翌日の昼休み
ゆの:………もう一回
ゆのは超サイヤ人という名の金髪状態に自由自在になれるよう特訓をしていた
前日は放課後にやろうとしていたが昼休みのことを思い出し、今に至る
ゆの:………もう少し……もう少しで怒らなくてもなれる……そんな気がする……ん
ゆのは何者かの気配を感じた
ゆの(この気は……宮ちゃん?)
振り向いてドアの方を見るゆの
ゆの:止まった……階段にいる……ここに来るのかな
宮子:あれ~?ゆのっちどこ行ったのかな、もうすぐ授業始まるのになぁ
宮子は仕方なく教室に戻った
ゆの:……あ、遠ざかっていく……ってあれ?私、さっき……宮ちゃんの『気』って……
ゆのは無意識に気配のことを気と言っていた
ゆの:………あ!もしかして宮ちゃん、私を探しに!?そういえばもうそろそろ授業が!
ゆのは何故か指を額に当てて精神集中をする
ゆの:見つけた!!
パッと屋上から姿を消したゆのはいつの間にか宮子のいる教室に現れた
宮子:お!ゆのっち!テレポーテーション!!
ゆの:ま、間に合った~
真美:ゆのさん、超能力者だったの?
中山:………は、はしたない!!
ゆの:何故に!?
そして、放課後
宮子:ねぇゆのっち、ちょっとベリマまで付き合っておくれよ
ゆの:ん、いいよ?何か買うの?
宮子:うん、ジュースをね
ゆの:じゃあ私も買おうかな
宮子:ごちになります!!
ゆの:どっひゃー!私の奢りかぁ!!
ゆのは両手と片足を上げ仰け反り驚いた
宮子(ゆのっち面白い)
沙英:お、何々?ベリマ行くん?
ヒロ:あ、じゃあ私達も行こうかしら
こうして、4人で行くことになった
しかし、ベリマは運悪く強盗に入られていた
起こせば24時間買えるいうおばちゃんに包丁を向け金を詰めさせる帽子を被ったマスクとサングラスの犯人
ゆの:あ!コンビニ強盗!
宮子:お、おばちゃんが!
沙英:け、警察を!
ヒロ:あ!そうね!えっと、何番だったかしら!?
沙英:119?
ヒロ:消防!
宮子:110?
ヒロ:それ警察!
宮子:あ、そっか……えーっと
沙英:いやそれえぇぇぇぇ!!
ゆの(どうしょう、さっきの漫才のせいで警察が来るまでに犯人が逃げちゃう……こうなったら)
ゆのはツカツカと中に入り、犯人に声をかける
ゆの:待ってください!おばちゃんから包丁をどけなさい!
犯人:ああん!?なんだてめえ
ゆの:既にご存知なんだろう?
犯人:知らねぇよ!!
ゆの(ああ、まさかこんなところで私のおかしな言動が役に立つとは………なんか複雑)
おばちゃん:おお、あなたはいつもの!
ゆの:おばちゃん!私が来たからには……でぇじょぶだ!ドラゴンボールで生きけぇれっぞ!!
さすがのおばちゃんもポカーンと口を開けた
ゆの(ううっ……穴があったら入りたい)
沙英:ゆの……おかしな発言のオンパレードだね
ヒロ:今のゆのさんには『おかしな発言のバーゲンセール』の方がの方が合ってるんじゃない?
沙英:って言うかヒロ、通報は?
ヒロ:したわよ、もうすぐ来るはずよ
ゆの:………えっと……とにかく!おばちゃんには指一本触れさせません!
犯人:………悪かった……今から警察に自首してくるからそこを通してくれ
犯人はそういって店から出る
しかし
宮子:おわっ!
宮子の喉に包丁をあてがう
ゆの:み、宮ちゃん!!
宮子:おお、人質だぁ~!うひょ~ドラマみたいだ~!
犯人・沙英:喜ぶな!!
なぜか息の合うツッコミをする沙英と犯人
犯人:動くな!動いたらこの女の首がちょん切れるぞ!
ゆの:くっ
沙英:なんて卑怯な!
犯人:おい!通報を取り消せや!
ヒロ:んなっ!
犯人:早くしろ!この女がどうなってもいいのか!
ヒロ:…………
ヒロは携帯を握りしめる
沙英:ヒロ!こんな奴のいいなりになる必要なんて無いよ!!
犯人:うるせえ!
宮子:……うっ!つつ……!
ゆの:…………あ!!
犯人が力んだせいか宮子の喉に当てられた包丁が少し刺さりツーッと少量の血が流れた
ゆの:………う……ううう………宮ちゃん
ゆのは肩を落としワナワナと震えた
犯人:お、おい……オレは……そんなつもりじゃ……脅しのつもりだったんだ
ゆの:ゆ、許さない……よくも宮ちゃんを……私の大切な宮ちゃんを……傷つけたなああああ~!!
ゆのは大声で叫び、瞬時に金髪状態へと姿を変えた
ゆの:この救いようのないクズ野郎……謝っても許さねぇぞ
沙英:………ヒ、ヒロ……あれは
ヒロ:……わ、わからないわ……
犯人:お、おい待て!ひぃっ!
犯人は包丁を落とし、地面に手をつき後ろに下がる
ゆのは即座にそこへ移動し犯人の顔を踏みつけた
ゆの:宮ちゃんの受けた痛み……味合わせてやろうか?
宮子:ダメだ!やめてゆのっち!!元の優しいゆのっちに戻って!
宮子はガバッとゆのに抱きついた
ゆの:離しなよ宮ちゃん、コイツには痛い目を見させなきゃわからないんだよ……宮ちゃん、痛かったでしょ?
宮子:うん、少し……でもゆのっちが悪者になるのはもっと痛い!!そんなのいやだ!!包丁が喉に刺さったときよりずうっとずうっと痛い!!
宮子の目から一粒の涙が落ちた
ゆのはそれを見てハッとして元に戻る
その後、気を失う
沙英:おっと!
沙英が受け止めた
犯人は逮捕されベリマは無事だった
結局お菓子は買わずに帰ってきた
ゆのは夜中に目を覚ました
ゆの:あ、あれ……部屋にいる……あ、宮ちゃん
宮子がゆののベッドに突っ伏して寝ている
ゆの:そう言えば……うっすら声が聞こえた気がする……
『ゆのっちが悪者になるのはもっと痛い!!そんなのいやだっ!!喉に包丁が刺さった時よりずうっとずうっと痛い!!』
ゆの(ごめんね宮ちゃん……心配かけて、私……頑張るから……この不思議な力、コントロール出来るように頑張るから……応援しててね)
ゆのはニコッとして宮子の髪をそっと撫でた
ゆの(私の大切な宮ちゃん……もう誰にも傷つけさせやしない!強くなって守るんだ!誰がくれたか知らないけど……この力、存分に使わせてもらおう!)
ゆのはキッと真剣な表情で新たに決意を固めるのだった!