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20xx年
SCPー???? 鎮圧後
「お前は……本当に化け物だな。」
博士がいきなり俺に向かって失礼なことを言ってくる。
人の悪口を言ってはいけないと数学の時間に習わなかったのだろうか?
しかし、助けてもらった手前もある。ここは俺が寛容な心で許してやろう。
2時間ほど前に謎の化け物と焼身自殺を共にしていたところをこのメガネが嫌な意味で似合う不細工な博士に助けてもらった。
俺があの化け物に抑え込んでいるときに米人が助けを呼びに言ってくれたそうだ。そして脱走と勘違いされて銃弾を一発撃たれたが、事情を把握した博士が火だるまになっていた俺を、消化器を使い助けてくれたようだ。
なんというか……まあ、運が良かった。
あのまま焼かれ続けていたら流石の俺でもやばかった。俺と面識のある博士とたまたま米人が出会い、たまたま米人が銃弾を食らっても余裕で走ってられるくらい頑丈なやつで助かった。
おかげさまで、丸焦げになっていた俺も3時間ほどかかったが全回復した。
目も耳もしっかり機能しているし、焦げた肌も下から新しい皮膚が再生した。
服がなくなってしまったので博士に新しい服を貰い、着替えていたところだ
おし。着替えも終わったし、博士に何個か質問をしたら次の任務に行くとしよう。
「今回ばかりは助かった…素直に感謝しとく。それにしてもどうして助けたんだ?俺はDクラスなんだし別に見捨てても良かったんじゃないか?」
そう。ずっと気になっていたのだが、博士は別に俺を助ける必要がなかったのだ。俺はあくまでも【Dクラス】捨て駒だ。なので俺が一人死のうが、博士の待遇に変化はないだろう。だからこそなぜ助けたのかがずっと疑問だったのだ。
「………例えば貴様が任務を終えて自室に戻ったとする。するとそこには轟々と燃えている男が部屋のど真ん中でうずくまっていた。どう思う?」
「あぁ〜……すまんかった。」
どう考えても邪魔だ。そういえばここは『職員休憩室』だ。博士も恐らく休憩でも取ろうかと思っていたのだろう……そしたら急に大柄なDクラスから助けを求められ、いざ行ってみたら知ってる奴が燃え盛ってんだから迷惑な話だ。
あたりは消化器の粉で見るも無残な状況になっている。
さっきからルンバのような掃除機が何体も稼働しているが、しばらくは煙ったいだろう。
まあ博士は俺を助けたんじゃなくて、単純に邪魔だったからあの様な対処をとったのだろう。なんというかこの博士もだいぶついてないよな。
「じゃあもう一個質問なんだけどさぁ……アイツは一体なんだったんだ?博士もこの部屋の監視カメラの映像を見たろ?アイツはこの施設内にいるSCPなのか?」
俺は今まで様々scpを目撃してきたが…あそこまで醜悪な生物は見たことがない。クソトカゲもショッキングな見た目をしていたがクソトカゲとは全く別種の気持ち悪さだった。
俺はこの施設で長く働いているため、大体のこの世の裏の顔に触れたという自負はあった。しかし…しかしだ。
今日その考えはあの化け物を見た瞬間に完全に覆された。
あれは本当に俺たちと同じ生物なのか?もしかしたら全く別の世界から来た侵略者ではないのか?……そんな妄想をしてしまうほどアイツはおぞましい姿をしており、人が立ち入ってはいけない世界を覗き込んだような気がした。
もしあんな奴がゴロゴロいるのだとしたらゾッとする。
「……私もあの様な化け物は見たことがない。様々なデータベースを漁っているがどこにも奴に関する文献は出てこないな……少なくともSCPとして収容はしていないとは思うが。」
「そうかぁ……。」
博士は知らないのか……まあ、どうせこの博士は下っ端だろうからな、情報を公開されてない可能性もあるがSCPではないと思うことにしよう。正直あんな奴の検査とか絶対したくないしな。
「分かった。サンキューな。とりあえず俺は次の検査があるから移動するわ。」
俺は博士に別れを告げ部屋を出ようとしたら「いや待て。」とはかせによびとめられた。
「貴様は検査も終わらせずどこに行くつもりだ?」
「はあ?」
何を言ってるんだ?俺は確かに任務は遂行したぞ?
俺が意味がわからんという顔をしていると博士が資料をポンポと叩く。
「貴様の任務は『商品を10個買う』だろ?」
その通りだ。だから俺はちゃんと10個…………。
ん?
「あ」
「さっきあの自販機を検査したが今日は9回使用した形跡しかないぞ?」
博士は溜息をつきながら告げる。
今まで出てきた商品は
1個目:ダイエットコーラ
2個目:青汁
3個目:チ○コ型のチ⚪︎コ
4個目:ガソリン
5個目:冒涜的な飲み物
6個目:謎の缶詰
7個目:ヤン◯ンぼー
8個目:謎の化け物
9個目:発火する薬品
確かにまだ9個しか買っていない……いつから勘違いしていたんだ?
「まじか……俺貰った金は使い切っちまったぞ。」
勘違いしていた俺は持っていた金を全て使い切ってしまった。何か買うにしても金が……。
「おい。」
博士が声をかけてくる。
正直今はこいつに構っている場合ではないのだが博士の方を向くとこちらに向かって小さな何かを投げてくる。俺はそれを慌てて手で取り、見てみると500円玉だった。
「え?どうしたんだよこれ?」
博士に尋ねる。確かに俺と米人で使い切ったはずだが……
「あの米人が一個くすねていた。身体検査をした時にポケットから出てきたので没収していた。もともと使い切るのが目的だったのだから気にせず好きなものを買えば良い。」
ああ、なるほど。そういえばアイツ500円玉に興味を示してたな。
さて……それじゃあ何を買ったものか。今俺は何か飲む気にはなれないしなぁ……博士は博士で普通に自分で入れたコーヒー飲んでるし。
早く任務を終わらせて次の場所に……
「ああ。そうだ。」
手をポンと叩く。
いいこと思いついた。うん、そうだそうしよう。
あれなら飲めるだろうしな。
「買うものは決まったのか?」
博士が話しかけてくる。
俺は一言「おう。」とだけ返事を返し、自販機の前に立つ。そして以前も押したことのあるナンバーを叩く。するとガコンという音と共に商品が落ちてくる。
手に取るとあの時と同じように暖かい。気づいたら博士も隣にまで近づいてきており、俺の手に握られている商品を覗き込んでくる。
「なんだ……思いついたと言った割には大したもの買ってないじゃないか?」
博士は心底残念そうな顔をしている。俺が何か変なものでも買うと思っていたのだろうか。
「いいんだよ。俺が飲むわけじゃないし。」
そう言うと博士が首をかしげる。
俺はそんな博士は放っておいて、俺は次の検査場に歩き出した。
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俺は『職員休憩室』を後にしたあと、とある部屋の中でSCPの検査を行っていた。まあ今俺は座ってるだけなんだけど。
それにしても美味そうに飲むなぁ……
「うまいか?ツバサ。」
「………………(ブンブン)」
俺が尋ねると彼女は首を縦にブンブンと振った。
どうやら気に入ってくれたようだ。
彼女の名前はツバサ。ここでは【SCPー020ーJP】として登録されてしまった、ただ翼が生えているだけの少女だ。
鳥っぽいから好きかもなと思い、先程『職員休憩室』でコーンポタージュを買ったのだが正解だったようだ。
「………………(♪♪)」
「ああ!ツバサ溢れてる溢れてる!」
その後、検査終了の合図がかかるまでの数時間俺はツバサと戯れ続けた。