怠惰のヒーローアカデミア   作:赤貞奈

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………………なんか、日に日に文字数が多くなっている気がする。

あ、駄文です。


四神の夢

偉人憑依(ヒーローポゼッション):ハンス・ドリーシュ」

 

零がそう唱えると、彼の手元に六つの試験管が生成された。

 

試験管の大きさは手のひらに収まるぐらいの大きさで、表面には何も書かれていない。

中には透明な液体が入っており、その液体が溢れないようにする為にコルクでしっかりと密閉されている。

 

零は手元にある試験管を片手に三つずつ、指の間に挟めて持ち上げた。

 

そして、腕を前に軽く振り、試験管を目の前に投げ出した。

 

試験管は落下の衝撃で砕け散り、中にある液体が煙を発生させた。

 

「よし、成功。」

煙が晴れると、そこには雄英高校の学生服を着た無表情の少年が佇んでいた。

 

 

その後、各所で煙が晴れていき、順々に2体目、3体目、4体目と合計で7体の無表情の少年………飛鷹伊 零のレプリカが出来上がった。

 

「目には目を、数には数を、複製体には複製体を。」

 

オリジナルの零が言ったその言葉を合図に、複製体の内の1体が『個性』を使用した。

 

偉人憑依(ヒーローポゼッション):アインシュタイン」

アインシュタインを憑依させた複製体はその身に白衣を纏う。

「それでは、救出作戦開始です。」

 

オリジナルの言葉に呼応するように、アインシュタインを憑依させた複製体は他の複製体達に才能(センス)を使い、次々と各所へ飛ばしていった。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

______山岳ゾーン_______

 

表面が、まるで削り取られたかの様に凹凸のある、岩が二つあり、それらの岩は山を彷彿とされるように高くそびえ立っている。また、それらの二つの大岩の唯一の移動手段として、小さな橋が一つ架けられている。

 

二つある大岩の一つに一人の少年が立っている。

 

また、向かいの大岩には漆黒に光る黒い肌を持つ『怪人 脳無』の複製体が3体と、黒い靄のヴィラン『黒霧』がいる。

 

黒霧は目の前に現れた少年を注意深く観察していた。

 

その場を静寂が支配する。

 

「さて、こんな意地の張り合いをしていても無駄な時間が過ぎるだけです。貴方の名前は何ですか?何故、此処に来れる?」

 

いつまでも続くと思われた静寂を黒霧は壊し、少年に問いかけた。

 

「……………」

 

しかし、少年は黒霧の問いに何も答えず、一心に黒霧達を見つめていた。

 

「……お仲間を助けにきたのですか?残念ですね。既に瀕死の状態ですよ。」

 

黒霧がそう言うと、周りにいた3体の脳無が、気絶している生徒を見せびらかすように持ち上げた。

 

「………………………」

 

「………黙秘ですか。それならばさっさとご退場願おう!」

 

黒霧は自身の靄を広げ、3体の脳無を男の近くに転移させた。

 

脳無達は少年の近くに転移され、三方向からの攻撃を仕掛ける。

 

まるで、一切表情が変わらない少年。それはまるで心の無い人形。

 

黒霧はそんな少年が脳無によって肉片となる姿が思い浮かんだ。

 

「了承した。主よ。」

しかし、脳無達の攻撃は少年から数センチのところで止まった。

 

そして、少年は何処から取り出したのか、日本刀で脳無達を真っ二つにした。

 

「久方ぶりの任務。この身をかけて全う致す。」

 

黒霧は戸惑った。

 

それは、少年が脳無の攻撃を防いだからではなく、纏う雰囲気が変わったからだ。

 

「………っ…お前は誰だ!」

 

黒霧は少年の変化に怯み、咄嗟に口に出た。

 

「新撰組三番隊隊長の斎藤一。主の指令により童達の救助及びに敵の殲滅を行う。」

 

その少年は手身近に言った。

その名は歴史上に残る偉人の名。

 

かつての激動の時代に生きた男の名。

 

冗談だ。

 

黒霧はそう言おうとしたが、少年から発せられる雰囲気が否定する。

 

「っち………ふふふ。彼等はまだ死んでいませんよ。」

 

黒霧が苦し紛れに笑う。

 

