Dクラスにも休日をください。   作:くるしみまし

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はじめに言っておきます。

更新遅れてすみませんでした。
さらに言うと今回完成度低めです。


SCPー914

20xx年x月x日

現在の時系列から約8年ほど前のある日。

 

 

 

俺はこの日、あるSCPの検査に呼び出された。

 

ここはSCP財団とかいうふざけたところで、死刑囚の俺たちは1ヶ月の間ここで勤務ののち外に解放され、刑罰を免除するというのを条件に監禁されている。

 

いざ来てみると訳のわからない化け物の相手をさせられている。そのせいでどれだけ死ぬ思いをしたか。

しかし、そんな生活も今日で最後だ。今日で30日。俺はこの任務さえ終われば晴れて開放って訳だ。

 

「今日、君に検査して貰うのはこのSCPだ。」

 

「うをッ!?急に開けるなよ!」

 

俺の目の前にいる博士がカードキーを壁のタッチパネルに当てると目の前の扉が開く。

 

俺はどんな化け物が出てくるのか分からないのでビクビクしながら扉の中を覗く。

 

中を覗いて一番最初に見えたのは、よく分からない機械?だった。

大きな箱が端についており、真ん中のゼンマイなどが丸見えの機械から端の箱へパイプで繋がれている。

 

「…………何だこれ?」

 

「ん?こいつか?こいつはなぁ……」

 

博士に尋ねる。パッと見た感じだと素人の俺には『ごつい機械』としかわからない。

博士はニコニコと人当たりの良さそうな笑顔でこちらを振り向く。

今回担当する博士は初見だが、ニコニコと人相もいいし、話し方にも好感を持てる。赤い宝石のはまった首飾りをかけているイカした博士だ。

今までの博士に比べたら人間的に当たりだと思う。

 

「こいつの名前は【SCPー914 ぜんまい仕掛け】だ!」

 

 

 

〜博士説明中〜

 

 

 

「………ここまでがこのSCPの異常性だ。」

 

博士からSCPの説明を受けた。

俺はザックリ説明を受けて分かったことがある。

今回はかなり安全なSCPだと思う。

なぜなら、このSCPは簡単に言うと『万能改造機』なのである。

 

このSCPの使用法は《入力ブースである左の箱に指定はないが何かを置く。中心の装置に取り付けられているノブを回す。セットされたノブの場所によって改造の結果が変わる》というものだ。

 

出力は5つに分けられており。

Rough、coarse、1:1、Fine、Very Fineに分けられている。

 

以前の検査らしいのだが、写真用紙に印刷された、モナ・リザのコピーを元に実験した結果を博士から聞いた。

 

Roughの場合では、モナ・リザのコピーは紙切れの写真用紙とインクの溜まりに変わったらしい。

 

coarseではプラスチックシートとインクの溜まり。

1:1ではウィトルウィウス的人体図のコピー。

Fineの場合は、写真用紙ではなくキャンパスに書かれたモナ・リザのコピー。

VeryFineでは木製のパネルに書かれたモナ・リザのコピー……しかも解析の結果によると、信じられない話だが16世紀初期に書かれたものらしい。

 

おそらくRoughに近ければ悪い結果。VeryFineに近ければ良い結果になると考えていいだろう。

 

「これは・・・すごいな。」

 

思わず口から感嘆の声が漏れた。

 

「ああ、すごいとも。ものの数秒で物を改造するだけでも利用価値は非常に高い上に、VeryFineともなるともはや改造ではなく、錬金術の域と言ってもいいだろう。」

 

博士はオモチャを見るような目で【914】を見る。まあ、それもそうだ。これだけの物ならそこらへんの砂利ですら宝の山になる可能性がある。

 

で、結局。

 

「………凄いのは分かった。結局俺は何をすればいいんだ?」

 

問題はそこだ。改造するだけの任務なのにDクラスの俺が必要な理由がわからないのだ。

 

「……………………」

 

「どうしたんだ博士?」

 

博士の動きが止まる。俺は博士の肩を叩き反応を見る。

 

博士は少し間を置き、ニコッと笑う。

 

「………なぁに。ただ私の実験に観客が欲しかっただけだよ。」

 

「ふぅん。」

 

まあ、今回の博士は問題も特になさそうだから良いけどさ。

 

 

〜15分後〜

 

 

それからは博士が用意していた物を【914】の中に入れ実験を始めた。

 

リンゴ、イヤホン、メガネ、マスク、ネズミ、拳銃、etc……とにかく博士は何でも【914】の中に入れていった。

俺は見ていただけなのだが、これがまた面白い。

【914】の力によって作られた物も面白いものが多かった。氷がアイスシャーベットになったり、宝石のついた指輪が巨大な岩になったりしたのにも驚いたが、それを見た時の博士のオーバーリアクションが面白い。

 

俺も博士に釣られゲラゲラ笑う。

ほんの一瞬だがここが地獄であることを忘れてしまうほど…………

 

「いや〜!あんた最高だぜ!こんなに笑ったのは久しぶりだよ。」

 

博士の背中をバンバン叩く。

博士はくすぐったそうに笑う。

 

「ハハハ!楽しんで貰えたようで何よりだよ!」

 

博士は好青年のような、気持ちの良い笑顔を浮かべる。

ここの職員は全員が死んだ魚のような顔をしているのに対し、この人はえらく気さくに笑う。

 

「実はさぁ。俺、今日でここ30日目で勤務を終えるんだけどさ……あんたみたいな人に最後に会えて良かったよ。」

 

俺は博士に手を差し伸べ握手を求める。

 

俺は今までこいつら全員の事を憎んでいたが、自然と自分から手を差し出してしまった。

自分でも驚きだが、この人になら友達になれるとさえ思っている。

 

