この世すべてに愛を   作:紫藤 霞

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「ラファです。すみません、兄が」

「気にしない気にしない、悪いのはお前さんじゃないしな」

「まぁ、大公はどうにかしないといけないがな」

 

 ラムザと二人きりにした後兄マラークから指名された二人。

 さて、如何したものかと思うが、実際のところ逃げる、と言う手段は取れるわけも無いので

 

「まぁ、叩き潰すのみだな」

「でも実際如何する?攻城戦と成ると人数が明らかに足りないぞラムザ」

 

 ずっと黙って何かを考えているラムザ。

 そのラムザに声をかける

 

「うん、多分それは問題ないと思うんだ」

「ふむ、なら何を悩んでいるラムザ」

 

 はて、何を考えているの後シーラは問いかける。

 ラムザは少しだけ考えてから

 その口やはり閉ざした

 

「言い難いことか?」

「うん、ちょっとだけ、ね」

 

 何を考えているのかはわからないが、悩んでいる事は判る。

 ならばやる事は一つだとばかりにシーラは近づいてアグリアスとアリスにごにょごにょと耳元で囁いて

 

「あの、その、あ、アグリアスさん?アリスさん?」

 

 ダブルアタックを決めさせるシーラ

 その光景を見てため息をつくエバンズ。

 これは止めなければいけない流れかと思い声を掛けようとしたがふと視線を感じる。

 その視線の先にはシンシアとクラウディアが居た。

 シンシアはその輪に入りたそうにしており

 クラウディアは顔を赤くしてちらっちらっとラムザの方を見て羨ましそうにしていた。

 詰まる所、2人共羨ましいのであろう。

 ラムザの左右はアグリアスとアリスで埋まっている。

 ならば

 

「シンシア、クラウディア、お前達も甘えて来い」

「良いんでしょうか?」

「な、何で私が」

「ラムザの前後があいているから問題は無いだろう。後、クラウディアはもう少し視線を隠す努力をしような」

 

 そういってエバンズもまたシーラ同様にシンシアとクラウディアをラムザの前後に配置した

 シーラはそれを見てエバンズも中々やるよのぉ、と言いうっせぇと返答する。

 それをされて困るのはやはりラムザであって

 

「あの、その、こ、これはどういう」

「悩んで答えが出ないときはこれが一番!さぁラムザ、ハーレムに甘えたまへ!」

「待って、待って、何そのハーレムって」

 

 だが、ラムザの言葉はかき消されアグリアスやアリス、シンシアが積極的に甘え始めクラウディアがちょこんと甘える。

 流石のラムザも女の扱いに離れていないのでその中に埋もれていく。

 その様子を見てラファは本当に大丈夫なのだろうかとちょっと心配になって行く。

 

「安心しろ、ラファ嬢、あれで戦闘になれば凄まじい強さなのは知っているだろう?」

「そうそう、ラムザなんかものすごい強いんだぞ~」

 

 そう言われても、目の前では女性に囲まれて困っている様子の青年の姿しか見えない。

 本当に、これで大丈夫なのだろうか?

 

「大丈夫大丈夫、其の為の私たちでもあるんだからな」

「援護なら任せろ」

 

 明らかに、安心できない要因なのだが本当に大丈夫なのか?

 それを心配するラファに

 

「次の戦闘、楽しみにしていろ。面白いものが見れるぞ」

 

 そういったシーラであった。

 

 そして、本当に凄まじいものを見せ付けられるラファ。

 本来指揮官というのは後方に立ち全体を見渡して指示を出すものなのだが、ラムザは前衛にたち、そのまま指示を出しているのであった。

 

「凄いですね」

「いったろ、ラムザは凄いとな」

 

 ユーグォの森。

 此処は多くの死した霊の集まる場所でもある。

 そんな中、エバンズとシンシアの2人は次々とモンスターや死人たちを石化していく。

 さらにラムザたち前衛も敵が動けないように行動をしていく。

 ラムザの強さの片鱗を知ったラファ。

 これならばいけるかもしれない。

 そう、ラファが思うほどの強さが、其処にはあった


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