テスト勉強のストレスを発散したく、勢いのままに書いてみました幼馴染みモノ。現在、もう一つオリジナル作品を連載中ですが、それと比べると幾分かラブコメの「ラブ」要素が高くなる······と思います!曖昧!
僕の特徴として投稿する一話目がやたら短いというものがあります。まずは主要キャラの確認程度に。······どうぞ!
僕、高校生の
十分な睡眠時間を取ったおかげで、昨日蓄積された疲労がすっかり取れた自身の肉体。ベッドから起き上がってカーテンを開けた途端に部屋に差し込んできた太陽の光。そこから首を上げれば視界に入る、雲一つ無い青空。
ふふ、実に爽快な気分だ。世界が僕の目覚めを祝福してくれているようにすら感じる。祝福されるようなこと何にもしてないけどね!
などと下らないことを考えつつ、寝室から出て廊下を歩き、リビングへと向かう。
すると、
「あ············おはよう、有里」
「ん、おはよう。
まるで全高校生男子の理想をそのまま具現化したかのような美少女––––––僕の幼馴染みである
彼女の手には包丁と食材が握られており、いつものように僕の朝食を作っていてくれていたのだと理解する。
「ありがとね、澪。別にそんなことを毎日してくれなくても構わないのに······」
「············ん、これは私の仕事。············将来は有里のお嫁さんになるんだから······これくらいは、させて」
そんないじらしい幼馴染みの言葉に、僕もまた苦笑交じりに言葉を返す。
「いやいや、本当に構わないよ。だって––––––」
「––––––僕はそもそも、君を部屋に招き入れてなんかいないんだから、さ」
そんな僕の言葉に、彼女は。
「············うん。今日もピッキングに手間取った。······明日からはちゃんと、鍵は開けておいて?」
「嫌だよ⁉︎ ねぇ何で⁉︎何で君は家の鍵を閉めてもバリケードを作っても玄関にまきびしを撒いても朝にはリビングで朝ご飯作ってるの⁉︎ ナンデ⁉︎ ネェナンデナノ⁉︎」
「············愛の力?」
「そんな愛があってたまるかぁ–––––––––!」
朝っぱらから僕の絶叫が部屋に響き渡る。
そんな僕の様子を見て······度を過ぎた肉食系幼馴染み、白崎澪はキョトンとした表情で首を傾げた。
◆ ◆ ◆
僕の幼馴染みである白崎澪は昔はとても常識的な子で、それはそれは可愛い女の子だったのです。
透き通るように白い肌。
肩を少し過ぎるくらいにまで伸ばした、柔らかそうな質感の藍色の髪。
いつもジト目気味であるけれど、まるで宝石のように綺麗で大きな、髪と同じ色の瞳。
トップモデルと比べても遜色の無い均整の取れた肢体と程よい大きさのむn––––––ゲフンゲフン。
そんな冗談のように美しく、中身だって少々無口気味で他人との付き合いが苦手な所はあるけれど、運動神経抜群だし頭脳明晰だし滅茶苦茶優しい。······そんな彼女と幼稚園からの幼馴染みであることを、僕はちょっと誇らしいとすら感じていた。
「さて、今日も一日頑張ろっか、澪」
「············うん」
そんな彼女と僕は今日もいつも通り一緒に登校している。何の因果か僕が高校に入ってから一人暮らしを始めてとあるマンションの一室を借りてからしばらくすると、澪がその隣の部屋に越して来たので、こうして一緒に登校することが出来ているのだ。当時は神様も中々粋なことをすると思ったものだ。
そんなことを考えていると、隣を歩く澪がピタリとその足を止め、ポツリと呟いた。
「············教科書を忘れて来てしまった」
「えっ、また?」
「············(こくり)」
澪はよく忘れ物をする。
教科書、ノート、体操着に筆箱など。とにかく高校での授業などに必要な色んな物を忘れる。部屋を出る前に「今日は忘れ物無い?」と彼女に聞くと、決まってキリッとした表情でグッとサムズアップまでしてくるのだけど、高校へ歩き出してしばらくすると「やっぱり忘れた」となるのだ。まぁ、それも愛嬌と言えば愛嬌なのだけれど。
「まったく······まだ家からそんなに離れてないし、取りに戻ろうか」
「············ん。だけど、有里まで付き合わせてしまうのは心苦しい。············先に登校していて欲しい」
「あー······うん、分かったよ」
「············ありがと、有里」
僕がそう返すと、彼女は感謝の言葉と共ににこりと微笑んだ。胸が締め付けられるような感覚を覚える。だが、それを不快に思うことはない。むしろ心地よいものだ。
パタパタと足音を立てながら歩いて来た道を戻って行く澪の後ろ姿を見ながら胸に手を当ててみると、バクバクと通常よりも早く、大きく心臓が鼓動しているように感じた。
「はは、参ったな」
もう随分前から抱いていたこの気持ち。
やはり僕は、彼女に恋をしているらしい。
だけどその気持ちを彼女に打ち明けることは、まだ出来ない。今まで幼馴染みとして向き合って来たが故の気恥ずかしさというのがあるのだ。だけど、あんな可愛い子をいつまでも皆が放っておく理由などない。いつまでもうだうだしていてはいずれ誰かに取られてしまう可能性だってあり得る。······いやまぁ、元々僕のって訳じゃないけど。
「早く······出来るだけ早く、ね」
これまた随分前から言い続けて来た言葉を再度口の中だけで紡いでいると、ある一つのことに気付いた。
「······あ。そう言えば今日は授業変更があって、化学の教科書が必要になるんだっけ」
そう、僕も忘れ物をしていたのだ。
くっ!さっきまで澪に「仕方ないなぁ」みたいな目線を向けていた分、何となく自分が情けないぞ!
