ご指摘のほど、お願いします。
今回は主人公とベルベットとの遭遇から始まります。
〜ケン視点
「あぁ、やっと人に会えた。」
僕は純粋に安心しつつ、話しかける。本当に誰もおらず彼に面白半分で飛ばされたんじゃないかと考えていた。だがそれは杞憂に終わった。何故なら現に自分の前に人がいたからだ。なんか身構えてるけど、ここじゃこんな反応されても仕方がない。姿を見る限りここを警備しているようには見えなかった。なるべく刺激しないように話しかける。
「すいませんが、ここの人ですよね。外に出たいので出口教えて欲しいんですが・・・」
「「・・・」」
彼女たちは何も言わない。そりゃそうだよね。
「あのー」「がぁぁっ!!」「ちょっ、ちょっと!?」
突然黒髪の女性が右腕にはめてる籠手から刃を出し、切り掛かってきた。心臓めがけて迫り来る刃を半身になって避け、両手で上下から刃を挟むようにして止める。驚いた僕は彼女の方を見る、だが次に見た光景は布で巻かれていた左腕がどす黒く、禍々しく巨大なものに変わっていた。あの状態で攻撃されたらどうなるかわからない。僕は止めていた刃を基点にし、ねじる様に投げて空中に側転させた。
「うわっ!?」
黒髪の女性は驚く、あの体制から投げられるとは思いもしなかったのだろう。このまま地面に叩きつければ完全にこちらが有利になる。そうなれば抵抗してきても組み伏せることができる。だが彼女の琥珀色の瞳はまるで肉食獣のような目つきを見て正気ではないと見えた。恐らくあの変異した左腕が原因なのかもしれない、隙は数瞬 、やるなら今しかない。僕は右の手のひらに自分のもう一人の師、コスモスから教わった[フルムーンレクト]を薄く纏わせる。完全には使いこなせないがこれぐらいならなんとかなる。一回転し終わる瞬間、左腕を右手のひらで叩く。一瞬左腕全体が白く光る。すると鼓動するように赤く明滅していた左腕が伸縮し、元の布で巻かれた状態にもどる。それを確認しすぐさま彼女の肩と腰を掴み、反動を吸収しながら立たせた。セクハラと言われないことを祈りつつ。
~ベルべット視点
(なんだこいつ、どこから湧いて出てきたんだ?)
ベルべットは身構えながら目の前の男を観察する。こんな大男なんて今まで生きてきた中で一度も見たことがない。
(対魔士?いやこいつが対魔士なら既に応援を呼ばれてるか攻撃してくるはずだ。だがこいつはそうには見えん。)
などと考えていると
「すいませんが、ここの人ですよね。外に出たいので出口教えて欲しいんですが・・・」
どっちに向かって言ったのかはわからないが一つ言えることはこいつはこの状況をわかっていないということだ
(こいつは無視していくか、どうでもいいし。)
そう考え動こうとするが、奴の眼があった。その眼はどこか優しさと力強さが感じ取れた。内心イラつきながらもその眼を見ているうちに感情が高ぶるのを感じた、左腕が疼く。こいつを喰えといわんばかりに。あたしはその衝動を抑え込もうとするが、頭の中がやつを喰うという思考で支配される。
喰いたい喰いたい喰いたい喰いたいクイタイクイタイクイタイクイタイ!!!
「あのー」「がぁぁっ!!」
男が言葉を発っした瞬間、あたしの何かが切れた。刺突刃を出し、やつの心臓を狙う!あたしは全力でやつの懐まで突撃した!
「ちょっ、ちょっと!?」
男が驚いた表情を浮かべたがそんなの関係ない!衝動のまま突っこむ!
(もらっタ!!)
そう確信し、刃を突き立てる。その瞬間、男は半身を刃先に合わせるように後ろに下げ両手であたしの刺突刃を上下から挟んで止められる!
(ちぃ!)
すかさず空いていた左腕を業魔手に変える、こうなったら直接頭から喰らッてやル!その瞬間。視界が反転する!
「うわっ!?」
何が起こったかわからずぶれる視界から男を見る。混乱する中男は右手のひらを白く光らせあたしに迫る!くそっ!!やはり対魔士か!早く体勢をっ!!。だがそれも叶わず男の右手があたしの業魔手を素早く叩く、業魔手と自分の中から何かが消え去る感覚が伝わる、その感覚が消えた時には腕は元の状態に戻っていた。何が何だかわからないうちに男はあたしの肩と腰を掴み、何事もなかったかのように地に足をつけさせ、立たせた。あの喰いたいという衝動もなくなっていた。状況も飲み込めないうちに男は数歩下がり、口を開ける。訳のわからない事だらけであたしは無性に苛立った。
~シアリーズ視点
彼は一体ベルべットに何をしたのでしょう。ベルべットが急に彼に襲いかかり彼は驚きながらも攻撃を躱し、刺突刃を止め業魔手で掴みかかろうとした瞬間には彼女の体上下逆さまになっていたから。次に見えたのは彼の右手のひらが白く光っていたこと。あれは浄化の力?というと彼も聖隷・・・いえ、彼からは私と同じ気配を感じない。彼は正真正銘の人間、ではあの光は何?彼女の中にある穢れが消し飛ぶ、というか綺麗になくなっていくのを感じた。その瞬間業魔手も元に戻っていた・・・もしかしたら彼なら・・・これから確かめる必要がありそうですね。私は彼に近づく
〜ケン視点
危なかった、つい反射的に投げてしまったけどちゃんと立たせたし、大丈夫・・・だよな?
女性はかなり驚いた顔をしていた。投げた挙句左腕の異形化を元に戻した訳だし。状況に頭が追いついていないようだ。僕は手を離し、数歩下がる。
「済まない、手を出す気もなかったし、争うつもりもなかったんだ。つい反射的にやっちゃって・・・」
取り敢えず謝罪と言い訳をした。
「・・・チッ!」
黒髪の女性は舌打ちをする
「なかなかのお手前ですね」
赤髪の女性が歩いて近づいてきた。
「あー・・・いえ・・・傷つける訳にはいかないですし。それn「おいっ!」・・・ああっはい」
「あたしに何をした!」 ベルべットが食いつくように迫る、それに合わせて下がる。
「いやーなにをしたというか、なんというか」
どもるしかない僕
「今のはなんだ!お前は対魔士じゃないのか!?」
「ええと・・少なくとも対魔士じゃないです、はい」
「じゃあさっきのアレはどうs「うちのものがお手数かけました」っておい今あたしが話してるんだぞ!!」
「初めまして、私の名はシアリーズ。以後お見知りおきを・・・」
「はあ・・・」
「そしてこっちがベルべット」「勝手に話を進めるな!」「今はここを出ることが先決ではないのですか」
「~~~~ッ!!!」正論を言われたのだろう声にならない声で唸る
「あなたの名前は?」シアリーズが尋ねる
「あっはい、僕の名前はケンっていいます地味な名前ですけど」
「ではケンさん、あなたはさっきここから出たいとおっしゃいましたね?私たちもここから脱獄するのです
どうでしょうか利害が一致していますからここは私たちと共に行くというのは」
「うーん、なんで脱獄するかはわかりませんが。わかりました。やりましょう」
「では先を急ぎましょう」「はい」「だから勝手に進めるな!!あと置いていくな!!」
彼女の言葉が辺りに木霊しながらも来た道を引き返す。
こうして僕はベルべットとシアリーズの3人で脱獄(?)劇が始まるのだった
第2話 終わり
今回は遭遇といいながらも主人公とベルべットの初戦闘となってしまいました。
次回からは監獄島の脱出です。
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