4月8日。高校入学式。今日、私…ユキの高校生活が始まった。私にとっては、ここはとても新鮮な場所だ。なぜなら、そこは「女子校」だからだ。
今まで私は共学の保育園、小学校、中学校生活を送ってきたものだから、男子がいないこの女子校はものすごく新鮮だ。
クラスが発表され、私はその教室へと向かう。
教室に着き、ドアを開ける。挨拶などは全くせず、無言で教室に入り、自分の席に座った。
周りの人は、もちろんのこと、全員女子だ。それもあって、聞き慣れない甲高い声が教室中を包み込んでいる。
私は元々声が低く、髪も短い、男子に見間違われてもあまりおかしくない容姿だ。だから、周りの声の高さは私にとって、少しうるさいと思った。
しばらく経ち、男の先生が教室に入ってきた。その人は、私がよく観るニュース番組のキャスターに激似していたので、少し吹きそうになった。
「今日から1年間担任を務める“川崎”と申します。よろしくねぇ〜」
…おおぅ…あの〜、オネエですか?と思うほど馴れ馴れしい口調だった。気持ち悪い(笑)。
…まあ、これから始まる高校生活がどんな風になっていくのかが楽しみになのには変わりがない。
私は楽しみな気持ちと少し不安な気持ちを持ちながら先生の話を聞くのだった。
月曜日、私は着慣れない新しい制服を着て、初めて学校へ登校した。私は自転車で通学しているのだが、橋を3本も超えなければならないので、少しキツイ。でも、これもだんだん慣れてくるんだろうなと思いながら登校した。
教室に着くと、また聞き慣れない高い声が教室中に響き渡っている。私はそんな声をあまり気にしないようにしながら自分の席へ向かった。
しかし、私の席は、私より背の低い女子が2,3人集まって話をしていた。
…いや、邪魔なんですけどー?
そう思いながら、私は「…ちょっとごめんね〜」とその子の目を合わさずに言いながら座ろうとした。しかし、の2,3人の女子の中の1人が、私に話しかけてきた。
「ユキちゃんだよね?!私、リノっていうんだ!よろしくね!!」
…おおふ、私こういうキャラ、正直言って嫌いなんだよ、いや、ガチで。
私は渋々、返事をした。
「お…おおう、よろしく」
すると、その直後に、こことぞばかりに他の女子も私に自己紹介をしてきた。
「私は、カナだよ!よろしくね!!」
「私は、ミクだよ!よろしくね!!」
「私は、ユイだよ!よろしくね!!」
「私は、チカだよ!よろしくね!!」
…いや、そんな一気に言われても困るから??!しかも奇跡的に今紹介された名前、全部二文字なんだけど?!(笑)そんなことどうでもいいんだけどね???!!私、そんな一気に覚えれないし、アンタらは1回で覚えたとしても、私は顔と名前が一致せずに2年間過ごした仲間も居るくらい覚えれない頭だからね???!ああ、そんなの知らないか!!!(笑)
…という長文が私の頭の中で約二秒でスラスラーっと字幕の様に流れてから、私はやっと返事をした。
「…よ、よろしく〜…。」
…はぁ、女子校ってこんなもんなのかなと思うと、なんだか不安が大きくなってきた。
まあ、これから3年間、頑張っていくしかないか。
そう思い、私は少し歪な笑顔をその女子たちに見せた。
次回もお楽しみに!