ストライクウィッチーズ 鉄の狼の漂流記   作:深山@菊花

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今回は早く書けたので早く投稿します。


第十一話「芳佳とリーネ」

シュミットは夜間哨戒中、今日やってきた新人ウィッチのことについて考えていた。

宮藤はリーネと同じぐらいの年だが、リーネと違い訓練なしで飛びいきなり実戦をして見せた。それが、リーネの不安を更に掻き立てないか心配していた。

 

「厄介な方に行かなければいいけどなぁ…」

 

そんなことを考えながら基地に帰投した彼は、遠くで刀を振っている坂本を目視した。その横には宮藤がいる。

シュミットは気になり格納庫に戻った後坂本達のいるところに向かった。

坂本は朝の鍛錬で刀を振っていた。それを宮藤は離れながら見ていた。

 

「早朝から精が出ますね、少佐」

「シュミットか、帰投したばかりか?」

「はい、それと宮藤だっけ?」

「は、はい!」

 

と、宮藤の大声の返事にシュミットは少し微笑んだ。

 

「これからよろしくな。ふぁ~…」

 

そう言って、シュミットは大きく欠伸をする。そしてのろのろとした足取りで基地に歩いていった。

 

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朝、シュミットは眠たい体を起こしてブリーフィングルームに来ていた。既に部屋にはミーナと宮藤以外のウィッチ達が集まっており、皆がそれぞれの待ち方で待っていた。

そして、ミーナが宮藤を連れて部屋に入ってくる。宮藤の姿を確認したウィッチーズは視線をそちらに全員向ける。

そして壇上に上がったミーナが手をたたく。

 

「ハイ皆さん、注目。改めて今日から皆さんの仲間になる新人を紹介します」

 

そう言ってミーナは説明する。

 

「坂本少佐が扶桑皇国から連れてきてくれた、宮藤芳佳さんです」

「宮藤芳佳です、皆さん宜しくお願いいたします」

 

そう言って宮藤がお辞儀をする。

 

「階級は軍曹になるので、同じ階級のリーネさんが面倒を見てあげてね」

「は、はい…」

 

と、ミーナはリーネを指名するがリーネは自信なさそうに返事をする。

 

「はい、じゃあ必要な書類、衣類一式、階級章、認識票なんかはここにあるから」

 

そう言ってミーナは壇にある物を見せるが、宮藤はそれを見て顔色を変えた。

 

「あの…」

「はい?」

「これはいりません…」

 

そう言ってミーナに壇上にあった拳銃を手にもって渡した。

 

「何かの時には持っていたほうがいいわよ?」

「…使いませんから」

「そう…」

 

そう言って宮藤は拳銃を持つのを拒み、拳銃はミーナが受け取った。

 

「あっはははは、おかしなやつだな」

 

坂本がそう言って笑うが、ペリーヌが反応しルッキーニに聞いた。

 

「何よきれいごと言って、ねぇどう思う?」

「んぁ?」

 

と、ルッキーニが特に反応を示さなかったためペリーヌは更に癇癪を起こした。

 

「なによなによ!」

 

そう言ってブリーフィングルームから出ていくペリーヌ。それを見てミーナが苦笑いをする。

 

「あらあら、仕方ないわね…個別の紹介は改めてしましょう」

 

そう言った後ミーナは表情を引き締めた。

 

「では解散!」

 

それと同時にシュミット達全員が立ち上がる。それを見てミーナはブリーフィングルームを後にした。

シュミットはその一連の出来事を見て「まぁ、そうなるよな…」と、宮藤が拳銃を拒んだのを考えていた。元々ただの学生に過ぎず、ウィッチとしての訓練を受けていなかった少女がいきなり銃を持てと言われて納得するはずがない。

しかし同時にここは最前線。銃を手に取って戦うペリーヌからしたらその行為が理解できないのも頷ける。

そんなことを考えているとき、ルッキーニが宮藤に飛びついた。

 

「ひゃあ!!」

「どうだ、ルッキーニ」

 

シャーリーがルッキーニに聞く。ルッキーニは残念そうな顔をする。

 

「残念賞…」

 

