テイルズオブベルセリア 〜争いを好まぬ者〜   作:スルタン

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遅くなりました。今回で新しい技が使えるようになります


第8話

 

装備を新調したベルベットとロクロウ。ルシフェルからの贈り物を受け取ったケンは一同組合の待つ浜辺に向かう。いつも通り隠し戸から裏道へ出る

 

「船の修理はなんとかなりそうね」

「それで問題が解決するわけじゃない。船をまともに操れなきゃ、また難破するだけだぞ」

「さすがに難破は勘弁です・・・」

「でも航海士なんて探してるヒマはないし、かといって定期船は許可なしじゃ乗れないわ」

「俺たちだけで、なんとかするしかないってことか。だが、俺の操船の腕は、前の通りだぞ?」

 

船が修理されても今のままじゃまた事故が起こる。だが航海士を探すにも時間がかかる定期船も聖寮に抑えられているため手段がかなり限られる。

 

「無理強いはしないわ。独りだってやるだけよ」

「どっかにフリーの航海士はいないもんかなぁ」

「そんな都合良くいたら苦労はしませんよ・・・」

 

浜辺に続く道を進みながらロクロウがベルベットに話しかける

 

「なあ、ベルベット。お前が殺すと業魔は人間に戻るのか?」

「・・・は?どういうこと」

「海岸で襲ってきた業魔のことだよ。死んだら人間に戻っただろ」

「今まで俺が斬った業魔は、死んでも業魔のままだったから、ちょっと気になってな」

 

確かに海岸でケンがベルベットに飛び掛かられる前に業魔を喰らっていた。その時人間に戻っていた。

 

(業魔は死んでも業魔のまま・・・?でも、あたしが殺したニコや村の人たちはーー)

「業魔の方にアタリハズレがあるのかな?」

「くだらない。死体がどうなろうが意味なんてないでしょう」

 

ロクロウのなんともな推理にベルベットは呆れを覚えながら答える

 

「・・・だな。死んだあとにアタリが出ても仕方ない」

「そう。重要なのは、喰らった業魔があたしの力になること・・・それだけよ」

(・・・ベルベットさんの業魔の力は確かに特殊・・・決定的な違いは業魔を喰らう、いや穢れと力を吸っていること。だが何か引っかかる・・・まるで集めさせているような感じ、何か重大な事の様に思える)

 

 

その後組合員と合流する。だが組合員は深刻な表情を浮かべていた。ケンには大体予想がついた

 

「だめだな、この船は。"竜骨"がイっちまってる。新しい船をつくった方が早いぜ」

「やっぱり・・・」

「竜骨?」

 

ベルベットは初めて聞く言葉に復唱する

 

「人で言えば"背骨"が折れた状態っことだな」

 

ロクロウがわかりやすく説明する

 

「・・・大体、なんでこんなところで座礁した?普通は、ありえないぞ」

「直せないことはわかった。戻っていいわ」

「どうする?街で新しく手配させるか?」

「それしかないか。その時間があればいいけど・・・」

「ですが、あまり大きな動きを見せれば聖寮に怪しまれますよ?」

「うーん、どうしたもんかな・・・」

「そうね・・・」

 

 

ヘラヴィーサの中にある教会。聖堂の祭壇の前で跪き祈りを捧げる女性が一人、一級対魔士テレサである

 

「偉大なる聖主カノヌシに願い奉る。彼の物に幸運と栄光を」

 

テレサが祈りを捧げる中、一人の人物が近づいてくる

 

「我が身は、そのための贄なり。礎なり・・・」

「姉上」

 

その言葉を聞いたテレサはすぐ様後ろを振り向く

 

「まぁ、オスカー!突然、どうしたのです?」

 

テレサは嬉しそうな表情を見せるが、直ぐに驚愕に変わる

 

「その傷は!?なにがあったのですっ!!」

 

オスカーの顔、正確には左眼全体を包帯で覆った姿に声を荒げながら駆け寄る

 

「業魔に不覚を取りました。その件で本部に召還される途中に寄ったのです」

「ああ、こんな・・・かわいそうに・・・」

 

テレサはオスカーの顔に手を添える。彼女にとってオスカーは大切な存在だとわかる

 

「痛みますが、まだ戦えます。この傷は、我が未熟さの戒めとしましょう」

 

オスカーは首を振りながら話す。慢心故の負傷、それを改める辺りオスカーの向上心は並ではない。テレサは一歩下がる

 

「さぞ卑劣な相手だったのでしょう?」

「いえ、左手でこちらの力を喰らい、撃ち返す力を持った業魔です。見た目は、燃えるような瞳をした黒髪の女性なのですが・・・後もう一人、こちらも黒髪で短髪、背がかなり高い男性。その男性はドラゴンと化した聖隷を素手で叩き伏せる程の者です。私では不意を突いての一太刀が精一杯でした。」

 

オスカーの言葉にテレサは目を見開く。脳裏に横を向くベルベットと石段に座るマギルゥ、そして頭を下げるケンの姿が浮かぶ。シュールである

 

「油断すれば一等でも危うい相手です。どうかお気をつけください」

(あいつらか!!)

