第1種目 50m走
さて、始まりました。相澤先生の気まぐれにより始まった、最下位除籍の個性把握テスト。
今スタートしました。3番………飯田くん早い!!
「ピッ…………3秒04!」
おおっと、いきなり3秒台が来ました。それには観客も大騒ぎ!!………………………………………………………疲れた。
ども、絶賛場違いの飛鷹伊 零です。何故か、異様に高いみんなのテンションに合わせようと頑張ってみたが、やはり、無理だった。
まぁ、でも記録には関係ないし、いつも通り、できるだけ頑張ろう。
そんな決心を決めた時には、走る順番がまわってきた。
「出席番号17・18、準備しろ。」
そんな相澤先生の指示通りに動き、個性を発動して、アインシュタインを憑依させた。
隣の人は髪がトキントキンの金髪で、野獣のような顔で笑っていた。
「おい、てめぇ、俺の邪魔しやがったら殺すからな。」
あ、……これめんどくさいやつや。こういうときは適当に話を合わせるのが一番得策だよな。ポイントは敬語で話す。
「あーはい、そうですか。なるべく邪魔しないようにしますね。」
「わかればいいんだよ。わかれば」
舌打ちをしてからやっと、離れてくれた。あんなのも、雄英にいるんだなー。………人のことは言えないけど。
多少のいざこざはあったが、問題無くテストができるようになった。
「ヨーイ、スタート!!」
そして走り出した瞬間に
「ピッ、……………………0秒03!!」
「ハァァ!!?なんだそれ速すぎだろ。」
「瞬間移動!?時間停止!?なんだ。どっちにしても羨ましいぜ!!」
今の記録に驚いたのか、みんなが声をかけてきたが、面倒くさいのでスルー。
「おいてめぇ、どうゆうことだ!!俺より早く走るなっていったろ!!」
言ってねえよ。そう心の中でツッコミをしながら、『個性』を発動して向かってくる、えっと……爆豪を対処しようとした。
「んぐぇ‼︎ぐっ…んだこの布固っ…‼︎」
「炭素繊維に特殊合金を編み込んだ「捕縛武器」だ。まず、抜け出せねぇよ。」
だが、そんな考えも途中で相澤先生がとめてくれたので、杞憂に終わった。
「ところで、飛鷹伊、今のはどうやってやった?書類に書かれていることと随分違うようだが。」
戻ってくると、相澤先生が問いただしてきたので、仕方なく、説明した。
「えっと〜。今のは限りなく、転移に近い移動です。」
「移動?今のは瞬間移動したようにしか見えなかったが?」
「ちょっと、話長くなるけどいいですか?」
更に質問してきたので、先生に了承を取った。
「ああ。構わないさ。生徒の『個性』をしっかりと理解しておくのが教師の務めだからな。」
「まず、僕の『個性』が【憑依】だということは知っていますよね?」
「ああ。確か、物に憑依できたり、霊を憑依させたりできるんだよな。」
「はい。今回は、アインシュタインの霊を憑依させました。」
…… 僕の個性はちゃんと把握しているみたいだな。それじゃ……
「先生は特殊相対性理論って知ってますか?」
「もちろん知ってるぞ。確か、アインシュタインが発表した理論だよな。」
「はい。その中で、『光の速度よりも速く動けるものはない』『光の速度に近い速さで動くものは、縮んで見える。』『光の速度に近い速さで動くものは、時間が遅く流れる』という3つの定義があります。」
「つまり、光速に近づくほど、空間は歪んで縮み、周りの時間は遅く流れることになります。」
「 そして、【偉人憑依:アインシュタイン】の
「なるほど、……………………ちなみにだが、これが、憑依できる中で一番強いのか?」
先生は能力については納得したようだが、最後に分かりきった質問をしてきた。
「そんなわけないじゃないですか、こんな能力、ただ早く動けるだけでなんの殺傷力もないし。まだまだ、強い霊なんていっぱいいますよ。」
「そうか。……………呼び止めてすまなかったな。次のテスト会場に向かってくれ。」
そんな、1+1=2を、再確認させられたような質問に答えたが、何故か先生は引きつった顔をして、奥へ向かっていった。
