今回は戦闘がありますが書いたことがないので上手くできないかもしれませんがよろしくお願いします。
光を抜けた先に最初に目にしたのは牢屋が並んだ通路だった。
周りは暗く壁と床は全て石で出来ており、石柱には必要最低限の灯りであろう松明が灯されていた。灯りとしてはかなり心許ない。
「ここはどこだろう。てっきり街かなんかに出ると思ってたんだけど。」
これからどうしようと思案しつつおもむろにポケットに手を入れた。何かが手に当たった。なんだろうとポケットから取り出し確かめる。
そこには二つ折りの紙が入っていた。
(これを仕込めるのはあの人しかいないか)
心の中でぼやきながら紙を開く
*これを見ているということは無事辿り着けたようだな。すまない、君が出る場所は適当に決めさせてもらった。そこは監獄島タイタニアという場所だ、文字どうり島一つを監獄に利用している。囚人は業魔病に侵された者や既に業魔化したものが収容されている。君の目で業魔がどういうものか確かめてみるんだな。世界の現状は早めに理解しておくのが得策だぞ?じゃ、そういうことで。*
出る場所適当ってそんなのないよホント。だがこれはある意味チャンスだ、業魔と言う存在がどんなものなのかを知る事ができる。そうと決まれば早くここから移動しよう。そう思い紙を閉じようとしたら一番下部分に書き加えた後があった。
*追伸・忘れていた。そこには警備が巡回している。そいつらは対魔士と言って業魔と戦う勢力だ。もし見つかったら業魔でないとわかっても侵入者扱いになるから気をつけろ。どうするか君の選択に任せる。じゃ、また*
前言撤回、適当にしては出来過ぎている。彼の事だ、こう言いつつワザとここに連れて来たのが丸わかりだった。今更ゴネても仕方ないが。
「とにかく移動しないと、島って事だから本土から船かなんかで物資や囚人を移送しているはずだ。時間はわからないけど、そこは一か八かか・・・」
それから直ぐに移動を開始した。どうやらこの区画は誰も収監されておらず、巡回はいない別の所に行っているようだ。特にめぼしいものもなく。少し思案した後別の区画に行くことにした。
「一度他の所に行ってみるか・・・ここがどこかもわからないけど。」
物音を立てないように自分が向いていた方向を逆に向け別の通路へ向かう、その途中に物資であろう積まれた木箱と宝箱のようなものがあった。それとなぜか鎧を着た兵士が二人倒れていた。気にはなったが今は現状把握が先だ。僕は無視して階段へ向かった。
〜数刻前
ベルベット視点
彼女暗く、深い独房にいた。そこは普通の物と違い天井は高く、まるで凶暴な生物を閉じ込めるための物のようだった。ベルベットはそこにいた。だがその姿はかなり酷い物だ、髪は伸びきり纏めてはあるが所々跳ねている 服はここで過ごすうちに傷み、破け、千切られたのだろう。一部を残して辛うじて機能を保っている。
・・・あたしの世界は終わった・・・あれから三年・・・堕とされた闇の底で、あたしは食らい続けた
ベルベットの目の前には虎のような業魔がいた、だがその姿とは裏腹にひどく怯えている。まるで蛇を前にした蛙のように ベルベットは異形と化した左腕を顔の前まで上げる、一瞬だけ赤く発光した。それを皮切りに虎の業魔はベルベットに背を向けて逃げ出した。もっとも高い壁に仕切られ天井は高くいくら業魔といえど逃げるのは不可能。だが生き物の本能か、一目散に逃げた。ベルベットは屈んだ次の瞬間に跳躍する。数瞬で虎の業魔の頭上に迫り、左腕で頭を掴み床に叩きつける。
業魔の血と肉を
左腕から異様な音を立て、紫色の靄を出しながら。
まるで食らうかのように。
「ふうぅ!」
唸るかのような声をあげた瞬間、何かが潰れた音と同時にベルベットの頬に血のようなものがかかる。それと同時に虎の業魔は霧散した。
生きるために 生きて、あの男を
ベルベットは上を見上げる
弟の仇を殺すために
〜ケンが思案している間〜
???