 

オスカーの忠告を聞いているのかいないのか。テレサは歯を食いしばる

 

「姉上?」

 

オスカーが心配して声を掛ける。テレサはハッと気付く

 

「わかりました」

 

そう言うとテレサはオスカーの左手を取る

 

「大丈夫。この程度の失策、なにほどのこともありませんよ」

 

テレサはオスカーに励ましの言葉を掛ける

 

「実は、姉上に励ましてもらいたくて寄ったのです」

 

テレサは微笑みを浮かべオスカーを見る。家族故に分かるのだろう

 

「着けてくれているのですね、その耳飾り」

「もちろんです。あなたがくれたものですから」

 

テレサは左耳の耳飾りに触る

 

「思った通りだ。姉上によく似合う」

 

テレサは恥ずかしそうな仕草をする。

 

「では、これでおいとまします」

 

オスカーは聖寮式の敬礼をテレサにし聖堂を出る。テレサはその後ろ姿を見送った。何処と無く寂しそうな表情を浮かべるが、部下の声で一気に険しい表情に変わる

 

「テレサ様。密航者を捕らえました」

 

部下の対魔士が密航者を連れてくる。派手な服装と癖のある前髪。そうマギルゥだ

 

「濡れ衣じゃよ〜!許可を取らずに乗っただけじゃのに〜」

 

マギルゥは言い訳にもならない言い訳を言う。人はそれを密航と言う。そんな彼女にテレサは近づき頬を叩く。辺りに乾いた音が響く

 

「女業魔の仲間ですね。あの者はどこです」

「ふん、このマギルゥ様に拷問は無意味じゃぞ」

 

マギルゥはいつになく真剣に喋り、鋭い眼つきでテレサを見る。辺りの空気が張り詰める、マギルゥがニヤリと笑い

 

「なんでもペラリと喋るからの〜♪」

 

確かに無意味だった

 

 

丁度その頃三人は一度ヘラヴィーサに戻っていたが入り口近くで撤収した筈の組合がいた

 

「聖寮から告知があった。業魔を街に呼び込もうとした魔女の公開処刑を行うそうだ

「・・・へぇ、そんな悪い奴がいるのね」

 

ベルベットは心辺りはあるが適当に流す

 

「街には近づかない方がいい。テレサ様がよく使われる手だ。悪党の仲間を誘き出すためにな」

「悪党はお互い様でしょ」

 

ベルベットが正論を吐く

 

「だから忠告した。テレサ様は一等対魔士のトップクラスだ。悪いことは言わん。今のうちに逃げろ」

 

組合長はそれだけ言うと部下を連れ街に帰っていった

 

「魔女って・・・マギルゥだよな?」

「あの人以外に誰がいます?」

 

ロクロウの言葉にケンが答える。それしかないのだが

 

「聖寮に気付かれたわね。抜け道も見つかったと思った方がいい」

「船の手配も、もう無理だな」

「どうします?」

「・・・手配出来ないなら、奪えばいい」

「奪うって・・・ヘラヴィーサの船をか!?こっちは三人だぞ」

 

ベルベットの言葉にロクロウが驚愕する。無理もない

 

「まだ協力できる奴がいる」

 

ベルベットが言う。それにロクロウが気付く

 

「ダイルか」

「あいつは航海士だって言ってた。仲間ができれば一石二鳥よ」

「そうかもしれんが・・・マギルゥはどうする?」

 

ロクロウはマギルゥを心配してるのかしてないのか、マギルゥの事を話す

 

「・・・それは聖寮次第ね。ダイルの洞窟に行くわよ」

「すまん、マギルゥ・・・成仏しろよ」

「ちょっと早すぎやしません?」

 

 

ダイルがいる洞窟に再び訪れ、奥に向かう

 

「お前って、徹底してるよなぁ」

「なにが?」

 

ロクロウ歩きながらベルベットに話しかける。道中の敵を倒しながらだが

 

「行動がだよ。ダイルを利用し、商戦組合を脅し、マギルゥを見捨てる・・・自覚してるだろ?」

「別に見捨ててない。気にしてないだけよ」

「・・・やっぱり徹底してるな」

「よくわからないヤツだけど、マギルゥは、そう簡単には殺せないわよ」

(それもそうか)

 

ベルベットの言葉にケンは監獄島の事を思い出す。初めて会った時、ベルベットの刃を簡単に避けたからだ

 

