ストライクウィッチーズ 鉄の狼の漂流記   作:深山@菊花

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ようやく文章がまとまりました。(ちなみに一度4000文字がパーになるトラブルが発生して枕を濡らしました)
ではどうぞ!



第二章「ストライクウィッチーズ編」
第十話「新たな仲間」


「扶桑へですか?なんでまた突然…」

 

シュミットがこの世界に来てから暫くたったある日、シュミットは坂本と話していた。

坂本は荷物を持ち、どこかへ向かう準備をしていた。

 

「実は扶桑で有望なウィッチが見つかったと連絡があり、私が直々にスカウトしに行くことになったのだ」

「少佐直々って…」

 

シュミットが不安するのは、最前線であるブリタニア防衛の501において、主力ウィッチが一人欠けることへの戦力ダウンを心配していたのだ。

 

「なに、心配するな。近々ここに新人が配属される」

「新人?」

 

新人という言葉にシュミットは驚き坂本に聞き返した。

 

「そう、新人だ。お前からしたら後輩だな」

「そうですが…」

 

後輩という響きは確かに聞こえがいいが、ここは最前線。新人を投入するほど連合軍は人材不足という状態に立たされているのだ。そのため、そんなウィッチ達を戦いに出すことをシュミットは内心複雑に考えていた。

 

「まぁいざという時はシュミット、お前が新人に色々教えてやれ」

「私がですか?」

 

突然のカミングアウトにシュミットは驚いた。

 

「しかし、私は男ですが大丈夫でしょうか…?」

「なに、心配するな。どの道この部隊の仲間になるんだから、早い内に関係を持つことも大切だぞ」

 

坂本に言いくるめられ、シュミットはこれ以上何も言わなかった。

 

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「というわけで、今日から配属になったリーネさんです」

「リ、リネット・ビショップです…」

 

翌日、ミーナによって集合した部隊員は、新たな新人の紹介をされた。因みにその席に坂本はおらず、既に扶桑へと出発した後だった。

 

(若いな、やっぱり…)

 

その容姿を見て、シュミットは内心そんなことを思っていた。年はルッキーニやサーニャよりは上かもしれないが、それでも若い彼女の姿は彼の胸を締め付けた。

 

「事前に言ったように基地の案内はシュミットさん、貴方にお願いします」

 

ミーナにそう言われ、シュミットは頷きリーネを見る。

 

「では、解散」

 

それと同時に、リーネの周りに他の隊員が詰め寄る。シュミットは机に座り腕を組みながらその光景を見ていた。女性の中に男一人が入るのは気が引けたので、彼は離れてその光景を見ることにした。途中、ルッキーニがリーネの胸を揉んではしゃいでいるのを見た時ばかりは、さすがのシュミットも顔を逸らしたが。

そして暫くして紹介が終わった後、リーネがシュミットの元にやってきた。

 

「宜しくリネット。私はシュミット・リーフェンシュタール、階級は中尉。宜しく」

「は、はい!」

 

と、自己紹介をする。しかしリーネは男性との接点があまりなかったのか、少し慌てたように返事をした。

 

「それじゃあ、基地を案内するからついてきてくれ」

 

そう言ってシュミットは初めて基地に来た時のことを頭に浮かべながら、基地を案内し始めた。

その後ろを、リーネがついていく。しかしリーネはシュミットの背中を見ながら考え事をしていた。

 

(この人がリーフェンシュタール中尉…)

 

シュミット自身は知らないことだが、彼はブリタニアではかなり有名になっていた。無論、列車を止め乗客を救ったことが大きく新聞に載ったことが原因だ。

そのため、リーネの中ではシュミットは遠い存在に見えていた。勿論、そんなことは現在シュミットが知るはずもなく彼は基地の案内を続けていた。

そして暫くして基地の案内を終えた後、シュミットはリーネに向き直った。

 

「さて、ここまでで何か質問はあるか?」

「だ、大丈夫です…」

「そうか」

 

そう言って、シュミットは基地の案内を終えた。

 

-----------------------------------------------------------------------------

 

さて、少佐がいない間リーネを訓練するように頼まれたシュミットはユニットを履いていた。その横では、同じようにユニットを履いたリーネがいた。

 

「さて、これから飛行訓練を行う。私の後についてきてくれ」

 

そう言って、シュミットは先に飛行を開始する。それについていくようにリーネも離陸する。最も、まだリーネは離陸する姿が少し不安定ではあるが。

その様子を、ミーナが執務室から眺めていた。

そして、暫く飛行する間、シュミットはリーネを見ていた。

(なんていうか…力んでる?)