暗く冷たい石の空間を進む人影があった、その影はベルベットの牢に向かう。影は牢の鍵を開け戸を開け、飛び降りる。落ちるスピードは早くもなく遅くもない、羽の様に軽やかだ 床に着地し、その後に鉄の梯子か荒々しい金属音を立てて地面に落ちる。その影の正体は女性だ。紅い髪の先に白いメッシュ、服は蝶を連想させ、目の部分には視線や正体がわからない様にするためだろうか、黒と黄色の鳥が翼を広げた姿を模した目隠しをしている。
彼女はゆっくり歩きながら周りを見る。灯りという灯りはなく、暗い。数歩ある歩いた時足が止まった、闇の中で何かが蠢いている。そう、ベルベットだ。彼女は半身を後ろにさげる。ベルベットは立ち上がると同時に彼女に向かって走り出した
「おおおおおっ!!」
「ぐうぅっっ!」
ベルベットは顔面を掴み壁にたたきつける。だがその瞬間ベルベットの左腕が突然燃え上がった。
「があああぁっっ!!」
熱に耐え兼ね、投げ飛ばす。だが女性は何事なかったかの様に空中で体勢を整え、着地する。ベルベットは自身の左腕で燃え上がる火を払う様に消す。
「あの男はどこにいる、シアリーズ」
「・・・まずは試さねばなりません 教える価値があるかどうかを」
シアリーズと呼ばれた女性はそう言い、構え、ベルベットに向かって走り出した。
「はあぁぁっ!」
シアリーズが炎を纏わせた手を横に振りかぶる。ベルベットはそれを防ぐ
「価値がなければ殺します、お覚悟を!」
「うるさいっ!」
防ぎざまサマーソルトキックを放ち、続け様に蹴りを繰り出す。しかしほとんど防がれる。当たっても掠る程度だ。
「だあぁっ!」
焦りと苛立ちで僅かに隙ができる。シアリーズはそれを見逃さなかった。
「ふんっ!」
「ぐうう!?」
炎を纏った腕を下から上に振り上げ、それに従うかの様に火柱が上がりベルベットを吹き飛ばす。壁に激突しずり落ちながらも体勢を整え、相手を見る。その目はまさに闘争心剥き出しの獣の目。
「ああああ!!」
地面に着いたと同時に跳躍、足を振り上げ踵落としを繰り出す。想定外の攻撃でシアリーズは反応が僅かに遅れた。咄嗟に両腕でガードする。
「あう!」
「甘い!」「ぐっ!」
地面に手をつけ回転する様に横蹴りを叩き込む、シアリーズはまともに食らったが受け身を取るかの様に空中で回転し着地した。ベルベットはそれを見逃さず接近する。しゃがんだままの彼女に回し蹴りを放とうとした時足元から炎を伴った爆風があがる。
「つっ!」
すかさず回し蹴りを止め、勢いを使い距離を取る。一時の無音、ベルベットが口を開く。
「・・・何故全力を出さない」
「合格ですね。それがわかるなら」
ベルベットは姿勢を変え、続ける。
「あの男の聖隷が、この程度のはずないでしょ」
今度はシアリーズが構えを解く。
「もうあの方の聖隷ではありません」
「・・・」
「まず、この3年間に起こったことからお話しましょう」
シアリーズはベルベットの前を歩きながら話し始めた。
「今、世界には多数の対魔士が存在し、組織立って業魔に対抗を-」
「言え」
ベルベットが話しを遮る。
「アルトリウスはどこだ」
シアリーズは首だけ動かし
「・・・ミッドガンド領にある王都ローグレスにいらっしゃいます」
それを聞いたベルベットは踵を返し梯子に向かい始める
「知らなくて良いのですか?あの夜見たものが何なのか」
足を止めたベルベットの脳裏にあの光景がうかぶ
「あの夜・・・あの方が成された儀式を境に世界は変わりました」
「多数の聖隷が降臨し、(それ)を従えた対魔士たちが業魔の氾濫を食い止めたのです」
「今や、対魔士の組織[聖寮]を率いるあの方は、王国からも民衆からも絶大な信頼を得ています。人を護る盾にして業魔を狩る剣。救世主アルトリウス・コールブランドとして」
その言葉を聞いたベルベットの目つきが変わる
「ライフィセットを犠牲にして得た力でしょう」
シアリーズは頷く
「ですが、まだ完全ではありません。今なら殺すことができます」
それを聞いたベルベットが振り返る
「何故あんたが?」
「理由は、無事脱獄できたらお話しします」
「脱獄・・・か、いいわ。誰が何を考えようがあたしはアルトリウスを殺す、それだけよ」
それを聞きシアリーズはもう一度頷いた、そのまま指を二本立て、自分の前に出す。指の先から光が灯りそれを横に振る。すると天井に光の糸と紋章が浮かび音とともに割れる。
「頸木は断ち切りました。急ぎましょう」
その言葉と同時に二人は歩きだした
〜
梯子を上った二人は辺りを確認する。巡回はいない
「こちらに上へと通ずる階段があります。行きましょう」
「わかった」
二人は右手の通路にある階段に向かおうと歩き始めたが、その歩みはほんの2歩でとまった。理由は通路の先から気配がしたから。重圧を感じるかと思いきや。恐怖は感じない。不思議な感覚に戸惑う内に、気配の主が現れた。背は2メートルあるかと言わんばかりに大きく、服で隠しているが体はガッチリしている。髪はベルベットと同じ黒で短く切り詰めてあり顔はとても美男ではないがかなり男らしい顔つきだ。目つきはほんの僅かだけ切れているがその目はこげ茶で視線はどことなく優しく見える。あちこちキョロキョロしながらも二人を見ると歩を止めた。身構えている二人に少し首を傾げながら短く喋る。
「あぁ、やっと人に会えた」
これがケンとベルベットの初の出会いになった。
第2話 終わり
やっぱり初めて書くとなると上手くいかないですね。
感想があればお願いします。