「第一、あいつは、こっちの手の内を全部聖寮にバラしてるはず」

「マギルゥさん鋭いとこありますし」

「・・・それはそうかもな」

「だから、あいつも知らない手札が必要なのよ。例えば"死んだはずの業魔"・・・とかね」

「・・・なるほどね。」

 

ベルベットが意味深に言う、ケンはなんのことか理解した

 

 

あれからベルベットとロクロウは敵を切り捨てながら進むケンが出る幕もないくらいに。粗方片付き、ロクロウは自分の獲物を見る

 

「さて、刃をもうひと研ぎして、仕上げておくか」

 

先ほどの戦闘で切れ味が落ちたのだろう。手早く研ぎ始める

 

「・・・」

 

ベルベットは黙って見ている

 

「ブレードの手入れはしてるのか?なんなら一緒に研いでやるぞ?」

 

ロクロウが気づき一緒に研ぐのを提案する

 

「いい・・・命綱を気安く他人に預けるなと教わったから」

「応、なかなかいい師匠に巡り合ったんだな」

 

ベルベットはロクロウの言葉に苦い顔を浮かべる

 

「俺が研ぐ必要はないが、手入れは小まめにしておけよ。教えるまでもないだろうが、研いだ後はクローブ油を塗って、羊毛で拭くようにな」

「・・・それも、教わったわ」

(弟を殺した、あの男に・・・)

 

 

「なんで戻ってきやがった?」

「事情が変わった。あんたの襲撃に手を貸すわ」

 

暫くしてダイルと合流し、襲撃に参加する皆を伝える

 

「ふん、ずいぶん勝手言うじゃねぇか」

「仕方ないでしょ。業魔なんだから」

 

お互いに皮肉を言う。しばらくしてダイルが笑う

 

「くははははっ!ちげぇねぇ!業魔になって初めて笑ったぜ。だが、いいのか?自殺行為だぞ」

「そうならない策戦がある。今。対魔士たちは、人質をとってあたしを街に誘い込もうとしている」

「なら、倉庫に通じる抜け道から攻め込めばーー」

 

ダイルが倉庫の隠し戸からの奇襲を提案する

 

「だめよ。多分、敵はそこで待ち伏せている。だから、逆を突いて正面から切り込む」

「そんなのが策か!?」

 

ダイルが驚きの声を上げる。それもそうだ、はたから見ればこれでは単なる力押しだ

 

「正面は囮よ。敵を正面に集めたところで別働隊が抜け道から港を襲い、船を確保。正面から斬り抜けた隊と合流して、船で脱出する。あんたには操船を頼みたい」

 

策戦の説明を聞き、ダイルが質問する

 

「・・・ひとつ聞かせろ。誰が正面から攻める?」

「もちろん、あたしが」

「いいだろう。決行は?」

「明日。それまで一休みさせてもらえる?」

「お好きなように。タールのベッドの寝心地は最高だぜ」

 

ダイルがジョークを飛ばしながら承諾する。奇襲は明日、それまでここで待機することになる

 

 

「お姉ちゃん・・・お姉ちゃん」

 

ベルベットの耳に懐かしい声が聞こえる。眼を開けるとそこには実の弟であるライフィセットが心配そうに自分の体を揺すっていた

 

「・・・ラフィ?」

 

ベルベットは朦朧としながらライフィセットの名を言う。ベッドで寝ていたようだ

 

「うなされてたよ。怖い夢でも見た?」

 

ベルベットはすぐ様起き上がり弟の顔を見る。あの時と変わらない、笑みがこぼれすかさず抱きしめる

 

「うん・・・すごく怖い夢だった」

 

ベルベットは弟がここにいると言う実感を確かめる。アレは悪い夢、幻だったと

 

「ねえ、離してよ。僕、行かなきゃいけないんだ」

「行くって?」

 

ライフィセットがベルベットを引き剥がす。ベルベットには何のことか分からないが次の言葉でその意味がわかった

 

「鎮めの祠。アーサー義兄さんが来いって」

「!!」

 

弟の言葉にベルベットの顔色が変わる。弟を殺され、左腕を失い、全てを失ったあの場所。そこに弟が行くと。固まっている内にライフィセットが歩いていく

 

「行っちゃダメ!ライフィセット!」

 

ベルベットが止めようと走り出すが両手両足が突然火に包まれ身動きが取れなくなる

 

「あいつはッ!アルトリウスは、あんたをッ!!」

 

必死に叫ぶ。だがライフィセットはそのまま歩いて行く姿を最後に視界が暗転する

 

 

「!?」

 

ベルベットが眼を覚ます

 

「大丈夫か?ひどくうなされてたぞ」

 

隣にいたロクロウが立膝をつきながら心配そうに言う

 

「平気。何でもないわ」

 