 

シュミットはリーネの飛行の様子を見ながらそう考えていた。飛んでいる姿自体は別にどうということはないが、リーネの表情が凄く真剣な表情をしており、シュミットはそんな風に思っていた。

その後、空中でホバリングしシュミットはリーネに言った。

 

「リネット、力んでるぞ。もっと肩の力を抜いて」

「は、はい…」

「ん~、まだ力んでる…」

 

シュミットはどうしたものかなと頬を掻く。

 

「あの、リーフェンシュタール中尉…」

「そう、それだ!」

「えっ!?」

 

突然シュミットが大声を出したことにリーネは驚いた。

 

「呼び方!なんか力んでる感じがあるなと思ったんだよ」

「ええっ…?」

 

まさかシュミットがそんなことを言うとは思わずリーネは困惑する。

 

「…よし、んじゃあ私はリネットを中佐と同じようにリーネと呼ぶ。リーネも私をシュミットと呼んでくれ」

「わ、わかりました。シュミット中尉…」

「階級も無しでいいんだけどなぁ…」

 

と、シュミットは苦笑いしながらまた頬を掻いた。

ちなみにシュミットは少しでも肩の力を抜かせようと砕けた話し方をした。この世界に来る前のシュミットなら、こんなことを言うことはなかっただろう。しかし、501の中に溶け込んでから彼は変わった。そのことを自分でも実感しているシュミットは、リーネがこの部隊にいれば必ず変化があると、シュミットは思っていた。

そしてシュミットとリーネは訓練を終え基地に帰投する。その頃には、リーネの力みもある程度解消され飛行も安定していた。

 

「さて、今日の晩御飯は何だろうな」

 

ユニットを片付けたシュミットは、そんなことを言いながら格納庫から出ていく。その姿を後ろから見ていたリーネは内心驚きながら見ていた。リーネの中でシュミットは多くのブリタニア人を救った人物であり、初のウィザードということもあって彼が怖い人物のイメージを考えていた。そんなイメージとのギャップの差にリーネはぽかんとしていたのだ。

その後、シュミットは夕食をとった後、ミーナの執務室に来た。

 

「中佐、少しいいですか?」

「どうしたの、シュミットさん?」

 

ミーナは突然やってきたシュミットに優しい声で聞いてきた。

 

「リーネのことなのですが」

 

そう言って、シュミットは訓練の時のことを説明した。それをミーナは静かに聞いていた。

 

「――というわけなのです」

「そうね…」

 

そう言って、ミーナは答えた。

 

「おそらく、ブリタニアが故郷だからじゃないかしら」

「ブリタニアが故郷…」

 

その答えに、シュミットも思うことがあったのか顎に指をあて考える。

 

「プレッシャー…ですか?」

「たぶんそうね」

 

彼女の故郷はブリタニアである。ヨーロッパ大陸の大部分がネウロイに占領された今、ブリタニアは連合国軍にとって欧州最後の砦。そこの最前線である501基地に配属されたことによるプレッシャーがリーネを緊張させているのだとミーナは推測した。

それを聞いてシュミットは納得したと同時に、ミーナの洞察力に感心していた。今日一日近くで見ていたシュミットよりも、最もらしい答えをミーナが出したからだ。

 

「とりあえず、訓練をかなり積ませて一度実戦にでも出さないとこの緊張は解れないでしょうね…」

 

そう言うシュミットは少し表情を暗くしながら執務室の窓の外を見たのだった。

 

