入学式が終わり今僕は教室にいる。
そこで自己紹介をすることになっているのだがそこで一騒動あったのだ。
織斑一夏くんの自己紹介のヘタさ、織斑先生の登場などなどで教室は今やカオスな状態だ。
這い寄ってくる邪神様を最近見つけて読んでみたけど面白かったね。それにしても主人公と母親のあのフォークの扱い方少しだけ教えて欲しいと思ったよ。
閑話休題
あの後何とか織斑先生が収拾を付けたみたいで自己紹介が続いた。
「次は・・・更識 刃鉄くん」
「はい」
山田摩耶先生に呼ばれたので短く返事をし起立した。
「皆さん初めまして更識刃鉄です。僕は少々特殊な事情があり皆さんよりも一つ年上ですがどうか気軽に話しかけてください」
そう言うと一礼して着席した。
「織斑、アレが正しい自己紹介だ分かったか」
「わ、分かりました」
こうして自己紹介が終わった。
「織斑くん少しいいかな?」
「あ、えと、更識さん?先輩?」
「あはは、刃鉄でいいよ。敬語もいらないし」
「そ、それじゃあ、刃鉄さんで」
「さんも要らないけどまあいいや。じゃあ僕も一夏くんと呼んでいいかな」
「は、はい是非」
まだ緊張しているのか敬語だ。
「気楽にしていいよ。それにしてもお互い大変だね僕らしか男がいないから。」
「そうですね。確かに居心地は悪いです」
そこからはちょっとした世間話をしていた。
すると・・・
「ちょっといいだろうか」
黒髪のポニーテールの女の子が話しかけてきた。
「うん?箒か?箒だよな!」
「あ、ああ私だ久しぶりだな一夏」
「本当に久しぶりだな!六年ぶりか!」
「それくらいだな」
そんな挨拶を交わしている二人。
うわー、僕空気だ。
そんなふうに考えていると、
「あっ!刃鉄さん、こいつは俺の幼馴染みの篠ノ之箒です」
「篠ノ之箒です。えっと、更識さん」
「あはは、やっぱさん付けなんだまあいいや、はじめまして箒ちゃん。僕は更識刃鉄、刃鉄でいいよ。出来ればさん付けもなしだと今はとても喜ぶよ」
「そ、そうですか。ところで刃鉄さん、少し一夏を借りて良いですか?」
「彼次第かな。彼は僕のものでは無いし」
「分かりました。一夏少しいいか?」
「ああ、構わないぜ」
「そうか、それでは少し2人きりで話すとしよう」
そう言うと箒は一夏を連れて教室を出ていった。
一夏くんがいなくなってしまったので自分の席に戻ろうとした時、
「ハー兄久しぶり〜」
凄く間延びして凄く懐かしい声が聞こえた。
声の主は
「久しぶりだね、本音ちゃん」
そう言ってつい本音ちゃんの頭に手を伸ばしかけて手を止めた。
「?どうしたのハー兄?いつもなら頭なでなでしてくれるのに」
「いや、ちょっとね」
(こんな汚れている手で本音ちゃんに触れることなんて出来ない。そういえばこの間虚さんに触れちゃったな。今度謝らなければ)
そう言って手を引っ込める
「うーん、ハー兄何か雰囲気変わった?」
「そ、そうかな」
昔からこの子はそういう所に非常に敏感なんだよな。
「まあでもたぶん昔よりも弱くはなっているかもね」
「え〜なんで〜?ハー兄はいつも強かったじゃん」
「いや、あの頃も強くなんてないさ。ただ何も知らない子供だっただけだよ」
「うーん?よく分かんない」
「本音ちゃんはそれでいいと思うよ」
「そっか、じゃあいいや〜、ってもう時間だ〜私は行くね〜」
「うん」
そうして本音ちゃんは席に戻っていった。
授業中、内容は初歩的な知識だった。
皆しっかりノートを取るなどしていてそれでもしっかり前もって理解しているようだ・・・ただ1人を除いては。
(一夏くんまさかアレ読んでないのか?)
