◆Like? Love?
「哀ちゃん!教えてくださいっ!」
歩美は両手を胸の前で組みながら
ペコっと頭を下げてお願いする。
その可愛らしい姿に、哀はクスッと笑う。
「だからね、あなたにはまだ早いのよ」
哀は入れたてのレモンティーを口にする。
まるで大人のように、そして自分を子供扱いする
哀にムッとした歩美はこう返す。
「あなたにはって哀ちゃんも同じ小1でしょ!」
哀は、痛い所を突かれたわね…というような顔で
歩美を見ながらも、上手く流し再びレモンティーを
口にする。そんな哀を真似して、歩美はぎこちなく
足を組んで、大人っぽくカップを持ってレモネードを口にした。
「お願い!教えて哀ちゃん!好きと愛してるって
何がどう違うの!歩美には全然分からないの!」
「…えっと」
小学1年生の女の子にどう説明すれば
良いのか、そもそも自分も本当の答えが
何か分からない…と、哀は悩み込む。
「なーに悩んでんだよっ!」
「コナン君!どうしているの?」
「あぁ、シューズの調子悪ぃから
博士に修理して貰おうと思ってさ」
突然現れたコナンを見て、パァァァっと
明るくなる歩美の顔を横目で見ながら、
哀は彼に答えて貰おう…と企んだ。
「あら、博士なら今さっき出かけたわよ」
「そうか〜博士ってタイミング悪ぃなぁ~」
哀はすぐにキッチンへ行き、
コナンの分のレモンティーを出す。
「おぉ、悪ぃな!ところで、歩美ちゃんは
何しに来たんだよ。何か悩んでるんだろ?」
歩美は頬を赤く染めて、もじもじしながらも
声を絞り出してコナンに問いかけた。
「好きと愛してるの違いって…何かな?」
思いもよらぬ発言にコナンは目を丸くし
すぐに哀に助けを求めるが、哀は首を左右に振る。
良かった、自分から首を突っ込んでくれたわ…
「コナン君なら分かるよね?」
うっと声を漏らしながらも頭を
かきながら考えこむコナン。
そんなコナンを見ながら、哀は
どんな答えを出すのか楽しみにしていた。
「そうだな…上手くまとまんねぇけど
好きってのは相手の一部分を見て、
その部分だけが好きって言ってるんだと思う。
けど、愛してるは、相手の嫌なところも認めて、
その部分も含めて好きなことを言うんじゃねえかな?」
哀はキザねぇと言いたげな表情で
パチパチと拍手を送る。
そんな哀を軽く睨みながらもコナンは
歩美に優しく微笑みかけた。
「じゃあ歩美はコナン君のこと愛してるよ!」
「…へっ?」
「だって、コナンくんの自分勝手なところも
ちょっぴり音痴なところも好きだもん!」
無邪気な笑顔で告白する歩美、それに対して
コナンは照れながらも、音痴と自分勝手という
ワードが気になったようだった。
「じゃあ、歩美もう帰るね!ありがとう!バイバーイ♪」
「そう、気をつけてね。また明日。」
哀が歩美を玄関まで送る間、コナンは
勢いよくレモンティーを飲み干した。
「さっきの言葉、録音し忘れたからもう一度言ってくれない?」
「バーロー!どうせ博士や服部に送る気だろ!」
「あら、バレた?それにしても吉田さんって可愛いわね。」
哀は空になったコナンのカップに、
再びレモンティーを注いだ。
「にしても、本当にませてるよな…今の小学生って。」
「あら、電話で彼女に愛を囁くあなたもませてるわよ?」
「な…」
「あなたも私も立派な小1でしょ??」
クスクス笑いながら、レモンティーを口にする
哀を見て、こいつには適わねぇな…と感じたコナンだった。
私も好きと愛してるの違いなんて
分かりません。歩美ちゃんに笑顔で
音痴と自分勝手を言わせたかっただけです。笑