Palette   作:natsumi_30

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COLD

 

 

◆Cold

 

 

6月下旬。

梅雨の晴れ間は蒸し暑く、

蘭はタオルで汗を抑える。

そして、眩しい太陽を見上げた。

 

「暑いなぁ…」

 

 

この時期になると小4の頃、

新一が風邪をひいた時のことを思い出す。

 

 

***

 

 

「ゲホゲホッ!…あ~苦しい」

 

 

昨夜から続く激しい咳。

焼けるように熱い喉を、母親が

枕元に置いた水を飲んで冷やす。

一日中これを繰り返すが、喉の

熱さは治まらず痛みも悪化している。

 

 

「新一、大丈夫?」

 

 

マスクをした蘭が新一の

汗をタオルで優しく拭いている。

 

 

「なんとかな」

 

 

優作と有希子は旧友に会う用事があり、

新一は俺は一人で寝てるから良いよと

軽く返したが二人はどうしても心配で

博士に看病を頼もうとした。

 

そんな時に、蘭が新一のお見舞いに来たのだ。

優作はこれから自分達が出かけて博士に

看病に来てもらうことを蘭に話した。

 

すると蘭は自分が新一の看病をしたいと言う。

「ラブラブなのね~!」

と蘭をからかいつつ、有希子は看病を頼むことにした。

一方、優作は少し心配で『困ったら博士を呼びなさい。』

と蘭に言い残し、家を後にした。

 

 

「新一、リンゴ食べる?」

 

 

蘭が鞄から取り出したタッパーには、

不格好ながらも可愛く切れたうさぎのりんごが

入っていた。これを俺のために切ったのか…と

新一の頬が少し緩んだ。

 

 

「ああ…」

 

 

起き上がることもダルそうな新一。

そんな新一を見て、蘭はちょっと待っててと

キッチンへ小走りで向かった。

 

 

「あ~ついてねぇ…ゲホッゲホッ」

 

 

今日の体育はサッカーだから、

蘭にカッコいい所見せてやろうと

張り切っていた新一だった。

しかし、一昨日の急な雨に打たれたのが

原因で熱を出してしまったのだ。

 

 

「新一、つまようじ持ってきたよ!」

 

 

蘭はつまようじでリンゴを差して

新一の口元に持って行く。

 

 

「はい、あーんっ!」

 

 

新一はカァァァァっと顔を赤く染める。

 

 

「じ、自分で食うって」

 

 

新一は起き上がろうとするが

蘭がダメだよと両肩を押さえる。

 

 

「辛そうな新一見たくないもん!」

 

 

涙目で唇を震わせる蘭。

そんな蘭を見て新一は恥ずかしそうに

口を開ける。

 

 

「ほら、早くしろよ。」

 

「う、うん!」

 

 

蘭は新一にリンゴを食べさせた後、

風邪薬を飲ませた。冷たいタオルを

新一のおでこにそっと乗せて呟く。

 

 

「新一の風邪早く治らないかな~」

 

 

新一がいない学校は物足りなくて

寂しくてつまんなくて…

 

 

「新一~タオル冷たいでしょ…あ」

 

 

さっきまで辛そうだった咳も

治まったようで、スースーと

寝息を立てて新一は寝ていた。

 

 

「早く良くなりますようにっ。」

 

 

蘭は新一のおでこにキスをしてから

有希子と優作の帰りを待った…

 

 

***

 

 

「ふふ…懐かしいな」

 

 

次の日には新一が元気になって

一緒に学校行ったんだっけ…なんて、

ニコニコしながら思い出に浸る蘭。

 

 

「何にやけてんだよ、蘭」

 

「ちょうどこのくらいの時期に

 新一風邪ひいたでしょ?

 その時のこと思い出してたの」

 

「ああ、小4の時のことか」

 

「新一は風邪ひいてたからあんまり覚えてないよね?」

 

 

と笑う蘭を見て、新一はニヤリと笑う。

そして、サッと前髪を分けて、蘭のおでこにキスをした。

 

 

「早く良くなりますように、だろ?」

 

 

突然のキスに、蘭の頬は一気に赤く染まる。

そして照れ隠しに新一の胸をポカポカ叩いた。

 

 

「信じられない!寝てたフリしてたのね!」

 

「だって、嬉しかったし。」

 

「も、もう…新一の馬鹿」

 

「もし、お前が風邪ひいた時はこうしてやるよ」

 

 

新一はそう言って自分の唇を

蘭の唇にそっと重ねる。

 

 

「早く蘭の風邪が良くなりますように!ってな」

 

 

蘭はからかわないでよ!と逃げる新一を

追いかけながら、風邪も悪くないなと

心の中でそう呟いた…

 

 

 

 





初めまして、なつみと申します。
かなり昔、某なろうサイトで
コナンの小説を投稿していました。

その時に載せていたお話に加えて
新しい話も投稿していけたらと
思っています。ちなみに作者は本当に
文章力が無くて、こうゆう話が漫画に
あったらなぁという願望をただただ
詰め込んでます。よろしくお願いします!

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