自分の駄文では上手く表現できないので大丈夫だとは思いますが、もし、苦手な人は『後書き』の方で今回の話のあらすじを書いておきますのでそちらの方だけお読み下さい。
「
零がそう呟く。
すると、零の体から朱色の煙がモクモクと吹き出し、その煙は零の体全体を包み込むように広がる。
暫く経ち、零の体を隠していた煙は少しずつ晴れていった。
「久方ぶりの現世じゃー!!」
煙の中から一つの声が聞こえてきた。
その声は、女性特有の高音で張りのある声。
煙が完全に晴れ、その姿は露見される。
その髪は漆を塗りたくったかの様な艶のある黒色。それを腰辺りまでストレートに伸ばしていた。
その顔は端正に整えられており、その表情からはおっとりとした雰囲気を醸し出していた。
その身体は女性特有の丸みを帯びた体付きしており、それを煌びやかな着物を何重にも羽織り隠していた。
その手には鈴(クリスマスツリーのような形状で文字通り鈴なりに無数の鈴が付いているもの)を持っていた。
その人物には『大和撫子』という言葉がピッタリと当てはまるだろう。
「君は誰だ!?」
その人物の近くにいたオールマイトは思わず叫んだ。
それもそうだろう。
先程までその場にいたのは、『飛鷹伊 零』という
「妾は卑弥呼!邪馬台国の女王卑弥呼じゃ!!」
少女は右手を胸に置き、自分のことを『卑弥呼』と名乗る。
「……………!!?」
それを聞き、オールマイトの表情は驚愕に染まる。
「妙に目線が低いと思ったら、………この姿は妾がまだ、幼子の時の姿じゃな」
周りの反応などいざ知らず。 卑弥呼と名乗った少女は独り言の様に呟く。
少女の体格はまだ、大人とは言えないが子供とも言えない。そんな微妙な成長具合であり、それはまるで、『飛鷹伊 零』の体格をそのまま女体化させたかの様な感じだ。
「まぁ、良いじゃろ。…むしろ、若返った感じで、いい気分じゃ!!」
少女は一人で勝手に自己解決すると、懐から、動物の骨の様なものを出した。
「何はともあれ、占いじゃ!!……誰かー!占って欲しい奴は入るかー!!」
「……………………」
少女が呑気にそう叫ぶが、勿論のこと誰も、何も言わない。
ここにいるのは気絶して、物理的に声が出せない人か、呆れて口が閉じない人か、警戒して状況を静かに分析する人しかいないからだ。
「何じゃー。おらんのかー」
少女は自分の提案に誰一人として乗らない事を知ると、見て取れる様に落胆した。
「もう良い!!……………妾が勝手に占ってやるぞ!!」
少女はまた一人で勝手に怒り出し、ビシッとオールマイトの方に人差し指を向けた。
「……私か!?」
オールマイトは一度、自分の後ろをクルリと見て、背後に誰一人いない事を確認すると、その言葉が誰を指しているかを察し、聞き返した。
「久し振りじゃからなー。失敗するかもしれん」
オールマイトの返答などいざ知らず。
少女は手頃な場所を見つけると、そこに、懐から取り出した骨を置く。
そして、
「フン!!!」
少女は手に持っている『鈴』で骨を全力で叩きつけた。
その衝撃で骨には所々にひびができる。
「ふむふむ……………なんじゃこの不吉な相は!!……身体の大規模な破損に極度の疲労、それにこれほどまで強大な死相なんて見たことないぞ!!!」
「……………うっ!!」
少女の言葉が図星だったのか、短く唸る。
「お主どうやったらここまで酷い相になるのじゃ…………生きておるのか?」
「そんなは‥つぅ!!………」
余りにも酷い少女の暴言にオールマイトは反論しようとするが、突如くる痛みにより、その言葉は口の中で詰まる。
「いい加減にしろ!!!」
少女の登場によって、 空気化が進んでいた死柄木が声を張り上げる。
その声を聞き、オールマイトと少女は同時に死柄木の方を向く。
「姿が変わろうと、関係無い。潰すだけだ」
死柄木はそう言い放つ。
その言葉には覚悟の気持ちがヒシヒシと伝わってくる。
「時間切れじゃー」
だが、またしても、少女からは呑気な声が出る。
「折角、時間を稼がせてやったのに……………はぁー」
少女は残念そうに溜息をつく。
「………はぁ?」
死柄木は少女の言っていることが理解出来ない。
「例え、悪党だったとしても、もしかしたら、妾の国の民の子孫かもしれんしのー。なるべく助けたかったが、本人に逃げる気が無いんじゃ、意味が無いのー」
「……………舐めてんのか?」