ベルベットはそうぼやき前を見る、そこには何かを繰り出そうと構えを繰り返しているケンとそれを見守るダイルがいた

 

「あいつなにしてるの?」

「あぁ。技の訓練だそうだ、一つでも使えるようにならないととか言ってたな」

 

ケンはダイルに何かを話す、ダイルは何故か驚いている。ケンが頼み込みダイルは渋々頷く。二人はタールが溜まっている方へ歩いて行った

 

「・・・今度はなにするのかしら?」

「さぁな?火遊びでもするんじゃないか?」

 

ロクロウが冗談交じりに言った瞬間タールの溜まりから火が上がる

 

「ちょっと!!あんたがそんなこと言うから!!」

「まさか本気でやるとは!!」

 

二人が慌てているのを余所にケンは構え両手にエネルギーを集中させる

 

「おいおいあんちゃん、大丈夫か?かなり火がデカいぞ?ちゃんと消せるのか?」

「今ならいけます。では!」

 

ケンは両手を斜め上に突き出しそこから青色の光線が放たれる。その光線は火の真上に到達すると同時に破裂、光が広がると同時に一瞬で火が消えた

 

「よし、これで使える技が一つ増えた」

「おうおうあんちゃんやるじゃねぇか。まさかあんなどでかい火をあっという間に消しちまうなんてな!他にもあるのか?」

「えぇ、あるにはあるんですが。まだ満足に使えなくて」

「ほーうそうか」

 

ケンとダイルが話し込む姿を見ながらロクロウが喋る

 

「・・・あいつの技、変わってるな」

「そうね。あたしもほとんど知らないけど」

「だな」

「・・・」

「・・・」

 

無言になる中最初にベルベットが口を開く

 

「・・・つきあわなくても恨まないわよ。別に」

「そうはいかん。お前が死んだら恩が返せない」

 

きっぱり返すロクロウ、ダイルはケンと話し終え出口に向かっていった

 

「変わってるわね」

「そうかな。だが、俺は"こう"なんだ」

 

親指を自分の胸な向けるロクロウ。こういう生き方なのだろう

 

 

「ベルベット・・・アルトリウスって誰だ?」

「・・・仇よ。弟の」

 

ベルベットが怒りと悲しみが混じり合った表情を見せた。ロクロウは察したのかそれ以上なにも言わなかった

 

「準備はすんだ。ダイルは出口で待ってるはずだ」

「・・・出発しましょう」

 

 

「よく休めたか?」

「おかげでね。"アレ"の準備は?」

「ばっちりだ。名前、まだ聞いてなかったな」

「ベルべットよ」

 

ベルベットはダイルに感謝する。ダイルは準備ができたことと、名前を聞いてくる

 

「生き延びたら一緒に出航しようぜ、ベルべット。死んだら墓に名を刻んでやる」

「口の悪いやつ」

「はっはっは!そりゃ元からだ!」

 

ダイルのジョークにベルべットがそのまま返す

 

「ケン、あんたはダイルと一緒に行動して、念のためにね」

「大丈夫ですか?」

「あくまであたしたちは囮。機を見て港に向かうから」

「じゃあ、行くか。ヘラヴィーサを襲撃に!」

 

ロクロウの声を合図に4人は洞窟を出る

 

 

洞窟を出てヘラヴィーサに向かう。ダイルとケンは二人で打ち合わせをしている、ついでにケンはリュックをダイルに預けた。今はウエストポーチだけ

 

「そういえば、あの羅針盤を持って逃げた少年、どこ行っちまったんだろうな?」

 

ロクロウがあの少年の事を思い出す

 

「たぶんヘラヴィーサでしょ。聖隷は対魔士に使役されてるんだから」

「となると、襲撃の時に出くわすかもな」

 

ロクロウの心配をよそに鼻で笑うベルべット。少なからず聖隷、対魔士に使役されている以上敵であることには変わりない

 

「治療してもらった恩があるから斬りたくないとでもいうの?」

(いや)、立ちはだかるなら斬るだけだ。だた・・・」

 

そっけなく斬り捨てると言い放つロクロウ、夜叉故かそこに関してはなんの情けもないようだ。だが最後に言いよどんでベルベットが聞き返す

 

「ただ・・・?」

「礼を言うのを忘れないようにしなきゃな」

「・・・そうね」

「お前は心が痛まないのか?」

「・・・別に。聖隷はあまり美味しくないって思っただけよ」

 

シアリーズが残した指輪を見る[そういう]意味を含めて

 

「ほう、聖隷は不味いのか。ひとつ賢くなった」

 

 

ヘラヴィーサの街へと続く門。そこに二等対魔士二人が今も警備にあたっている。

 

「それじゃここから別れましょう」

「しくじらないでよ」

「任せときな、行こうぜあんちゃん」

 

