東方日妖精   作:空色空

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 みなさんのお陰で、東方日妖精の評価バーに色がつきました。これからどんどん頑張っていきたいところです。
 


 あ、今回のお話ですが、とてもうっっすいお話になりました。

 


第九話 偶にはこんな話も悪くない ~そんなある日の出来事でした~

 天気は晴れ。空が青ければ気分も晴れわたる。ってことで、今日は博麗神社へ遊びに来てみました。

 

 ……気分は関係なかったかもね。

 

 神社へ続く石段を、もちろん飛んで登ると、何時もの巫女服の少女と、白黒の少女。それと、あまり見かけない人がいた。

 うぅん? あの子は一体誰だろうか?

 

 なんか、その子に霊夢が怒られているように見えるんだけど……

 まあ取り敢えず、近くまでいってみることにしよう。

 

 

 

 

「やっほー。遊びに来たよ~……って、そんな雰囲気じゃないね」

「よう、何時ぞやの妖精じゃないか。久しぶりだな」

 

 魔理沙からそんな挨拶をされた。

『何時ぞやの妖精』なんて呼ばれたけど、私の名前知ってるよね?

 

 まあ、それはさておき。

 

 

「――まったく、貴方には博麗の巫女としての自覚が足りていないと、何度言ったら……」

「ああ、はいはい。分かった分かった…………面倒くさいわね」

「今、何か?」

「いや別に?」

 

 どうしよう。説教の真っ最中だこれ。

 

 まったく話を聞く気がない霊夢だけど、それに挫けず説教を続けるこの人もすごいな。映姫に負けず劣らずだ。まあ、それでも多分意味はないんだろうけど。

 

 しかし待てよ。この声、何処かで聞いたことがあるような……

 

 あ、もしかして。

 

「ねえねえ」

「何ですか? 今は説教の最中で……す……よ……」

 

 私の呼び掛けで、顔をくるりと此方へ向ける。すると、その人は驚いたように口をパクパクとさせた。

 

「やっぱり! 華扇じゃん! 久しぶりだね!」

「ああ……その……えっと……」

 

 良く見てみれば、昔の知り合いとまったく同じ顔をした人物がいた。

 

「あ、あの……人違いでは……?」

「ええ? いや、そんなことはないと思うけど」

 

 何故か焦ったように指摘された。

 幾ら私だって、流石に人を間違えるようなことはしないと思うけど。

 

「なんだよ。お前、華仙と知り合いか?」

「あ、やっぱり華扇だよね」

「ああちょっと魔理沙! 余計なことを言わないで頂戴……」

 

 華扇が私を見てから随分と慌てているけど、何かあったのだろうか?

 変なことでもしちゃったかなぁ。

 

「あのさ、勇儀は元気? 萃香は偶に会うようになったんだけどさ、勇儀はまだ地底に――むぐっ!?」 

 

 突然、華扇に口を塞がれた。ちょっ、いきなり何をするか。

 息が……息が……!

 

「ちょ、ちょっと此方に来なさい。――霊夢、向こうで千九咲とお話してくるわ」

「? 別に此処で話してても構わないけど」

「い、いや、久しぶりに会ったからね……あはは」

 

 口を両手で押さえられたまま、私は霊夢たちから離れたところに移動させられた。残念なことに、華扇の力が強すぎて全然逃げられない。

 一体どうしたって言うのだろうか?

 

 

 

 

――――――

 

 

「なに? 何で私は連れてこられたの?」 

「はぁ……あ、焦った。寿命が十年は縮まったような……」

 

 華扇にとっては、別に十年くらい大したことはないような気もするけれど。

 

「あ、あのね。私は今は修行中の仙人だから、昔の話をされるとちょっと困るって言うか、なんと言うか……」

 

 ――まあ、つまり、すっごく困るのよ。

 

 話を聞くに、昔の話をされるとどうやら華扇は困ってしまうらしい。

 華扇って今、仙人なの? 

 なんでまた、そんな面倒くさいようなことをしているのか。理由も分からないし。

 

「う~んと、私は昔のことを話さないようにして、華扇を仙人だと思って接すれば良いってこと?」 

「そ、そう! そう言うことよ」

 

 ぱあっと顔が明るくなる華扇。

 何の為にやっているのかは分からないけれど、此処は乗ってあげることにしましょうか。

 

 

 

 

 な~んて。

 

「そう言うことなら……はい」

「……何かしら? その手」

 

 華扇の前に手を出した。

 

「いや、私が昔のことを黙っているメリットがないし……まあ、口止め料だよね」

 

 私には、ただで動いてやる道理がないのだ。依頼にはそれ相応の対価ってものがあってだね? グヘヘ。

 

「ええっ!? そ、そんなこと言われても……」

 

 うぅん。案の定戸惑ってるな。 

 

「ええと、う~んと、何かあったかしら…………あ、そうだ! 今度お酒をご馳走するわ。最高級品の」 

 

 ふむ。お酒か……悪くない。丁度在庫を切らしていたところだし。

 よ~し、それで手を打とうじゃないか。

 ふっふふ、お酒お酒~。楽しみだなぁ。

 

「取引成立だね!」

「一体何時から取引になったのかしら……」

 

 まあまあ、そう頭を抱えないでよ。

 