脳無達は『個性:超再生』により、少年…斎藤一によって切られた体が修復されていた。

 

「…………………………だから何だ?」

 

しかし、再生され立ち上がった脳無達は痙攣を起こし次々に倒れていく。

 

「,……っ!!」

 

それを見て、黒霧は今まで下げていた少斎藤一への警戒を最大レベルまで引き上げた。

 

「後はお前だけだ。」

 

斎藤一はポツリと言い、手に持つ剣の切っ先を黒霧に向けた。

 

黒霧は考える。どうすれば(斎藤一)に勝てるかを。

 

先程の戦闘を見る限り、奴相手に脳無達は歯が立たない。ならば、物理攻撃が通用しない自分自身が出るべきだ。

例え、返り討ちにあったとしても、所詮私は複製。情報を本体に渡せばいいだろう。

 

そう考えた黒霧は、自身を斎藤一の近くに転移させ、『個性:ワープ』を最大出力、最大速度で発動した。

 

だが、弾かれる様に靄が斎藤一を避けた。

 

「…………………終わりだ。」

 

斎藤一はそう言い、剣を横薙ぎに振り回した。

 

本来なら通り抜ける筈のその攻撃は、確実に黒霧を捉え、両断した。

 

 

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____火災ゾーン____

 

ビルなどの高層住宅が建ち並び、それはまるで小規模の街。その場所一面を炎が立ち昇る。

 

そんな場所に一匹の鳥がいた。

 

「どこいったのかなー?」

 

その鳥は炎の中を飛び回り、キョロキョロと探す。

 

「みーつけた。」

 

「くそ!!」

 

その鳥は一度上空に飛び立ち、辺りを見渡して、獲物を見つけた。

 

獲物は、自分の体を大きく広げ、そこから黒い肌を持つ生物を出現させた。

 

「あははー。また、その人形かー。」

 

鳥は上空から勢いよく羽ばたき、速度と回転をつけて、獲物に向かって突撃していった。

 

目標は間一髪その突撃は逃れ、代わりに黒い肌の生物が、鳥の突撃を喰らった。

 

黒い肌の生物は刃物で切られたかの様な鋭い切り口で体を両断された。

 

本来、再生能力を持つ筈の黒い肌の生物だがその体は再生されず、燃え盛る火の粉によって、焼却された。

「逃げられちゃったかー。」

 

鳥は再び上空に飛び立ち、獲物を探す。

 

すると、反撃なのか、獲物が飛んでいる鳥の両翼を分断する。

 

「みーつけた。」

 

その鳥は両翼を分断され、飛行能力を失った筈なのに平然と上空に留まり、攻撃をしてきた獲物の方に体を向ける。

 

「何なんだ………何なんだお前は!!」

 

獲物は耐えきれず言い放つ。

 

「さっきも言ったでしょ。僕は新撰組一番隊隊長沖田総司、って。」

 

鳥はそう返し、手に持つ刃で獲物の腹を焼き切った。

 

 

 

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____水難ゾーン____

 

区域全体が湖になっている場所。そこには巨大な、まるで遊園地にある様な、ウォータースライダーが渦巻き状に湾曲しながら水を滝の様に落としている。さらに陸の近くには真っ二つに割れた船が半分沈没気味で佇んでいる。

そんな中、陸の方から何者かの会話が聞こえてきた。

 

 

「誰ですか、貴方は?」

 

黒霧は突如現れた少年に問いかけた。

 

「私ですか!私の名前は上杉謙信でございます。この度は、私達の元に襲撃をなされた貴方達に心からお礼を申し上げたいと主様から聞かされ、やってきた所存でございます。」

少年はそう言いながら手に持っている数珠をギュッと握りしめた。

 

「これ、つまらないものですが、どうぞお喰べください。」

 

少年はニコニコと笑顔でいった。

 

すると、少年の背後にある湖の一部がコポコポと上空に浮かんでいき、いくつかの、刃先が鋭い槍状に変形していき、槍は黒霧達に向かって、素早く突き刺さっていった。

黒霧は靄を広げ、飛ばされた槍をワープさせたが、脳無達は避けれることもなく、深々と突き刺さり、体を貫通した。

 

「………とんでもないお礼ですね。ならば、こちらもお返しをするのが礼儀というものでしょう。」

 