ダイルとケンは抜け道の方へ向かう。ベルべット、ロクロウは文字どうり真正面から攻める。ベルベットが先頭に立ち対魔士の目の前まで行く

 

「お前たちは!?」

 

対魔士が気づき警戒する

 

「そっちの目論見通り、来てやったっわよ!」

 

ベルべットとロクロウが走り出しそれぞれ別の対魔士に向かう槍を持った対魔士が盾を構えながら槍を突き出す

 

「ふっ!!」

 

ベルべットが縫うようにぎりぎりで躱し対魔士の懐に飛び込む。対魔士は反応できずに隙ができる、それを見逃さず腹部に蹴りを見舞う

 

「げふっ!?」

 

対魔士が腹部の激痛で崩れ落ち腹を抑え嗚咽する

 

「はぁっ!!」

「がっ!!」

 

追い打ちと言わんばかりに背中に踵落としをし完全に黙らせる。

 

「貴様ぁ!」

「おっと!危ない危ない」

 

剣をもった対魔士が仲間を倒され激昂しながらロクロウに斬りかかる。ロクロウはそれをたやすく躱し短刀で捌きながら徐々に追い詰める

 

「そら!」

「うわぁ!!」

 

いつの間にか攻守が逆転してロクロウの短刀が対魔士を斬る。どうすることもできず対魔士は前のめりにそのまま倒れる、警備を片付け二人はそのまま門をくぐる。街には住民の姿はない

 

「街人を避難させてる。やっぱり罠か」

「そういうことなら望むところよ」

 

 

街の中央まで進むと商船組合の隣にある教会の前に対魔士たちが集まっている。待ち伏せだ、だが二人はお構いなしに教会の前まで近づく。その間に対魔士たちが二人を囲うように移動する。ロクロウはそんな彼らを見てどこか楽しそうだ。教会の門の前に聖隷の少年が二人、そして一等対魔士のテレサ両手を後ろに縛られたマギルゥがいた

 

「おお、まさか助けにきてくれるとは~!お主、意外にいい業魔だったんじゃな~♪」

「あなたが監獄島を脱した業魔ですか?」

 

能天気に話すマギルゥと冷たく問いただすテレサ。対照的だ

 

「だったら?」

 

ベルべットが肯定する。テレサは杖を回して突きつける

 

「オスカーを傷つけた罪!楽に死ねると思うな!」

 

テレサの声を皮切りに、対魔士が近づいてくるケンの存在はオスカーに知らされていたが目の前の敵にそれどころではないのだろう。好都合だ

 

「かかってきなさい、対魔士ども!」

「義によって助太刀する!」

「その女の左手に注意なさい!」

 

数人の対魔士がベルべットに剣と槍を振りかざす。ベルべットは左腕を業魔手に変え横弄りに振る。リーチの増加で反応できない対魔士がそのままひっかかれるように吹き飛ばされる

 

「はあぁ!!」

「ギャアア!!」「ぐあああ!!」

 

負けじと他の対魔士が後ろから斬りかかるが回し蹴りで頭部を蹴り飛ばされる。ベルべットは蹴り飛ばした相手を見向きもせずに次の獲物に飛び掛かる。刺突刃で剣をもった対魔士とかち合うが左腕で対魔士の顔を掴む

 

「ぎ!・・・あ!」

 

対魔士はベルべットの左腕から逃れようともがくがそのまま持ち上げられる。やがて対魔士は動かなくなる。そのまま数人の対魔士に目掛け放り投げる

 

「ふん!」

「うわああ!!」

「ぐあっ!」

 

ロクロウは素早い太刀筋で敵を翻弄し次々に斬り捨てる。縦斬りをしてくる対魔士を半身で躱しすれ違いざまに斬り捨てる

 

「ほら!」

「ぎゃあっ!!」

 

そのまま走り過ぎ後ろにいた対魔士に接近する。その対魔士が盾を構え迎撃しようとしたがその瞬間ロクロウは前方へジャンプし対魔士を飛び越え後ろに着地する咄嗟に振り返るがそのまま切り捨てられる。ロクロウは目をぎらつかせながら他の対魔士を見る。その眼に怖気付きながらも対魔士たちは突撃する

 

「オラオラオラ!」

「おぉう!」

「ぎぃや!!」

 

対魔士たちが槍を、剣を振るう、だがロクロウはそれをギリギリで避け一太刀で切り捨てていく

 

「どうした、この程度か!」

「業魔二人くらい止めてみせろ!」

 

二人は対魔士たちを挑発する。それに反応したのか3人ほどの対魔士が獲物を構えて突っ込む。ベルべットは左腕を振り上げる

 

「くらえ!アンビバレンツ!!だああああっ!!」

 

業魔手を上から下へと振り下げる地面には引っ掻き傷を作りかまいたちの様な波動が飛び対魔士を吹き飛ばす

 