死柄木は、どう好意的に見ても上から目線の物言いに、腹を立て、静かに聞き返す。
「妾が言えることは一つだけじゃ。………生きろ」
少女は死柄木の質問には答えず、右手をサムズアップして、マイペースに言葉を投げかける。
少女は死柄木の返答を聞く前に行動を開始する。
「憤怒に縛られる海神よ」
少女は片手で持っていた鈴を両手に持ち替え、神に祈る様な姿勢で、言葉を紡ぐ。
「妾の身を糧として、顕現せよ!!」
「神憑り:須佐男!!」
少女が言い終わると、少女の体が激しく発光する。
「やっと出れましたか」
突如発せられた光は段々と収束し始め、辺り全体を照らしていた光が収まる。
そこにいるのは、先程と変わら無い姿で佇んでいる少女。
しかし、その髪は艶のある黒糸の束には、幾本かの青い糸が入り混じっている。
また、クリッとした少女の双眼は、全てを見透かすかの様な青い双眼に変わっている。
少女の周りにはさざ波立つ水色の立つ手のひらサイズの球体が二つ、フワフワと空中に浮かんでいる。
「さて、それではもう一度僕のことを紹介します」
その口調は先程まで『飛鷹伊 零』がしていた口調。
丁寧な口調だが、底知れぬ恐怖を感じる口調。
「僕は須佐男。零の【憤怒】です」
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「僕は須佐男。零の【憤怒】です」
少女が自分のことを邪馬台国の女王というばかりか、神の名まで口にした。
しかし、私はそれに反論はできたなかった。
少女の存在感がその体では入り切らんと、満ち溢れているからだ。
この少女の中身は違う。この少女には、存在自体がまるで違う相手だ、そう感じる程の存在感がある。
「初めて、この体で顕現したのですが、やはり、目線は低いし、力もかなり落ちているようですね」
先程、私を『占い』と称し、弄んだ少女。
だが、その中身は違う。
「まぁ、それでも………………この状況ならば事足りる」
少女……須佐男は周りを飛んでいた二つの球体の内の一つを此方に寄越した。
「
球体が倒れている私達のところまで来ると、さざ波立っていた表面が薄い桃色になる。
そして、そのまま、倒れている皆を包み込むように肥大化していく。
「オールマイトはそこで回復でもしていてください。」
須佐男の言う通りに、先程の戦いで負った傷がどんどんと癒えていく。
「さて、貴方達はどうしましょう」
私が回復している事を確認すると、その目をヴィラン達の方に向ける。
須佐男が私を助けていることは分かる。しかし、彼の発する言葉、姿を見ると、本能的に恐怖を感じてしまうのだ。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「さて、貴方達はどうしましょう」
突然発行し、その姿を変えた少女が俺の方を向き、そう口にする。
此奴のせいでガキどもが倒せなかった。
此奴のせいでオールマイトを殺さない。
此奴のせいで俺達の襲撃は失敗した。
此奴のせいで此奴のせいで此奴のせいで此奴のせいで此奴のせいで此奴のせいで此奴のせいで此奴のせいで此奴のせいで。
俺の中で怒りが渦巻く。
「落ち着きなさい。死柄木。こんな状況の時こそ、冷静になるのです。」
黒霧が俺を諭す。
「幸い、まだ脳無のストックはあります。これを大量に放出し、その隙を見て、逃げましょう」
黒霧の選択した行動が一番正しいかは分からない。
だが、俺は彼奴をどうしても殺したい。
だから、
「お前を殺すのは、この俺だ!!」
策など何も考えず、ひたすらに走り出す。
「待ちなさい!!」
黒霧が俺を止めようとする。
だが、俺は止まらない。必ず彼奴を殺す。
「僕を見ても、逃げずに立ち向かうとは、その精神力は認めます。だが………」
男の周辺にいた水色の球体が、彼奴の手元に来る。
「僕は、
「
彼奴の手元にある球体の表面が、紫電の雷鳴が鳴り、球体は日本刀の形状に変化した。
「ふん!!」
彼奴がその日本刀を持ち、俺に向かって振る。
すると、刀が振るわれた線上には紫電が、俺を捉えようとする様に轟く。
「やらせません!!」
しかし、その紫電は、黒霧が事前に察知し、置いておいた脳無達が身代わりとなり、俺には届かない。
「死柄木!!まだ分からないのか!!今のお前じゃ彼奴に勝てない!!お前にはすべきことがあるんだ!!」
黒霧がいつもの紳士的な口調もかなぐり捨てて、叫ぶ。
俺がやることとは何だ?
