怠惰のヒーローアカデミア   作:赤貞奈

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USJ襲撃後のヴィラン連合側のその後です。

連続更新2日目です


閑話
事後の逆夢


「……ここはどこだ?」

 

周りを見渡せば、目の前にカウンターがあった。その奥には数種類のワインボトルが几帳面に飾られていた。そのまま目線を下げれば無骨な作りの椅子やテーブルが散らかっていた。

 

そのテーブルの上には新聞が乗っていた。記事はオールマイトについてだ。

 

「……戻ってきたのか」

 

俺はそこで気づく。

——ここは俺たちの……ヴィラン連合のアジトだ。

 

それと同時に思い出してしまう。

—— 俺が行ったことを……俺が失ったものを。

 

「……くそ!! またおまえら(自称ヒーロー)は、俺から奪うのかよ!!」

 

俺は遣る瀬無くなり、愚痴を吐く……いや、叫ぶ。

 

「あの時も……今回も……俺の何が悪いんだよ!!」

俺は俺自身に問う。

 

「……俺の何が足りなかったんだよ……」

 

力はあった。

——だから、オールマイトは殺す半歩手前まで追い詰めた。

 

数はあった。

——だから、予想より優秀だった生徒達を圧倒できた。

 

作戦はあった。

——だから、侵入困難な雄英に襲撃することができた。

俺には何が足りない?……俺は何に負けた?

——俺はあのガキ(飛鷹伊 零)に負けた。

 

あのガキ(飛鷹伊 零)にあって、俺に無いものは何だ?

 

「……仲間か?」

 

あいつは自分の『個性』で仲間を呼んだ。一人一人が脳無なんて相手にならないほど強力な力を持っていた。

そんなデタラメどもによって俺の計画は無意味に終わった。

だったら、俺も集めればいい。

あいつらに匹敵する強力な仲間を。

 

「正解です。死柄木」

 

カウンターの奥から声が聞こえてきた。

聞き覚えのある声だ。

俺は下を向いていた目線を声の方向に向ける

そこにいたのは、いつも俺の隣に佇み、俺を補佐している男だ。

 

「私達に足りないものは力でもなく、数でも無い……仲間なんですよ」

 

その男……黒霧は言った。

 

「なんで……おまえがここにいるんだよ……」

 

黒霧は俺を逃がすために、雄英に残っていた。

そして、此方には帰ってきた形跡はなかったはずだ。

だから、黒霧がここにいられるはずがない。

 

「私はとても慎重な性格なんですよ。そんな私が身代わりを用意していないわけがないでしょう」

 

黒霧は黒い霧で包まれた顔をユラユラと揺らしながら言った。

 

「今回の襲撃では沢山のものを失いました。……だか得るものもありました。……だから」

 

黒霧はそこで一区切りつき、もう一度俺の目を、悪意で染まった俺の顔を見る。

俺の掻傷した目と黒霧の朧げな目が交差する

 

「次に活かせばいい。死柄木 弔(悪の象徴)‼︎ 次こそ君という恐怖を世に知らしめろ!」

 

——今度は殺すぞ。待ってろよ。

 

オールマイト(飛鷹伊 零)!!

 






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