それを聞いてエイラが言った。

 

「リーネは大きかった」

「うう…」

 

エイラの言葉を聞いたリーネが恥ずかしそうに頬を赤くして顔を下げる。

 

「あっはははは、私ほどじゃないけどね」

 

そう言ってシャーリーは手で胸を持ち上げる。宮藤はルッキーニに残念賞と言われ、自分の胸を触る。

 

「私はシャーロット・E・イェーガー、リベリオン出身で階級は中尉だ。シャーリーって呼んで」

「はい」

 

シャーリーはそう言って宮藤に手を差し出す。宮藤はその手に握手をするが、シャーリーのいたずらで思いきり握られ痛そうにする。

 

「ははははは、食べないと大きくなれないぞ!」

 

そう言って胸を張るシャーリー。宮藤はその胸を見て驚いたように見る。ルッキーニは、つまんないと言ってそんなシャーリーの胸に抱き着いた。

シュミットはその光景を顔を逸らしていたが、とりあえず自己紹介しないといけないと思い席を立ち宮藤の元に行く。

 

「エイラ・イルマタル・ユーティライネン、スオムス空軍少尉。こっちはサーニャ・V・リトヴャク、オラーシャ陸軍中尉」

「…」

 

と、エイラとサーニャの自己紹介が行われる。尤も、サーニャは朝に弱く立ちながら眠った状態のためエイラが自己紹介をした。

 

「私はフランチェスカ・ルッキーニ、ロマーニャ空軍少尉!」

「んで私はシュミット・リーフェンシュタール、カールスラント空軍中尉だ」

 

そしてシャーリーに抱き着いているルッキーニと前に歩み寄ってきたシュミットも自己紹介をする。

 

「よ、宜しくお願いします」

 

芳佳は律儀にお礼をする。

 

「よし、自己紹介はそこまで。各自任務につけ。」

 

そう言って坂本が自己紹介を終わらせる。

 

「リーネと宮藤は午後から訓練だ。リーネ、宮藤に基地を案内してやれ」

「り、了解…」

 

坂本はリーネに宮藤を案内するように頼む。リーネは了承したが、その表情はまだ不安そうにしていた。

その後宮藤とリーネが基地の案内を始めたため、全員が各自行動を始めた。シュミットは本来午前中は眠るつもりだったが、自己紹介の間に目が覚めてしまったため、基地の射撃場で訓練することにした。

シュミットが火器を持ち射撃場に着くと既にそこには坂本とペリーヌがいた。ペリーヌは坂本から射撃について指導をしてもらっていたようだ。

 

「少佐にペリーヌ、二人も射撃訓練ですか?」

「ああシュミット、そうだ」

 

そう言う坂本の横でシュミットは的に向けて背負っていた機関銃を構えた。それはいつも彼が使っているMG151/20では無く、『MP40』と言うカールスラント製の短機関銃だった。

ある日、いつものようにネウロイ出現の時にMG151を持って出撃したシュミットだったが、大きなMG151は彼でも重量の関係で取り扱いが少し難しいという問題があり、ネウロイと格闘戦をしたときに少し扱いずらいと感じたのだった。そのため、手軽に扱える軽量の機関銃を使おうと考えた結果この機関銃を使うようになったのだ。尤も、戦闘の時はそのMPを両手に持って撃つバルクホルンの戦闘スタイルに似た形ではあるが。

 

閑話休題(それはさておき)

 

シュミットが射撃訓練をしばらくしていると、リーネが宮藤を連れて射撃場の案内に来た。リーネが射撃場の説明をすると宮藤はそこの敷地の広さに驚いていた。

ちなみにシュミットは射撃に集中していたためリーネたちが来ていることに気づかず、ずっと黙ったまま淡々と訓練をしていた。

 

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「あの人は?」

 

リーネに基地を案内されていた宮藤は、大勢のカメラマンに写真を撮られているウィッチが気になり質問した。

 

「ハルトマン中尉ですね。このあいだ撃墜数が200機になったんですよ」

「200機!?」

 

宮藤はハルトマンの撃墜数に純粋に驚いた。

 