どうやら僕も来た道を引き返し、忘れ物を回収しに向かわなければならないらしい。途中で澪と鉢合わせになるかもだけど、その時は彼女に先に高校へ向かってもらうとしよう。
◆ ◆ ◆
「~♪」
甘くて苦くて目が回りそうな口笛を吹きながらテクテク歩いて行き、つい数分前に出たばかりの我が家(マンションだけどね)へ到着した。結局澪とは道中合わなかったけど、まだ部屋で忘れ物を捜索しているのだろうか。
後で捜索を手伝ってあげようと考えつつ、そのまま自室の前に到着。鍵穴に鍵を差し込んで······あるぇー?
「······鍵が開いてる?閉め忘れは出る時に確認したし······まさか、空き巣犯か⁉︎」
一人の男子高校生がマンションの一室の前で腰を低くして、ババっと音を立てながら何やらおかしな構えを取り出す。うぅむ、中々に不審者。ご近所さんにおかしな噂を流されても困るので、一応すぐに国家権力への通報が行えるように準備しつつ、そろーっと部屋の中に入って行く。
そしてそれぞれの部屋を慎重にチェックしていく。
まずは廊下。敵影無し。
そしてリビング。オールグリーン。
続いて浴室。人っ子一人いない。
更に寝室。一人の少女が僕の布団をぎゅーっ。
ぱたん。
寝室の扉を閉めた。
かちゃ。
もう一度オープン。
見覚えのある美少女が僕の布団に顔を埋めてすーはーすーはー。
ぱたん。
そっ閉じ。
························。
··········································。
························································えっと。
「僕の寝室で何してんの澪ッ⁉︎」
「ッ⁉︎(びくびくびくっ!)」
突然掛けられた大声にビックリしたのか、今まで顔を埋めていた僕の布団にくるまって芋虫みたいになる僕の幼馴染み。あ、ちょっと可愛い––––––じゃなくて!
「澪!澪ったら!僕の布団から早く出て来なさい!ここで何してたの、みーおー!」
「んー!んー!」
忍法布団隠れの術を発動した澪を捉えるべく布団を引き剥がしにかかるが、あの細腕のどこにそんな力があるんだと言いたくなるくらいの強烈な力で内側から布団を押さえつけられており、引き剥がすことが出来ない。布団の中からはくぐもった澪の声が聞こえており、その声からは明確な抵抗の意思が感じ取れた。
「······まずはとにかく話を聞かせてもらおうか!」
「ッ⁉︎ ············っ!············!」
僕が先程よりも強い力で布団を引っ張れば、中の澪もより強い力で布団を押さえつける。先程から布団からはプチプチと何やら不吉な音も聞こえるし、このままでは布団がビリッといってしまう······そう考え、僕が一旦諦めて力を緩めようとすると。
「············待って······!これ、読んで·······?」
布団の中からにゅっと白い腕が伸びて来た。
ギョッとしながらその手に視線を送ると、一通の手紙が握られていることに気が付いた。あと、何故か僕の下着も一着。絶対事情は後で聞いてやるからね。
······それにしても。
「これって······」
「·············あ、ぅ」
僕が視線をいつの間にか顔だけ布団の外に出していた澪に向けると、彼女は恥ずかしそうに俯いた。え、何その反応。え、ちょ、待って、まさかこれって––––––⁉︎
僕は震える指先で手紙を開き、内容に目を通す。
そう、ここからだ。
ここから僕と彼女の関係は、少しだけ変わったんだ。
美少女の幼馴染みと、それに恋する男の子から。
果てしない苦労と恋(?)をする相原有里と、その男に恋するスーパーハイスペック肉食系幼馴染み、白崎澪へと。
いかがでしたか?
これから主人公やメインヒロインのキャラが補強されていったり、新キャラが増えたりすると思います。更新速度は遅いかもですが、まぁ暇潰し程度に見て頂ければ幸いです。
では、今回はこの辺で。ありがとうございました!