黒霧は先程の攻撃を受けた時の傷を再生したでだろう脳無達を少年に仕掛けた。

 

脳無は命令を遂行しようと、行動を開始した。

 

「すごいですね!!お腹に突き刺したつもりでしたが、再生ですか?回復ですか?………だけど残念!!私の水を取り込みましたね。」

 

脳無達は命令を全うしようと、少年の方に走っていたが、クルリと、急に進路を変え、黒霧の方に向かっていった。

 

黒霧はその反逆とも取れる行動に戸惑うが、直ぐに冷静になり単調に向かってくる脳無等を自身の靄を使い、ワープさせた。

 

「使えなくなったら、直ぐにポイですか。切り替えが早いというべきか、冷徹というべきか………。」

 

少年はというと、黒霧の行動に頭を抱えて、考え込んでいた。

 

「心配しなくても大丈夫ですよ。替えはまだいますから。」

 

黒霧は自身の靄を広げ、そこから脳無を数体出現させた。

 

「ありがとうございます!!」

 

少年は敵が増え、て劣勢になる筈なのにお礼を言った。

 

「これでも僧の身ですから。あまり殺生はしたくないんですよね!良かったです。()が見つかって!!」

 

少年はそう言い、手に持っている数珠を高く、空にかざした。

 

すると、先程とは比較にならない程の多量の水が湖から浮き上がり、巨大な龍を形成した。

 

「死にゆくもの等に安寧の地を」

 

空にかざした数珠を胸にまで下げ、手に掛け、目を瞑り、深く頭を下ろした。

 

瞬間、水で形成された龍は黒霧と脳無の方に反応できない程の速度で、突撃していった。

 

 

 

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____倒壊ゾーン____

 

高層住宅の建物が、大きな地震に遭遇した様に崩れ、壊れ、ゴーストタウンの様な雰囲気を醸し出している。

 

虎が一人吠えていた。

 

「弱っちいな。もっと強い奴はいないのか!!」

 

その虎は手に行司などが持つ軍配団扇を持つ。

その団扇には『風 林 火 山』と書かれている。

 

その虎は倒壊したビルをヒョイヒョイと身軽に飛び回っていた。

 

「あそこか!!」

 

虎は獲物を見つけると、空中でビルを土台に、勢いをつけて、獲物に飛びかかった。

獲物は自身に纏わりつく靄を上手に使い、ゆらりと攻撃を避け、反撃とばかりに自身の体を最大速度で虎に向かって伸ばした。

 

その速さは気体が流動するのと同じ速度。普通は逃げられない。

 

「遅っせえ!!」

 

虎は自分の攻撃が避けられると、直ぐに態勢を立て直し、一瞬で獲物の背後に回った。

 

虎はその鋭利な爪で再び獲物を捕らえようとしたが、またしても、獲物はゆらりと避けた。

 

「ああああ!! イライラする、早く倒させろ!!」

 

虎は理不尽にも叫ぶ。

 

「早くしないと、(武田信玄)(上杉謙信)に負けるんだよ!」

獲物は虎が叫んでいる間にも、必死に逃亡の策を考える。

 

しかし、

 

「焦れったい!!」

 

虎は堪えきれずに、またしても攻撃を仕掛けた。

 

だが、先程までの単調な攻撃では無い。

 

虎は獲物の横スレスレを一瞬で通った。

 

獲物に纏わりつく靄はその一瞬で吹き飛ばされる。

 

「これで、終わりだ!!」

 

獲物は再び、靄を広げようとするが間に合わない。

 

虎は、しっかりと獲物を捉え、その鋭利な牙で獲物を噛み殺した。

 




ヒーローメモ⑧

クラス:偉人級

名前:ハンス・ドリーシュ

才能《センス》:【複製師】 自分の複製を作ることが出来る。しかし、思考能力は無いので、今回の様に霊を憑依させないと意味がない。 憑依させられる霊は偉人級まで。

他にも、色々と制約はあるので、多用はできない。

備考:完全サポート役

アイテム: 試験管

あとの4人はここには書きませんが、『個性と霊の能力説明』には書いておきます。

もし、良かったら、誤字・脱字報告、アドバイスなどドシドシ送って下さい。

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