「今までそんなにたくさんのネウロイと戦ってきたんだ……」

「隣にいるバルクホルン大尉なんて250機ですよ。ミーナ隊長も160機超えていますし、三人がいなかったらここもとっくにネウロイに制圧されていたと思います。他の皆もすごい魔法の技を持っていて、沢山の人や故郷を守ってくれているんです」

 

そう言うリーネは悲しそうな表情をする。

 

「本当にすごいんです、ウィッチーズは…」

「私なんて治療しかできないよ」

「それでも凄いです。私なんて何もできない足手まといですから…」

 

リーネはさらに表情を暗くする。宮藤は「そんな…」と反論するが、リーネは聞く耳を持たずに次を案内するが、振り返った先にある壁に激突した。

 

「うわっ!?…ごめんなさい!」

「リネットさん…」

 

リーネは壁に激突して謝り、宮藤はその様子を見て苦笑いをしていた。

その後、リーネと宮藤は屋上に行った後坂本の訓練に参加していた。

 

「もっと早く!!」

 

坂本の声が滑走路に響く。滑走路では宮藤とリーネが走っている。そこから離れたところではシュミットが訓練の様子を見学していた。

 

「お前達の前には何が見える!!」

「海です!!」

 

宮藤が応える。

 

「海の向こうには何がある!!」

「ヨーロッパです!!」

 

今度はリーネが応える。

 

「ヨーロッパは今どうなっている!!」

「ネウロイに占拠されています!」

「そうだ!お前達はそこを奪還せねばならない!その為には訓練、訓練、更に訓練だ!」

 

そう言って宮藤とリーネは滑走路を走る。その様子をシュミットは見ながらドーバーを見る。

 

(そうだ…この海の先にはネウロイに占拠されたヨーロッパがあるんだ…)

 

シュミットはそう考えながら宮藤達の訓練を見ていた。

その後、坂本とペリーヌも訓練に加わり4人で飛行訓練をしていたが、宮藤とリーネはへばってしまい夕日が眩しい滑走路に寝そべっていた。

 

「もうへばったのか宮藤」

 

坂本が二人の近くに下りながら宮藤に話しかける。その向かい側にはペリーヌが下りてくる。

 

「まぁ初日ならこんなものか」

 

そう言って宮藤とリーネを見ながら坂本が少し笑う。

 

「しかし魔法のコントロールはバラバラ、基礎体力もからっきしだな」

 

そう言いながら坂本はふと、シュミットのこと思い出した。シュミットは初めて来たときから魔法のコントロールも良く、基礎体力も高かったなと考え、宮藤がこのようになるのも当たり前かと思っていた。むしろ、初めてユニットを動かしてあそこまで飛行していたシュミットのほうが異常なのではあるが。

 

「貴方のような素人が一緒では私達が迷惑しますわ。さっさと国にお帰りになったら?」

「そう責めるのも良くないだろペリーヌ」

 

ペリーヌがそう責めるが、ペリーヌの後ろから声がする。坂本とペリーヌが向くと、そこには滑走路を歩きながら近づいてくるシュミットがいた。

 

「私だって初めて軍に入隊したときはこんな感じだったんだ。誰もが最初はこうだろう」

 

シュミットがそう言ったためペリーヌもこれ以上責めることをやめた。

 

「それより坂本少佐、空戦テクニックで試してみたいことが…」

「そうか、ならもうひとっ飛びするか」

「はい、是非!」

「よし、宮藤とリーネは今日はここまでだ」

 

そう言って坂本は再び飛び立つ。ペリーヌもそれに次いで飛び立つが、飛びながら宮藤に対してあかんべーをしていた。シュミットはそんな様子を見てやれやれと思ったのだった。

 

「宮藤、リーネ、二人ともそんなところで寝ていないで汗を流しに行きなさい」

 

そう言ってシュミットも滑走路を後にするのだった。後に残された二人は肩で息をしながら「はい……」と言ったのだった。

 




しゅみっとは あたらしぶきのつかいかたを おぼえた。
しかし、本編が始まるとシュミットを話に入れるの少し難しくなってきますね。

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