俺たちを逃がした!俺達はお前らを道具扱いしていたんだぞ!」

 

 

幹部の一人は本音をさらけ出した。それに対し、

 

 

「解ってました。でも!貴方達は俺達の希望です。だから!俺達は皆さんが英雄になる手助けが出来たら良かったんです!」

 

「そうです。私達にとっては皆さんが、英雄なんです。」

 

「僕達は貴方達と一緒に行動できて悔いはありません。」

 

「「「だから!皆さんは生きてください。」」」

 

 

そう言って彼らは息絶えた。

幹部達は涙が止まらなかった。自分達をこんなに思ってくれていたのだから!

 

 

「俺達はお前らの死を無『カット!』にしな、えっ?」

 

 

唐突に声が響き渡った。

 

 

『Oh、キミタチのお蔭でいいフィルムが撮れたネ~!』

 

 

空中に座っている男がカメラを幹部達に向けながらそう言った。

 

 

『だけど、you達の出番はもう無いシ~、用済みの役者は退場して貰おう!』

 

 

その男は愉しそうに笑っていた。

幹部達は彼から変容したジャンヌと同じ感覚を得ていた。故に彼らは警戒していた。そんな彼らに男は、

 

 

『アッ、でも、キミタチの最期は記録してあげよう、さぁ!サイコーにスペクタクルなショーを始めようジャナイカ!』

 

 

男の名はベトール。元英雄派の構成員にて現代では無用となった神器である【遠くの姿見】という今でいうドローンそのものを宿していた故にハズレ神器として見下されていたのだ。それが今回、誓慈に自ら仕えることで廃神としてだが強力な力を手に入れたのだ。




祝PSO2EP5実装!しかし、ダウンロードが終わらねぇ!

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