「さあ、次に斬られたいやつはどいつだ!」

「おのれ!全対魔士を終結させよ」

「よし!」

 

ベルべットの策は見事成功するこれで港側は手薄になりダイルも動ける

 

「攻めを緩めるな!一気に押し込め!」

「耐えろよ、ベルべット!」

「あんたこそね!」

 

 

 

丁度そのころダイルとケンは抜け道に続く道の物陰から様子を伺う。対魔士が数人見張りをしている

 

「ベルべットのやつ大丈夫なのか?ここにはそれなり人数の対魔士が駐留してるからいくら業魔といえどこりゃ厳しいぜ」

「確かにそうですが現時点じゃこの作戦しかありませんからね。博打みたいなもんですよ」

「博打か・・・まっそれもそれで悪くないな」

 

そんなことを話していると警備にあたっていた対魔士の後ろからもう一人見張りが来て何かを話すそれを聞いて慌てて全員が抜け道の奥に消えていく

 

「お?こりゃしめたぜ!ベルべットがうまくやったんだ!よしそんじゃ俺たちも行くか!!」

「はい!」

 

ダイルとケンは素早く抜け道に入り倉庫に続く扉を開ける中には誰もいない

 

「よし、これだけあればでかい花火が上がるぞ」

「少なくとも騒ぎを起こせるぐらいにはありますね」

「おう。出航の準備もしなきゃな」

 

ダイルとケンは爆薬と船の出航準備にとりかかった

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

ベルべットとロクロウは背中合わせになり対魔士たちと対峙する切れ目のない増援でさすがのベルベットも消耗している。だがその眼に宿る闘志は失われていない。テレサが二人に近づく

 

「大した生命力ですが、すぐに後悔させてあげましょう。二号」

 

テレサは命令すると二号と呼ばれた少年は聖隷術で火球を形成し放つ。火球はベルべットに命中する

 

「ぐうう・・・!」

 

ベルべットが吹き飛ばされる。ロクロウも動きたいが対魔士に囲まれる中無暗に動けないテレサは無言のまま警戒するがベルべットの声でわずかに表情が変わる

 

「自分でとどめをさせないのか?臆病者」

「挑発には乗りません。お前の左手は油断ならない、それに、汚らわしい業魔の処理に聖隷(どうぐ)を使うのは当然でしょう」

 

ベルべットの挑発にテレサは冷静に返す。少なくとも自分の手を汚したくないタイプのようだ

 

「じゃあ、あたしも道具を使うわ。"炎石"に"硫黄"と"油"」

 

その言葉に二号と呼ばれた少年が反応する

 

「それ・・・爆発する」

 

二号の反応に驚き視界をそちらに移すテレサ。その瞬間大きな爆発が起こる、テレサが振り返ると港の方に火の手があがっている港を手薄にしていたためダイルとケンにまんまとしてやられたのだ

 

「貴様、倉庫の"炎石"を!?」

 

テレサがベルべットの方を向くが既に目の前まで走ってきていた。ベルべットはそのまま右後ろ回し蹴りを放ちテレサを弾き飛ばす

 

「あああっ!」

「ロクロウ!」

 

対魔士を切り捨てロクロウが答える

 

「承知!」

 

二人はそのまま敵を港の方へ走り出す

 

「こらー!儂もつれてけえー!」

 

ちゃっかりマギルゥもそれについていく。テレサはよろめきながらも立ち上がり部下の対魔士に指示を飛ばす

 

「なにをしている!追いなさいっ!」

「テレサ様!船が!港が!」

 

商船組合長がテレサに助けを求める

 

「全部燃えちまうよぉっ!!」

「くっ!二等対魔士は消火に当たれ!」

 

平和を守るという聖寮である以上市民の助けを無視するわけにもいかない、テレサは歯噛みしながら新たに指示を飛ばす

 

 

ベルべット、ロクロウ、そしてマギルゥは港に入る建物や船に火の手が上がっている、3人はそのまま船着き場に走りこむ。一隻の船の上にダイルとケンがいる。ダイルは身を乗り出しながら声を上げる

 

「出航準備はできてるぜ!」

 

だがその時ダイルに火球が当たる

 

「うおっ!」

「ダイルさん!」

 

ダイルが吹き飛ばされるのを目の当たりにしてベルべットとロクロウが後ろを向き迎え撃つ。マギルゥもさすがにやばいと感じたのか札のような物を構える。そこに聖隷二人とテレサがいた

 

「逃がさない・・・お前だけは!」

「くっ!」

「やるしかないな!」

 

だがベルべットもロクロウも先ほどの戦いで消耗している。明らかに疲労の色が見える

 

(まずいな、万が一のことがあれば・・・やるしかないか)

 

