更識家の長男   作:ゆけむり

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亡き女を想うと書いて妄想なんですよ。
(意味不明)


プロローグ

 とあるアメリカの港の古びたコンテナ内。

 その中には複数人の黒服を着た男達がいた。

 ガチャ、

 その中の1人がおもむろに手に持っていたジュラルミンケースを開け

 「例の物だ」

 その中には小さめの袋に小分けされた白い結晶の様なものがぎっしりと入っていた。

 「確かに本物だな、おい!金持ってこい」

 「はいっ!」

 一人の男がそう部下に指示を出す。

 「こちらです」

 先ほど指示された部下がジュラルミンケースをもってきた。

 「ご苦労」

 そう言うと取引相手に向き合い

 「きっかり八千五百万円用意した」

 ジュラルミンケースを開き相手に見せる。

 「確かに受け取りました」

 そして一拍おくと

 「今回は良い取引が出来ました。これからもどうかご贔屓に」

 そう一礼して去ろうとした時

 

 

 

 自分たちが入ってきた入口に誰かが立っていた。

 そして

 「あなた方を現在時刻午前一時をもってこの世から強制排除させていただきます」

 男の声が響いた。

 否、叫んだ訳ではないコンテナ内にいる人間にのみ聞こえるような音量だった。しかしその声はよく通った。

 そして次の瞬間その声の発信者を除くその場にいた全員の視界が反転してその数秒後に意識が暗転し二度と覚めることは無かったという。

 何が起きたかと言えば単純にその場にいた自分以外の人間の首と胴体をなき別れにさせたのだ。

 少年が持つ返り血が着いた刀によって。

 「また命を散らしてしまった」

 その場でたった一人の生き残りにしてこの惨劇を生んだ少年。

 

 

 更識刃鉄(さらしき はがね)は涙を流しながら一人呟いた。

 

 

 

 

 

 あの惨劇から三年が経ち彼は今、不殺を胸に世界を点々としていた。

 ある時はアメリカで気まぐれに人助けをして、ある時はイギリスの貧しい姉妹を手助けしたり、またある時はドイツで独りでいる者に手を差し伸べた。

 そして彼はまた日本の地に帰って来たという。

 家族に会えるという喜びと自分の双子の妹に対する後ろめたさを胸に抱きながら。

 

 

 

 

 

 

 日本到着から三時間。

 今刃鉄はとある屋敷の前にいる。

 その屋敷とは・・・

 「帰って来たんだな、僕」

 彼の実家であり更識家の総本山の屋敷だった。

 インターホンへと手を伸ばす。

 しかしボタンに触れる前にその手は止まってしまう。

 (刀奈がいたらどうしよう)

 自分の都合で”楯無”の名を受け継がせてしまった妹のことを思い出す。

 (たぶん嫌われてるんだろうな)

 胸の奥が締め付けられる様な感触に襲われる。

 (このままじゃダメだよな)

 再度インターホンに手を伸ばし今度はボタンを押した。

 ピンポーン・・・

 それから数秒後門が開き

 「はい、どちら様でしょうか」

 中からメガネをかけた女の子が出てくる。

 「お久しぶりです虚さん」

 懐かしいな、なんて思いながら適当に挨拶をすると

 「は、刃鉄様!お、お久しぶりです!と言うか今までどこにいたんですか!?」

 虚さんは僕だと分かると一気に詰め寄ってきた。

 「わわっ!虚さん落ち着いて!その事も諸々含めて今日は父上に報告に来たから!」

 そう言って虚さんの肩を優しく掴んで自分から離した。

 「も、申し訳ございません取り乱しました」

 顔を真っ赤にして俯きながら離れてくれた。

 (助かった、いつの間にか虚さんとても綺麗になってたからびっくりしたな)

 「こちらこそすみませんいきなり肩を掴んでしまって」

 そう言うと

 「い、いえお気になさらず。ワタシハウレシカッタノデ」ボソ 

 「そうします」

 最後に何か言っていた気もするがよく聞き取れなかったのでスルーした。

 「刃鉄様、とりあえずここで立ち話もなんですので上がりましょう」

 「そうですね父上にお話したいこともありますので」 

 そう言って門を潜った。

 

 その後久々に父上に今までやって来たことを全て話した。

 そして不意に父上にこう言われた。

 「お前確かIS使えたよな」

 「は、はい。一応オリジナルカスタムの打鉄がありますが」

 「そうか。では今度お前にはIS学園に行ってもらいたいんだが」

 「構いませんよ?」

 「まだ話してないことがあるのだが・・・」

 「だいたい分かりますよ。織斑一夏君が関係してくるんですよね?」

 「その通りだ。そしてここからが本題なのだが彼を守って欲しい。上からの命令だ。当初は楯無に任せるつもりだったがお前が帰ってきてくれたからな。帰ってきて早々悪いが頼む」

 「いえ、お気になさらずに。僕は今まで自分の都合で皆に迷惑を掛けてしまっていたんですそんな事でお役に立てるなら本望ですよ、父上」

 「そうか、では頼んだぞ」

 「分かりました。ところで父上僕は何学年になるんですか?」

 「お前はまだ高校を出てないからな1年からになる」

 「了解しました。それでは失礼します」

 こうして更識刃鉄のIS学園行きが決定したのだった。

 

 

 

 

 その頃IS学園では

 「ウワ~ン!虚ちゃんだけなんで本家に呼び出しなのよー!この仕事が多い時期に!」

 一人机に向かって愚痴を言いながら職務を全うしている楯無の姿があった。

 しかしその彼女に追い打ちを書けるように1通のファックスが届いた。

 その内容は

 新入生に1名追加

 氏名

 更識 刃鉄

 その先は全く楯無の頭に入ってこなかった。

 

 

 

 

 「兄さんが・・・ここに」

 一人生徒会室で呟くのであった。

 

 




次回の予定は一応オリジナル展開です

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