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それから暫く、シュミットは夜間飛行のない日は彼が教育をしていた。最初の頃は力んでいたリーネだったが、彼の指導のかいがあって訓練では少しずつ力を上げていた。

そこでシュミットはミーナに一度リーネを実戦に出してもいいかと提案した。ミーナはその提案に了承したが、いざ実戦に出した時、問題が発生した。

シュミットに言われ後方から狙撃するように言われたリーネだが、実戦となった瞬間再び力んでしまい訓練通りの力が出せなかった。

シュミットは格納庫付近の壁に凭れながら海を眺めていた。そしてリーネのことを考えていた。

 

(どうしたものかなぁ…)

 

シュミットはどうやってリーネに実戦慣れさせるか困っていた。現在のシュミットではお手上げ状態であったのだ。

その時、シュミットの上空からユニットのエンジン音が聞こえた。シュミットが顔を上げると、サーニャとエイラが基地に帰投し着陸しようとしていた。

シュミットが手を振って迎える。

 

「おかえりサーニャ、エイラ」

 

それを見てサーニャとエイラは手を振り返す。

 

「は~い、おかえり~」

 

と、シュミットの後ろから声が聞こえる。シュミットが振り向くと、水着姿で日光浴をしているシャーリーが二人に声を掛けていた。その横ではルッキーニが同じように水着姿で日光浴をしていた。

そこにペリーヌがやってくる。

 

「相変わらず、緊張感の無い方々ですこと。そんな恰好で…戦闘待機中ですわよ」

 

と、ペリーヌはシャーリーとルッキーニの格好に対して文句を言う。

 

「なんだよ~中佐から許可貰ってるし、解析チームも後20時間敵は来ないって言ってたぞ」

 

と、シャーリーは言う。

 

「それに、見られて減るもんでもな~い♪」

「ペリーヌは減ったら困るから脱いじゃだめだよ~」

「っ、大きなお世話です!」

 

と、シャーリーとルッキーニが煽りペリーヌが腹を立てる。そんな光景をシュミットは苦笑いしながら見ていた。

ちなみに彼としてはペリーヌ側である。この日は坂本が扶桑の新人ウィッチをスカウトして戻ってくる日であり、いつ何が起きても問題ないように戦闘待機中である。また、私情としてシャーリーの豊富な胸を直視できないからというのも理由である。

シュミットは小さく溜息を吐いて再び海を見る。相変わらずドーバーは穏やかであり、この海の先のヨーロッパがネウロイによって占領されているなんてとても思えない光景だった。

このまま20時間は何も起きずただ平穏のままであったらとシュミットは考えていた。

 

ヴウウウウウウウウウウウウウウ!!

 

と、シュミットの切なる願いは叶わなかった。基地全体にサイレンが鳴り響いたのだ。

 

「!?」

「敵!?」

「まさか、早すぎますわ!?」

 

と、先ほどまで言い合っていた三人が驚く。

シュミットはそんな三人を余所に格納庫へ走り出した。

それをみてペリーヌも格納庫に向かって走り出し、シャーリーとルッキーニも軍服に袖を通して後を追いかけた。

 

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突如出現したネウロイは扶桑艦隊を襲ったが、ウィッチーズによってすぐさま撃墜させられた。先に交戦していた坂本と新人ウィッチによって足止めをし、そこにルッキーニが遠距離から狙撃してネウロイのコアを破壊した。

その後、シュミット達ウィッチーズは滑走路に集められた。

彼らの視線の先には坂本と、扶桑からやってきた新人ウィッチが並んで立っていた。

シュミットはその少女を見て、リーネと同い年ぐらいかと結論づけた。

 

「えー、皆揃ったな。では紹介しよう!」

 

坂本が口を切る。

 

「本日付けで、連合軍第501統合戦闘航空団に配属となった宮藤芳佳だ!」

 

そう言った後、坂本は宮藤を見る。

 

「宮藤芳佳です!よろしくお願いします!!」

 

この日、501統合戦闘航空団に新たな仲間が加わった。

 




ようやく主人公(原作)が登場しました。








やばい……無性にリリカルなのはの小説が書きたくなってきたどうしよう……(ボソッ)

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