ケンはすかさず船から降りベルべット達の前に立つ

 

「あんた、なにしてんのよ!?」

「ここは自分が時間を稼ぎます。その内に体勢を」

「だがいくらなんでもお前一人じゃ厳しいんじゃないか?」

 

ケンの言葉にロクロウが返す

 

「あくまで時間稼ぎですよ。こういう戦いなら自分が一番向いてる・・・でしょ?」

「・・・わかったわよ、その代わりちゃんと役目はこなしなさいよ」

「わかってますよ」

 

その言葉を最後にケンはテレサ達に数歩近づき構えを取る。持久戦に長けたルナモードだ

 

「あなたがオスカーの言っていたもう一人の脱獄者ですね?」

「ぼくは別に囚人じゃないんですけど・・・ね!」

 

ケンが言い終わらぬ内に一号から放たれた黄色と紫の光弾が螺旋状に回転しながらケンにむかってくる。ケンはその光弾を真正面から裏拳でそらす様に弾き霧散させる、二号からも火球が放たれる。ケンはそれをウルトラショットを片手で放ち相殺する。テレサは苛立つ

 

「!?あなた、ただ者ではありませんね。オスカーからは人間と聞かされましたが本当にそうなのかわからなくなりますね」

「・・・あの人たちにも同じこと言われますよ。それよりも」

 

ケンはテレサに問いかける

 

「あなた、弟さんが傷物にされた事に対してかなり感情的なっていますね」

「!!」

「襲撃のあの時あなた達に向かって来た時には"2人"でしたよね?同じ男性ですが短髪じゃありません。武器も使ってます、その時点で気づくべきでしたね。自分が言うのもなんですが感情的になるのは聖寮としてはよろしくないのでは?」

「こいつ!」

 

ケンの正論にテレサは歯を食いしばる

 

「これで時間も稼げましたし」

「待たせたわね」

「ようし!仕切り直しと行くか!」

 

テレサが前を見るとそこにはベルべットとロクロウがケンの前に出ていたテレサが負け惜しみに叫ぶ

 

「なんと卑劣な手を!」

「業魔に説教は通じないわよ」

「ならば、その命で償え!」

 

ベルベットとロクロウがテレサ達に向かって走る一号と二号は術を繰り出し迎えうつが軌道が真っ直ぐなため容易く避けられる。ベルベットは業魔手で聖隷を吹き飛ばし力を喰らう

 

「はああ!!」

「うう!!」

「うあっ!」

 

ロクロウはテレサに攻撃を仕掛けている

 

「せいっ!!」

「くっ!?」

 

テレサは抵抗するが近接に遠距離では分が悪い。直ぐに隙が生まれる

 

「ベルベット、今だ!」

「しまった!?」

「とどめ!ゼロ・インパクト!!」

「あああっ!!」

 

ベルベットの攻撃で大きく弾き飛ばされたテレサ達。ベルベットとロクロウもケンとマギルゥの前まで戻る片膝をついたテレサは苦痛の表情を浮かべながら聖隷に命令を下す

 

「一等の対魔士テレサの名において命じますーーやりなさい!二号っ!!」

 

テレサが手を前にかざす。すると二号はベルベット達に向かって走り出す

4人は構える、二号は両手の間から炎を生み出す

 

「そやつ自爆する気じゃぞ!」

 

マギルゥの警告にベルベットが反応。右脚で両手を蹴り上げて術を阻止、その勢いで回転左回し蹴りで二号を蹴り飛ばす

 

「あうう!」

 

ベルベットはそのままテレサに接近し刺突刃をだし飛びかかる。一回転してテレサを斬り裂こうとしたがそれを何者かに阻止された

 

「あなたが業魔だったとは!」

「涙目対魔士か」

 

そう涙目対魔士ことエレノアがテレサを守ったのだ

 

「誰が!」

 

エレノアが憤慨しベルベットの刺突刃を弾き飛ばす。ベルベットが跳躍しロクロウ達の前まで戻る

 

「まずいぞ。一等二人相手は」

 

ロクロウの言う通り、聖寮のトップクラス二人ではどうなるか分からない

その時ベルベットが蹴り飛ばした二号がふらふらと立ち上がる。ベルベットは二号を見てすぐさま左腕を業魔手に変え二号を掴み持ち上げる

 

「ひっ!?」

 

二号が短い悲鳴をあげる

 

「命令よ。あいつらを吹き飛ばせ。さもないと、あんたを喰らう!」

「命・・・令・・・」

 

二号はその二文字を復唱し両手を合わせその間に炎を生み出す

 

「「!!」」

 

二人はベルベットの言葉に従った二号に驚き反応が遅れる。辺りが振動しテレサ達が立つ地面から爆炎が上がり吹き飛ばす

 

「「あああっ!」」

「今だっ!」

 

ベルベットの言葉を合図にロクロウとマギルゥが船に乗り込む、がケンが急に立ち止まる

 

「おいケン!なにしとるんじゃ!早く乗らんか!」

「ケン!時間がない急げ!」

 

だがケンは動かない。彼は周りを見て意を決して4人に告げる

 

「先に出てください!直ぐに追いつきます!」

「あんちゃん!追いつくってどうやってだ!?水の上でも走る気か!?」

 

いつの間にか回復したダイルがケンに聞く

 

「なるべく船速を落として下さい!後は自分が!」

「なにバカなこといっとる!!急げと言うとるんじゃ!!