「せ、先生」
僕は挙手をする。
「どうしましたか、更識くん」
「えっと、一通りの説明をもう一回だけお願いします」
「も、もう一回ですか?」
狼狽えている山田先生、すみません。僕じゃないんですよ、僕じゃ。
「更識、入学前に渡した資料は読んだのか」
「読んだのですが今まで全く関わらなかった男子なので内容は読めても理解が追いつかなくて・・・」
「そうか」
「あ、あともう一部発行して貰っていいですか?あの資料実家に置きっぱなしにしてしまって持ってきてないんですよ」
「はあ、分かった。渡すのは放課後でいいか?」
「構いません」
頷くと
「よし、では授業の再開だ、山田先生」
「は、はい!」
その後もう一度説明をしている山田先生に心の中で手を合わせて謝っていたのはまた別の話。
授業も終って休み時間。
ごっ!
「イテッ!」
僕は一夏くんに拳骨を落とした。
「は、刃鉄さん」
「一夏くん、君必読の資料全く読んでないでしょ」
ギクッ!
「な、何のことですか」メヲソラス
「はあ、やっぱり。とりあえず放課後貰える資料を君にあげるからしっかり暗記すること、分かった?」
「えっ?でも刃鉄さんも分からないって」
「嘘も方便だよ、一夏くん」
「へっ?」
「だから、わからないって言うのは嘘だよ。それは織斑先生も知ってるし、たぶん教職員の方々はもう知ってると思うよ。一応専用機も持ってるし」
最後の部分は少し音量を下げて言った。
「そ、そうだったんだ・・・えっと、刃鉄さんありがとうございます。」
「いいよ別に、困った時はお互い様なんだから」
そう言った後は雑談をしていた。
すると
「少しよろしくて?」
「へっ?」
「うん?」
急に話しかけられたので二人とも間抜けな返事になってしまう。
「まあ!なんて返事なのかしら!やはり男性とはまともに返事もできないようですわね」
「なっ!」
挑発的な言葉に一夏くんが反応する。
「落ち着きなよ一夏くん」
それを刃鉄は右手で制する。
「確か君はイギリスの代表候補生のセシリア・オルコットさんだよね?」
「あら、私のことを知っているのですね」
「ええ、まあ」
「そうですか。まあそんなことはどうでも良いですわ。それにしてもあなた、更識さんは無知なのですね。あのような基礎中の基礎も理解出来なかったなんて。まあ、でも、同じクラスの嘉として土下座して頼むのでしたら教えて差し上げても宜しくてよ」
と、こちらをあからさまにバカにしたように言ってくる。
「なっ!お前な!刃鉄さんは・・・」
「一夏くん待って!」
一夏が口を滑らせそうだったのでそれを制した。
「とりあえず本当に落ち着こう」
「刃鉄さんなんであんなに言われて平気なんだよ!」
「ごめん、僕のために怒ってくれるのは嬉しいけど少し静かにしてて」
少しだけ声を低くする。
「ッ!分かりました」
一夏は苦い顔で引き下がった。
「オルコットさん確かに僕は無知だ。でもね・・・」
一拍おいて
「君に教えて貰うくらいなら独学かこの学園の教職員の方々に教わりに行くよ」
声色をそのままに言い放つ。
そこでチャイムが鳴った。
そしてここで解散となった。
「これより来月行われるクラス代表戦に参加するものを決めてもらう。自推、他推は問わない」
織斑先生がそう言うと、
「はいっ!私は織斑くんを推薦します!」
「私も!」
「じゃあ私は更識さんを推薦するよ!」
「おお~いいね~私もハー兄に一票だ~!」
やはり男性に白羽の矢がたった模様。
「お、俺!」
「何となく予想してたけどここまでとは」
驚く一夏と苦笑する刃鉄。
しかしこの教室の空気をぶち壊したのは・・・
バン!
「そのような選出認められませんわ!」
セシリア・オルコットだった。
次回はとりあえず目指せセシリア編完結。