バカとテストと緋想天   作:coka/

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今回は原作成分強めです!


第一次試験召喚戦争篇
第1話


私達が文月学園に入学してから二度目の春が訪れた。

校舎へと続く坂道の両脇には、綺麗な桜が咲き誇っている。

本当なら、その桜をゆっくり見ながら登校したいのだけれど、

今の私()にはそんな余裕はない。

 

「このバカ!なんで一回起こしたのに、そのまま二度寝を始めるのよ!」

「それは天子が、僕の目覚ましより早く起こしに来るからだよ!」

「だからってもう一回寝なくてもいいでしょ!?しかも、その目覚ましだって電池切れだったじゃないの!」

 

絶賛遅刻中。

現在、通学路を猛ダッシュして学校に向かっている。

と言っても、この坂道を登りきれば到着するんだけど。

 

「仕方ないじゃないか!電池換えるの忘れてたんだから!」

「開き直るな!態々待っててあげたんだから、私に感謝しなさいよね!」

「へーへーかんしゃしてますよー」

「心がこもってないわよ」

 

明久と軽口をたたき合いながら進んでいると、校門が見えてきた。

あら?校門の前に誰か立ってる。

 

 

「遅いぞ吉井、比那名居」

 

 

ドスのきいた声でそう言ってくるのは、浅黒い肌と短髪が特徴的な、

スポーツマン然とした男の教師、

 

「げ、鉄――西村先生」

「おはようございます鉄人先生」

 

生活指導と補習担当の鉄人先生だ。

去年、私と明久のクラスの担任でもあった。

本名はたしか西村宗一だったはず。

 

「吉井、今鉄人と言いかけなかったか?そして比那名居、鉄人先生ではなく西村先生と呼べ!」

「ははっ、気のせいですよ」

「いいじゃないですか、せっかくみんなが付けてくれたあだ名なんだから」

 

因みに、この『鉄人』というあだ名の由来は、彼の趣味であるトライアスロンかららしい。

 

「まったく。ほら、お前らで最後だ」

 

そう言って私と明久に茶色い封筒を差し出してくる。

宛名の欄には、しっかりと『比那名居天子』と大きく書かれていた。

振り分け試験の結果通知ね。

私はありがとうございますと言いながらそれを受け取った。

 

「どーもです。それにしても、どうしてこんな面倒なやり方でクラスの発表してるんですか?掲示板に張り出すとかすればいいのに」

 

明久が封筒を受け取りながら言う。

それもそうよね。いちいち全員に封筒を渡すなんて面倒なだけだし。

 

「ああ、普通ならそうするんだがな。まぁ、ウチは世界的に注目されている試験校だからなぁ。この変わったやり方もその一環だそうだ」

「………学園長先生ですか?」

「ああ、あの人にも困ったものだ」

 

鉄人先生の言い方に違和感を覚えたので聞いてみたんだけど、どうやら正解だったらしい。

一応、私も何度かお世話になってる為、あの人の性格は多少わかる。

教育者というよりは、純粋に研究者なのよね~

むしろ教師に向いてないのかも。

 

「さて、そろそろクラスの確認をしろ。これ以上遅れてもらっては俺も困るからな」

「「はーい」」

 

 

さてと。

正直、見なくても結果はわかってるのよね~

なんて思いつつ封筒の中の紙を取り出す。

 

「吉井、俺は去年一年間お前を見ていて、『もしかしたらコイツはバカなんじゃないか』と疑いを抱いていた」

 

急に、先生が語りだした。

 

「だが、試験の結果を見て俺は間違いに気づいたよ」

 

それを不思議そうな顔で聞いていた明久は、封筒から紙を取り出して開く。

 

 

 

『吉井明久……Fクラス』

 

「お前は、疑いの余地もない正真正銘のバカだ」

 

 

結果と先生の言葉を聞いた明久は手を地面につきながらショックを受けていた。

つまりこの形である。 → ガーンorz

 

「ぷぷぷ、ざまぁないわね明久。なんだっけ?『Fクラスは絶対無い!』だっけ?あの自信はなんだったのよ(笑)」

「うう、そういう天子はどこなのさ!」

「私?まだ見てないけど、結果はわかってるわよ?」

「へー。まぁ、天子ならAかBだろうけど……」

「残念ね、私はまだAAカップよ?」

「誰も胸の話なんてしてなかったよね!?」

「比那名居、いい加減結果を見ろ!」

 

鉄人先生に怒られちゃった。

まったくもう、明久のせいよ?