「あんたなに考えてるのよ!あいつらに捕まったら業魔じゃなくても殺されるわよ!!」

 

マギルゥとベルベットが止めようと渡り板を通ろうとしたが横から光弾が飛来し板を破壊される。ケンが飛来した方を見るとテレサが怒りの表情を浮かべてケンを睨みつけていた。エレノアも槍を構えている

 

「さあ早く!!」

「っくそ!どうなっても知らないからな!!ダイル!」

 

ロクロウの言葉にダイルは決心する

 

「あんちゃん生きて戻れよ!なるべく船速は落とすからな!」

「はい!お願いします!」

 

ケンはテレサ達の方を向く、正確には違うが

 

「あなただけでも・・・!!」

「なにを考えてるかわかりませんが無駄な抵抗はやめて下さい」

 

テレサとエレノアの感情は正反対だ。テレサはケンだけでも始末したい。エレノアは捕縛するのが狙いだろう

 

「・・・抵抗はしません。ですが捕まる気もありません!」

 

ケンは両手を脇に締めエネルギーを集中させるテレサとエレノアはそれを攻撃と判断する

 

「させない!」

 

エレノアは槍を構え止めようとするがケンが数瞬早く両手から水色の光線を繰り出す

 

(しまった!?遅かった!でも!!)

 

光線がエレノアに向かう、が突然光線は真上に曲がり急上昇する

 

「え?」

 

エレノアは急な出来事でついていけずそのまま槍の刃がケンの腹部に差し込まれる。元から攻撃ではなかったのだ、刃の三分の一ほどがケンの腹部を刺し貫く。

 

「どうして・・・!!」

「・・・言ったでしょう。抵抗はしないと」

 

エレノアは槍を離して数歩下がる。

 

「危ない!」

 

テレサの声が響くエレノアが気付いた時には巨大な火球が迫っていた。テレサはエレノアが隙を作るとふんでいたがケンの予想外の動きでタイミングがずれてしまったのだ。エレノアが眼を閉じて痛みに備える、その時ケンがエレノアの肩を掴み庇うように位置を逆転させる。その瞬間ケンの背中に巨大な火球が直撃する。服が吹き飛ぶ

 

「え・・・?」

 

ケンはエレノアから数歩下がり刺さっている槍を掴み引き抜く、ズブリとと嫌な音を立てる。脈動に合わせて出血し始める

 

「あれは自分なりの尻拭いです」

 

ケンは上を見上げる、エレノアもつられて上を見る。そこには先ほどはなった光線が玉状になり滞空しているそれは弾け光の粒子となり港に降り注ぐ。

 

「綺麗・・・」

 

エレノアはいつの間にか呟いていた。光が降り注ぐと瞬く間に火が治った

 

「これでいいかな?では自分は退散させてもらいますよ」

 

ケンはそれだけ言うと槍を置き後ろを向く。背中はひどい火傷を負い爛れているケンは走り出し足場ギリギリで思い切りジャンプする。衝撃で地面が吹き飛ぶ。エレノアはただそれを見ているだけだった。そこにテレサが駆け寄る

 

「ごめんなさい。大丈夫でしたか!?」

「え?は、はい!申し訳ありません。取り逃がしてしまって」

「いえ、私こそ貴女を巻き添えにする所でした」

 

テレサの謝罪にエレノアが慌てる

 

「一体何だったんだ?あの男。かなり燃えちまったが全焼よりか遥かにマシだ。・・・これが因果応報ってやつか」

 

商戦組合の声が聞こえる

 

「・・・このことは直ぐに聖寮本部ーーアルトリウス様に報告しなければ」

 

エレノアは自身の槍を拾いながら言う。刃先には彼の血がついたままだ。それを拭う。あの時庇ってくれた彼を思い出し落ち込む

 

(今度会うことになったらどんな顔をすればいいのでしょうか)

 

遠目に彼が船にしがみついているのが見えた。あれだけ傷を負いながら。どこにそんな力があるのだろうと思いながら

 

 

第8話 おわり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はコスモシャワーの習得です

いかがでしたでしょうか。ご意見ご感想頂けたら嬉しいです

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