一週間後
「さ、更識君、準備の方は出来ましたか?」
目に涙を溜めながら山田先生が聞いてくる。
「ええ、いつでも大丈夫ですよ」
そう、短く刃鉄は頷きながら言う。
「分かりました、では自分のタイミングで発進してください」
「了解しました」
そう言い一息つくと、
「更識刃鉄、打鉄出ます」
そして刃鉄はアリーナへと飛んでいった。
「やっと来ましたのね。随分遅かったのですね、逃げ出したかと思いましたわ」
セシリアが挑発的に言う。
「三下相手に逃げる訳ないよ?それとも君は自分のことを過大評価しているのかな?」
セシリアの挑発に対し刃鉄も挑発する。
「ふ、ふふ、何を言うかと思えば笑い話にもならない冗談とは・・・呆れますわね」
「そ、じゃあ始めようか・・・。山田先生開始の合図を」
『分かりました。それでは両者位置に着いてください』
お互いが定位置まで行くと。
『それでは試合を開始します。
始め!』
その合図とともにセシリアのスナイパーライフルが火を噴く。
その初撃は
見事命中。
刃鉄は始めの位置に自然体でただ静止している。
そして数十秒後には
『SE残量 残り全体の15%』
刃鉄の専用機、打鉄がそう告げた。
(何故動きませんの?)
セシリアはとても混乱していた。
初撃の命中、これはこちらにとっては嬉しい誤算だった。
そしてそこから数十秒間攻撃に転じていた。
しかし、
「あなた!私をバカにしていますの!」
セシリアは怒鳴った。
「・・・」
しかし何も返してこない・・・と思った次の瞬間。
「残りSE残量15%、これ位のハンデをあげたんだ簡単には落ちないでよ」
そう言った目の前の敵、更識刃鉄はブレードを展開しながら言い放った。
そして、ノーモーションから一気に切りかかってきた。
「!!」
辛うじて反応したセシリアだが手にしていたスナイパーライフルは真っ二つに両断されてしまった。
「やっぱりISでの戦闘は少しブランクがあるからな感覚がズレた」
そう呟くと更に追撃してくる。
しかし、セシリアも代表候補生だ。いくつかの斬撃は受けたものの落とされることは無く何とか距離を取る。
「くっ、油断しましたわ。ですがこの勝負貰いましてよ!」
そうセシリアが言うと腰部にあったスラスターのように見えていたものが射出され刃鉄に向かいレーザーを放つ。
(なるほどこれが本当に第三世代兵器”ブルーティアーズ”か)
しかし刃鉄は全く表情を変えない。
(多少面倒ではあるけどやることは一つしかないよね・・・とりあえず)
刃鉄がブレードを構える。
「斬る!」
そう呟くと刃鉄の姿が掻き消える。
そして間髪入れずに四つの爆発が起きた。
「なっ!何が起きましたの!?」
混乱しつつもセシリアは当たりを見渡す。
すると刃鉄は消える直前までいた所にいた。
「あなた!一体何をしましたの!?」
「邪魔な羽虫を切っただけだよ」
さも当然なように刃鉄は言う。
(そんな!ハイパーセンサーを用いても認識出来なかった!?)
セシリアは驚愕し零コンマ数秒止まった。
いや、止まってしまった。
次の瞬間先程のように刃鉄の姿を見失う。
そして
ブルー・ティアーズはスラスター部分を残しバラバラに斬られた。
(一体何が起こりましたの?)
ピー、
『勝者”更識刃鉄”』
こうして意味の無い決闘は幕を閉じた。
次回は一応、セシリア編のその後の話。