「はっ、はっ、はっ。」
彼女は暗闇の中を走っている。
黒い影、実体の無い無数の何かが追ってくる。
「まだ!追ってくる!」
彼女の後ろからは複数の虫が飛ぶ音が聞こえてくる。
追ってくるのは虫の集合体、しかし、ただの虫の集合体ではなくハエやゴキブリといった害虫の集合体だ。
そして、
『ああ!やっとだ!やっと、君に会えるよ!僕のマリア!待っててね!近い内に会いに行くから!』
聞くのも不快な虫の群れがざわめく様な声が聞こえると視界が白く染まり、夢から覚めるのだ。
バサッと彼女は飛び起きる。
「ハァー、ハァー、ハァー。」
彼女は荒い息を吐いた。
すると、彼女の左手の甲が光り、
『どうした相棒。またあの夢か?』
彼女に宿っている神器である赤龍帝の籠手に封印されている赤き龍ドライグが話しかけてきた。
彼女は頷き、
「前は感じなかったけど、何か近づいてくる感じがするかな。」
『まぁ、何か有ったら俺を頼れ、俺たちは相棒だろう?』
「うん。ありがとう、ドライグ!」
『ふん。』
赤き龍は照れながら彼女の内へ戻っていった。
彼女の名は兵藤瑞希。グレモリー眷属の兵士にして今代の赤龍帝である。
グレモリー眷属として堕天使を優位に殲滅し、主の婚約者のフェニックスを華麗に討ち果たした者でもある。
因みに、最近の悩みは転生して長年、女として暮らしてきた結果、思考だけでなく口調や倫理観も女に成ってしまったことだ。更に、主の元婚約者から毎週プロポーズを受けていることぐらいだ。
そうして、瑞希は着替えて学校へ登校した。
所変わって鎌倉
誓慈は昼間なのに閑古鳥が鳴いている蕎麦屋にいた。
「う~ん。ナァ、リーダー。ここ、こんなにも旨いのにガラガラなのは何故なのかヨォ?」
先程から黙々と蕎麦を食べていたベトールが疑問をあげた。
「あれのせいだ。」
誓慈が指差した方向にはベトールが呼び出したことのある生物?であるそばもんがいた。
「チョッと待てヨ。オレ、力は使ってねぇヨ!」
「あれがオリジナルだ。因みにここのマスコットだ。」
ベトールは声を荒上げ、誓慈は補足した。
「なっ、ナァァァァ!」
ベトールは驚き大声を上げた。すると、
「落ち着きなさいよ、ベトール。他に客は居ないとはいえここは飲食店よ。」
共に蕎麦を食べていたジャンヌ・オルタは文句を言った。それに、
「オオウ、わかったヨ。」
ベトールも窘められる。
「それに……………可愛いじゃない!」
「「ハァッ?」」
まさかの発言に二人は声を揃え上げた。
そうして、
「「お前、正気か?」」
「何言ってんの?私たちは元から正気では無いけど?」
「「それもそうか。」」
そうしてこの後、そばもんが可愛いのか、そうでないのかの疑問が討論された。その討論は蕎麦屋の娘が学校から帰ってきた時から更に苛烈となったがそれは別のお話。
FGO メイド・オルタの最終再臨姿がエロい件について。