 

「理不尽だ!?」

「はいはい。ほら明久、私の通知見てみなさい」

「え?僕が先に見ていいの?」

「言ったでしょ。もう結果はわかってるのよ」

「えっと、じゃあ見るね……………っ!て、天子これ!」

 

明久は私に通知の紙を見せてくる。

そこにはこう書かれていた。

 

 

 

 

 

『比那名居天子……Fクラス』

 

 

 

「うん、予想通りね。安心したわ」

 

実はちょっとだけ不安もあったんだけど、杞憂だったわね。

 

「比那名居、やはりアレはわざとか?」

「ええ、そうですよ?じゃなかったら、私が名前を書き忘れるなんて初歩的なミスをするわけがないじゃないですか」

 

私がそう答えると、先生は溜め息をつきながら額に手を当てていた。

 

「えっと、天子どうゆうこと?」

「うん?今のやりとりからそんなこともわからないの?だからお前は馬鹿にされるのよ」

 

そう言われた彼はまた手をついてショックを受けた。

 

「まったく、お前は何を考えているんだ。テストの問題を全部解いておきながら、態々名前を消すなんて」

「ええ!?天子、なんでそんなこと!?」

 

あ、やっぱりバレたんだ。

名前の消し跡残っちゃったのよね~

 

「なんでも何も、友達とクラスが違うだなんてつまらないじゃない」

「あっ」

 

明久が今気がついたと言ったような声を上げる。

 

「そりゃあ、戦争で明久達と戦うのも面白そうだとは思ったけど、どうせなら同じクラスで一緒に戦った方が楽しそうでしょ?」

「俺はお前が後悔しないならそれでいいんだが、本当に良かったのか?名前さえ書いてあれば、Aクラスは確定だったのに」

 

先生がそう聞いてくるが、私の答えは決まっている。

 

「後悔なんてするわけないじゃないですか。だって、私がそうしたいと思ってやったことなんだから」

 

 

 

 

 

 ―――――side明久―――――

 

 

 

「後悔なんてするわけないじゃないですか。だって、私がそうしたいと思ってやったことなんだから」

 

天子は満面の笑みを浮かべながらそう答えた。

鉄人はそれを心底呆れたように見ている。

僕は………天子のその笑みに見惚れていた。

あれだね、いくら普段見慣れている親友の顔とは言っても、

ああゆうのは……その、なんてゆうか………イイよね!

 

って、そうじゃないよ!

一体何を考えてるんだ僕は!

 

 

………天子は本当にこれでいいのかな?

そりゃ、僕も天子と同じクラスの方が良いけどさ。

だからって天子がFクラスにくる必要はなかったと思うんだよね。

 

僕は『振り分け試験の時にもっと勉強しておけばよかったかな?』なんてちょっとだけ後悔した。

まぁ、今更だけどね。

 

「はぁ、わかった。この話は終わりだ。二人共早く教室に向かえ」

「最後の方は先生が足止めしてた気もするんですけど………まぁいいわ、明久行くわよ~?」

「あ、ちょっと待ってよ天子!えっと、それじゃあ西村先生、また!」

 

僕は鉄人に挨拶をしてから天子を追いかた。

 

 

 

 

 

あれ?そう言えば………

 

 

「ねぇ、天子。どうして僕がFクラスだって判ったの?」

「うん?そんなの、今までの明久の成績を考えればすぐに予想できるわ」

 

ガーンorz

 






教室まで行けませんでした!
本当はもう少しやりたかったのですが、きりがよかったので今回はここまでです。

天子はAクラスに行けるだけの点数がありましたが、殆んどの問題用紙の名前を消してしまった為、Fクラス入りとなりました!
前回のラストで判ってた人も多いと思うけどね!

次回は、Aクラスの様子をちょっと見た後に、Fクラスでの自己紹介です。
次も原作強めの構成になりそうですが、よろしくお願いします!

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