先生に言われた通りに次の種目……握力測定のために、体育館に向かっていった。
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第2種目 握力
特に目立ったこともなく終わった。いつもこんな風に終わればいいのに………結果は、自己採点では中の上ぐらいだと思う。
第3種目 立ち幅跳び
これも、高得点を狙える競技だ。
今更だか、面倒くさいので、アインシュタインの霊を憑依したまま受けている。
僕は飛ぶ時に、空を見た。そうすると、そこに一瞬で移動した。だが、飛ぶ時の運動エネルギーはまだ残っているので、当然前に進みながら落ちていく。そして、地面に着く直前になったら、また、空を見て、そこに移動する。
それを数十回繰り返していると先生が終われと言ったので、もう一度空を見て、移動してから、すぐに地面を見て、そこに移動した。
「飛鷹伊、お前それ、どれぐらい続けれる?」
「そんなこと、試した事もないから、分かりませんけど、体力が続くまで出来ると思いますよ。」
それを聞いた相澤先生は手元の計測器に手動で書き込んで、それをみんなに見した。
そこには、無限、と書いてあった。
無限か…。それって、採点どうするんだろう?
第4種目 反復横飛び
これこそ、僕の独壇場。
「飛鷹伊、お前、何回だ?速すぎて数えれないらしい。」
「えっと………899377374回です。」
「そうか…………。」
相澤先生が何かを諦めたかのような顔をして、また、奥へ向かっていった。
第5種目 ボール投げ
なんか、俺の前の人が『無限』の記録をだしたらしく、大変盛り上がっていた。
「次……ハァ〜。飛鷹伊、用意しろ。」
なんで、あの人は、僕の名前を呼ぶ時に溜息をついたのかな?疲れているのかな?そうだ。疲れているのだ。
「ほい。」
そんな掛け声とともに、 僕は空を見上げて、軽く下向きに投げた。
そうすると、ボールは、一瞬で移動した。
「おい、飛鷹伊、今回はどうした。」
まるで流れ作業のようにすぐに相澤先生が淡々と聞いてきたので、僕はこう答えた。
「今回は太陽に向かって移動させました。流石に太陽は遠いので届くのに、500秒ぐらいかかりますが。ちなみに、距離にすると、約8光年です。」
「もういい。点数は無限にする。」
第6種目 持久走
ここも、50m走の時と同じように、スタートしてから、すぐに
「飛鷹伊、記録0秒02」
第7種目 上体起こし
これも能力を発動して、結果は179875475回だった。
第8種目 長座体前屈
これも、特に言うことはない。結果は中の下ぐらいだろう。
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全種目が終了して、最初の場所に戻って来た。
「んじゃ、パパッと結果発表。」
「トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明すんのは時間の無駄なので一括開示する。」
そう言って、ポイントから小型のプロジェクターをだした。
「ちなみに、除籍は嘘な。」
『!?』
「君らの最大限を引き出す、合理的虚偽。」
『はーーーーーー‼︎‼︎⁇』
おのれ、あのやろう、嘘つきやがったな。折角、面倒くさいけど、学食のために頑張ったのに。
「教室にカリキュラム等の書類があるから目ぇ通しとけ。」
あの男は、嘘をついたのに悪びれもせず、言いたいことだけ言って、帰っていきやがった。
そんな、怒りが込み上げて来たが、急に来た、人間の三大欲求である『睡魔』が襲って来た。
もういいや〜。早く着替えて、寝よう。
ヒーローメモ②
クラス:偉人級
名前:アインシュタイン
才能《センス》 : 【擬似転移】 視認できる範囲内にある空間を指定し、物体を光速に限りなく近い速度で移動をさせる。ちなみに空気抵抗や反作用に関しては発生しない。
備考:面倒く下がり屋の零が、霊の中で一番良く使う能力。
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