 取れるところからとことん取るのが私のやり方なんだ。因みに今決めた。

 その取れるところって言うのが、今のところ華扇しか見当たらないけどね。他の奴等は頭が働きすぎだよ。なんだアレ。

 華扇くらいに真面目すぎても駄目だと言うことが良くわかるね。これでもし紫とかが相手だったら、あっさり流されていたんだろうなぁ。

 

「じゃあ、霊夢たちのところに戻ろっか」

「……ええ」

 

 意気揚々と戻る私と、肩を落として着いてくる華扇。実はこれ、昔っからの図だったりもする。華扇は良いカモだよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、戻ってきた」

「一体何を話していたんだ? わざわざ私たちから離れて」

 

 戻ってみれば、当然、二人から疑いの視線を向けられる訳で。

 

「いや、何でもないのよ? ちょっと約束をしていただけで。ねぇ?」

 

 かなり鋭い視線を向けられる。『余計なこと言ったら殺す』みたいな。

 そ、そんなに睨まなくても良いじゃないですか。

 

「うん、そうそう」

 

 取り敢えず、華扇がホッと一息下ろすのが視界の端で見えた。

 ど、どれだけ信用されてないんだ私。

 約束くらいしっかり守るし。

 

「ふぅん?」

「……約束?」

 

 ……まだ少し疑いを向けられたままだけど、其処は華扇が強引に話を逸らすことで誤魔化した。

 何だってこんなことしてるんだろうね。華扇は。

 わざわざ仙人だなんて言ってさ。絶対、何時かはボロが出るものだと思うけれど。

 いやでも案外、ホントに仙人だったりしてね。修行中って言ってたし、今度、どんなことをしているのかは聞いてみようか。

 

「そう言えば、最近新しい団子屋さんが出来たらしいわ。折角だからみんなで行ってみましょうよ!」

「おいおいまた団子かよ? 昨日も聞いた気がするぜ」

「あんた、ホントに甘いもの好きね。絶対太るわよ」

「だ、大丈夫よ。それくらい」

 

 賑やかに話続ける三人。

 結構、仲良くやれているものなんだね。

 

 

 なんて考えていたとき、ふと、何かの気配を感じた。

 同時に、鼻をくすぐるのはお酒の香り。

 

 こんな昼間からお酒かい。相変わらずみたいだ。

 

「――どう? なんか、面白いことしてるでしょ?」

 

 声が聞こえた。

 三人は未だにおしゃべりをしているし、聞こえているのは私だけみたい。

 声の主は分かるし、多分、薄くなってるんだろうなぁ。便利そうな能力だ。

 

「急に話しかけないでよ。ビックリした」

「おっと、そいつは悪かったねぇ」

 

 絶対そんなこと思っちゃいない。鬼は嘘が嫌いなんじゃなかったっけ? こいつを見ていると段々心配になってくる。

 

「いやいや、これは嘘じゃないよ。少なからずは思ってるさ」

 

 あっそ。まあ、良いや。この話は。……嘘の定義って曖昧だよね。

 さてさて。そんなことは置いといて。

 

「華扇、仙人らしいけど、別に君たちとも仲良くしてるんでしょ?」

「まあ……そう、かなぁ?」

 

 いや、疑問符に疑問符で返さないでよ。

 え、もう仲良くしてないの? 喧嘩でもしたのかな。

 

「私とも会ってはくれるんだけどねぇ。何故か彼奴等(あいつら)の前で会うと、途端に嫌そうな顔をするのさ」

 

 多分、彼奴等とは今、華扇と話している人間たちのことを言うんだろう。嫌そうな顔をするのは、こいつが余計なことを言わないか心配してるんだろうなぁ。

 

「私たちって、信用されてないね」

「ホントにねぇ」

 

 ケラケラと、笑いながらこいつは言う。

 

 もしかしたら、日頃の行いの悪さとかかな。確かにこいつは悪いだろうけど、私はそんなに悪いことしてないし、違うか。違うな。

 

「もしかしたら頭の出来が原因かもしれないよ。ああでも、馬鹿なのはあんただけだしなぁ」

「ハッ倒すぞ」

 

 誰が馬鹿だ。誰が!

 言っとくけど、君も私と大差ないと思うぞ。

 

「まあ、とにかく。邪魔はしないであげなよ。何か悪巧みでもしているのかもしれないしねぇ」

「はいはい」

 

 華扇がそんな姑息な手を使うのかは、疑問が残るところだけど。

 

「じゃあ、私は此処等(ここら)でおさらばするよ」

「ん、じゃあね。今度はそのお酒呑ませてよ」

 

 ――随分と前に、これ呑んでぶっ倒れたでしょ。

 

 そんな言葉を残しながら、萃香の気配は消えていった。

 結局、何しに来たんだろうね。

 

「おい。これから人里に行くんだけど、お前も一緒に来るか? 団子を食べに行くぜ」

「華仙が奢ってくれるらしいわよ」

「……今日だけですよ」

 

 私が萃香と話しているうちにそんなことになっていたらしい。

 

 むっ、華扇の奢り。となれば、

 

「もちろん行くよ」

 

 当然だよね。

 

 

 

 

――――――

 

 

「あ、貴方達! 幾らなんでもこれは食べ過ぎでしょう!」

 

「ふぅ、食べた食べた」

「いやー、人の奢りで食うもんは美味いぜ」

「ごちになりまーす」

 

 お団子、美味しかったです。

 




 本当に中身がないし、千九咲がゲスかったお話ですが、華扇ちゃんを書きたかっただけだからね。仕方がないね。

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