怠惰のヒーローアカデミア   作:赤貞奈

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重力の夢

「Jコンビが『ヒーロー』!!Eコンビが『ヴィラン』だ!!」

 

俺はオールマイトの指示を聞き、心の中で、静かに闘争心を燃やした。

 

飛鷹伊 零

 

おれが死にものぐるいで、努力して手に入れた『個性()』。それを軽々と圧倒するあいつ(飛鷹伊)に、俺は対抗心を燃やしていた。………いや、ここは素直に 嫉妬した。と言うべきか。

とにかく、俺はあいつと正式に戦える場を望んでいた。

 

俺が訓練会場に着いた時には、八百万と常闇はもう訓練会場に着いていた。

「それでは、3人揃ったので、私が考えた作戦をご説明します。」

 

「まず、相手は飛鷹伊さんと青山さんです。個性把握テストを見た感じだと、恐らく、飛鷹伊さんは転移系、青山さんは分かりやすく、下腹部からレーザーを射出しました。どちらも、視認してからの発動です。………よって、私は『轟さんが建物外部からの全体凍結』が一番安全で効率がいいと思います。」

 

八百万がそう、説明した。

「それだと、俺とお前は何をしていればいい?」

 

常闇が、八百万に質問をした

「私たちは、もし、敵からの反撃があった場合の対策をして入ればいいと思います。他に何か質問はありませんか?」

 

「特にはないぞ。」

 

「轟さんもそれでよろしいですか?」

 

「ああ。」

 

『屋内戦闘訓練 開始!!!』

 

俺達が 作戦を練り終わったところで、オールマイトの大声がスピーカーを通して聞こえて来た。

 

俺は作戦通りに建物の外部から、ビル全体をいつもより少し強めに凍結した。

 

その後、屋内に入ったが、心配していた、反撃などはなかった。

 

「oh〜!!何だいこれは!?動けないよ!!ベルトも凍って機能しないし。ママン、助けて!!!」

 

振り返ると、そこには丁度ベルトの辺りまで凍った青山が泣き叫んでいた。

 

俺たちはそいつを無言で少し眺めた後、静かにそいつを拘束した。

 

「飛鷹伊さんですね。………この感じだと、飛鷹伊さんも凍結はされていると思いますが、一応、まとまって行動しましょう。」

 

まるで、青山なんていなかったんや。という口ぶりで 八百万がそう提案し、俺らはそれに従った。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

俺らは順調に捜索し、ついに、最上階に到達した。

 

「それでは、さっき練った作戦の通りに、全員で同時に入りましょう。もし誰かがやられたとしても、他の二人で対処をします。」

 

「それでは突撃!!」

 

俺たちは全員で最上階に突入した。

 

だが、そこには人影が無く、核兵器のハリボテも無く、天井も無かった。

 

「え………。」

俺達は、思わず空を見た。

 

そこには、星みたいな丸い物体が空中をふわふわと浮かんでいるだけだった。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

僕がオールマイトの指示通り、訓練会場のビルに入った。

 

そこには青山くんがまた変なポーズで話しかけて来た。

 

「君、遅いじゃないか。もう、僕はすっかり準備できたじゃないか。」

「作戦も考えておいたよ。僕が1階でエネミ()を倒すから、君は最上階でエイボム(核兵器)を守ってくれないか まぁ、君のトゥール(出番)はないだろうけど☆」

 

青山くんは一言ずつポーズを変えながら、そう説明した。………なんというか、非常に分かりづらいけど、要は、『自分が最初に敵を倒すから、お前は上で核を守ってろ』ということだろう。………ていうか、『エイボム』って英語じゃね?、意味も違うし。

 

まぁ、僕も、一人でいたいし、作戦自体には賛成なんだけどね。

 

ということで、僕は 作戦? 通りにビルの最上階に向かった。

 

僕がビルの最上階についた時に、スピーカーからオールマイトの大声が響き、建物内を木霊した。

 

『屋内戦闘訓練 開始!!!』

 

その瞬間、ビルが僕の足ごと凍った。

 

まじかよ。まさかの範囲攻撃。………ということは青山くんは………………御愁傷様です。

 

とりあえず、ここから抜けよう。

 

僕はそう思い、足元からこのビルに『憑依』した。

 

まず、僕は自分の足元の床を破壊した。もちろん、自分の体もしっかりと受け止めたので、傷一つない。

 

次に、最上階を、一階丸々切り離し、核兵器を包み込むように変形させ、形を整えた。

 

そして、個性を解除して、元の肉体に戻った。

 

仕上げに、僕は『個性』のもう一つの力を使った。

 

偉人憑依(ヒーローポゼッション): ニュートン

 

ニュートンを憑依すると、右手に赤林檎、左手に青林檎が生成された。

 

僕は、先程切り離した丸い物体に飛び乗り、青林檎を投げた。

 

青林檎が丸い物体に当たると、ビル(1階分)にそのまま沈んでいき、丸い物体は僕を乗せたまま、空中にふわふわと浮かんでいった。

 

丁度いい高度になったら、僕は赤林檎と青林檎を同時に丸い物体に投げた。

 

そうすると、丸い物体はそのままの高度で、空中に停止した。

 

「よし。これなら、大丈夫だろう。」

 

僕はそう言って、日当たりがいい場所を見つけて、そこに寝転んだ。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

「おーい!!おーい!!聞こえてるかー !!!飛鷹伊少年!!今すぐ起きろ!!」

 

またオールマイトの声が聞こえてきた。僕が昼寝すると、毎回誰かが起こしにくる。おかげで全然眠れない。

「なんで君は戦闘訓練時も寝ているのかね!?緊張感0か!!」

 

「絶好のお昼寝日和で眠たかったから。………これはもう寝るしかないでしょう!」

 

「寝るしかないでしょう、じゃないわ!!」

 

「とりあえず、「個性』を解除して、下に落としてくれ。それじゃあ、授業にならん。」

 

「え〜。めんどくさいから嫌です。それに、これはルール違反じゃないでしょう。」

 

「ならば、落としてくれたら………食堂の食券をあげるぞ!!」

 

「直ぐに解除します。」

 

「ハァ〜。君は、食事と睡眠のことしか考えてないのかね」

 

オールマイトは、何故か溜息交じりに、そう言った。




ヒーローメモ④

クラス: 偉人級

名前: ニュートン

才能《センス》: 【重力変換】 赤林檎は『超重力』の性質を持ち、青林檎は『反重力』の性質を持つ。この林檎に触れたものはその性質が付与される。同時に両方触れると、調和され、物体はその場に留まる。


もし、よかったら誤字・脱字、アドバイスなどありましたら、ドシドシ送ってください!!

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