「………ああ、私も楽しかったよ。本当に今日はありがとう……」

 

博士は俺の手を握ってくる。

 

 

「俺も楽かっ……うおっ!?」

 

 

礼を言おうとした瞬間博士が俺の体をグイッと引く。

 

博士の顔が急激に近づく。

 

博士は笑っていた。

しかし先程までのような笑顔ではなく、酷く歪んだ獣のような笑顔だった。

 

「何……を!?」

 

全身に悪寒が走る。

 

この手を離さなきゃヤバい。全身の細胞がそう叫んでくる。

 

博士の手を振り払おうとしたが、既に体制は崩されてしまっていて抵抗虚しく投げられてしまった。

 

「イテッ……て、え?」

 

尻もちをついた俺がいた場所は【914】の入力ブース内だった。

 

「…………ちょ、まっ!?」

 

急いで出ようとしたが目の前で扉が閉まる。

 

「な、何やってんだよ……博士!?」

 

俺は扉をドンドンと叩く。

しかし鉄でできた扉はビクともせず、虚しく音だけが反響する。

 

少し待っても反応がない…悪ふざけにしてはたちが悪すぎる。

 

「……この【914】には過去数度の調査実験が行われている。私と君みたいにだ。」

 

俺はもう一度扉を叩こうとしたところで博士の声が聞こえる。

俺は手を止めて博士の話を聞く。

 

「以前調査したものは拳銃、酒、モナリザのコピー、ツナサンドなどの他愛もないものばかりだった。まあ、私はその実験を担当していなかったから詳しいことは分からないがな。」

 

博士は淡々と語る。

何が言いたいんだこの人は……?

 

「ただ……実験結果が書かれていた書類に一つ、どうしても気になる実験結果が残されていてな。私はソレが気になって仕方ないんだよ。」

 

「はあ?……いや、おい…まさか、やめろ!!」

 

一瞬何を言っているのか分からなかったが、理解する…してしまった。

 

(こいつ……俺で)

 

 

人体実験するつもりだ。

 

 

 

「ふっざけんな!?出しやがれぇ!」

 

扉をガンガン叩く。

拳から血が出てきたが関係ない。俺はがむしゃらに扉を殴った。

 

「はっはっは!安心したまえ。【914】から正常に君が出ることができたら命を奪うような真似はしないよ。」

 

「ちょっと待て!?その言い方だと正気じゃなくなる可能性があるのか!?しかもその時は命の保証は無いって言ってるようなもんじゃねぇか!?」

 

外からノブを回す音がする。設定レベルを決めているのだろう。

 

 

「私は少し離れた部屋から見ているよ。幸運を祈っているぞ『残機』くん。」

 

 

 

バタンと扉の閉まる音がする。

 

それと同時に【914】が唸りをあげる。

どうやら改造が始まったらしい。

 

俺は抵抗をやめ座り込む。

博士への怒りや、気を許した自分への不甲斐なさなどの感情が渦巻いて、どうしたらいいか分からない。

 

「あと……1日だったのになぁ………」

 

あと1日で外に出て。普通に飯食って、普通に友達に会って、普通に暮らせたのかと思うと泣きそうになってしまう。

 

あの博士が1:1なんていう甘い設定にするはずがない。

おそらくVeryFineかRoughだろう。

 

「はあ……ま、いっか。」

 

俺は完全に諦め装置の中で横になる。

 

正直ここで働き始めて1週間くらいで死ぬ覚悟はできてたおかげか、死を案外すんなりと受け入れられた。

 

後悔はあるがどうでもよくなってきた。

唯一心残りがあるといえば俺がまだ童貞なことくらいだしな……所詮その程度だ死んだからってどうということはない。

 

そう考えると来世が何になるのか他のか楽しみになってきたな。

 

 

 

「死にたくねぇ……。」

 

俺の意識はそこで途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから8年後

 

 

 

「で?それから?」

 

博士がぐいっと顔を近づける。

むさい男に顔を近づけられ強烈な嫌悪感を抱く。

俺は自分の部屋で博士と向かい合って昔話をしていた。

 

「それからって………特に大したことはねぇよ。俺は別にどこも変化なく【914】から出てきて、笑顔で歩いてきた博士ぶん殴って、いざ解放されるかと思ったら検査中に回復力が尋常じゃないくらい上がってて、SCPの検査に便利だからここに囚われてるってわけ。分かったか?」

 

俺はめんどくさくなり、一気に捲したてる。

 

「ま、待て待て!それじゃ、何か?【914】で不死身になったから財団に協力させられているってことなのか?」

 

何を言ってんだこの不細工は?

さっきからずっとそう言っているではないか?

 

「……いや…なぜ…財団は…つを…収容……」

 

博士が小言でブツブツ何かを呟く。

 

もうなんか博士の意識は俺から外れたみたいなので俺は【682】から受けた傷が開かないようにベットに横になる。

 

(そういえば……あの博士は何者だったんだろう?)

 

俺はそんなことを考えながら眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【SCPー914 ぜんまい仕掛け】

 

SCPー914は巨大なゼンマイ仕掛けの装置です。

重さは数トン、18㎡の広さがあり、ネジ、歯車、その他ゼンマイでできています。

 

SCPー914の入力ブースにものを置き、ノブをいずれかの場所にセットしキーを回すとSCPー914はブースに入ったものを改造します。

セットされたノブの場所によって、改造の品質が変わります。

 

SCPー914での人体実験は禁止されています。

 

 

追記

 

Dクラス職員『結城 鬱』をSCPー914➁にするかは検討中です。

 

報告は以上です。

 

 

 




ストーリーが絡まったものを書くのが難しい……
一応これからも頑張ります。

http://scp-wiki.net/scp-914
著者:Dr Gears
実験記録著者:Dr Gearsらの合作

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