俺は何故雄英に襲撃をした?
俺は何故彼奴に向かっていこうとする?
俺は………俺は………
「まだだ!!」
俺が自分の感情を整理できない内に、二撃目が飛んで来る。
「
今度は全てを切り裂く斬撃の風が俺を襲い掛かる。
「やらせないって言ったでしょ!!」
またしても、黒霧が大量の脳無を犠牲にし、その攻撃を止める。
何故俺の為に黒霧はこんなに必死なんだ?
俺はそもそも何をしようとしていた?
「いい加減にしてください!!」
黒霧はその瞬間に、まだ迷っている俺を靄で囲い、無理矢理ワープさせる。
黒霧のワープ内は重力が無い。
俺は黒霧のワープの中で考える。
俺は……………
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「………逃げられましたか」
須佐男は何の感情も入ってないかの様な声色で呟く。
「分かっているんですよね?貴方は助かりませんよ。」
須佐男は黒霧に向かって言う。
この状況だけ見ると、どちらがヴィランでヒーローなのか分からないだろう。
「死柄木は『
黒霧は答える。
そこには揺るぎない覚悟があることが伺える。
「そうですか」
興醒めしたのか、須佐男は平坦な声色で言う。
「
須佐男の持っていた刀がメラメラと燃える焔の刀に変化する。
そして、一閃。
黒霧の体は燃え、バタリと倒れた。
「オールマイト」
「何だね」
須佐男はオールマイトに声をかける。
オールマイトは須佐男の力により、体力は回復していた。
「一つお願いがあります。僕は今から倒れますので、母………では無く、零の母親を呼んで下さい」
「………分かった」
オールマイトはその意図を汲み取り、しっかりと返事をする。
「…………それでは宜しくお願いします」
須佐男はそう言い残すと、力が抜けるように倒れる。
その後、須佐男の体から、光と煙が出て、一旦その体を隠す。
光と煙が収まる。
その場にいるのは、スゥ…スゥ、と静かに寝息を立て、寝ている零だった。
〜あらすじ〜
零が卑弥呼を憑依。
卑弥呼の才能で須佐男を神憑り。
須佐男の才能によって、死柄木と黒霧を追い詰める。
黒霧はやっとの思いで、死柄木を逃がす。その後、黒霧が倒される。
最後に須佐男がオールマイトに伝言を託す。
ヒーローメモ⑩
クラス:英雄級
名前: 卑弥呼
才能《センス》:【神憑り】 簡易的に神話級の霊(神霊)を憑依させる。
憑依された神霊の力は大幅に低下する。
備考:占い厨 。占いの的中率が神がかっている。
須佐男については物語の最重要キャラの一人なのであまり書きませんが、『ヒーローメモ』的な感じで書くとこんな感じです。
クラス:神話級
名前:須佐男
才能《センス》:?
備考:?
………はい。何も分かりませんね。
後、【個性と霊の能力説明】の《作品内の強さ関係》を変えさせて貰いました。
今までこれを目安にしていただいた方は誠に申し訳ございません。
もし、よかったら誤字・脱字の報告、アドバイスなどドシドシ送って下さい。