この世すべてに愛を   作:紫藤 霞

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 アラグアイの森に到着した二人。

 馬車を借りて、其の中でもしっかりとシーラの怪我を治しておくのを忘れていなかったエバンズ

 森の中をうろうろとしているとまず見つかるのは当然

 

「魔物だわな」

「そりゃ此処戦闘区画だからな。行くぞ」

「応ともさ」

 

 前衛二人、と言ってもエバンズは何気に後衛だったりするが、の戦闘が始まる

 先に動くのは当然射程の長いエバンズ

 狙いを付けこちらに寄ってくるボムを狙い打つ。

 接近を許せば最後自爆されかねないからだ。

 其の思惑道理かどうかは知らないが其の一撃で仮死状態に迄持っていく

 

「相変わらずな威力な事で」

「装填に時間が掛かる事以外は文句ない一品だと思うぞ?そして行って来い。ラムザが居ないから指揮なんぞ出来ん」

「こう言う時やっぱりラムザの偉大さを思い知るよなぁ。兎に角馬車に近づけないようにするから馬車守るように」

「確約は出来んが、な!」

 

 再装填が終わりさらにゴブリンに向かって発砲。

 これまた命中して仮死状態になる。

 この調子で行けば問題は無いが

 

「ちっシーラ!左から足の速いのが2つ!」

「任せろ!」

 

 両方の気試験を抜刀。

 利き腕に持つエクスカリバーの聖なる力によりヘイスト効果を得るシーラ

 即座に向かってくるレッドパンサー系バンパイアとレッドパンサーの2対に切りかかっていく

 

「まず、一つ!」

 

 すれ違いざまにエクスカリバーを横薙ぎにしてレッドパンサーの切捨て

 レッドパンサーは悲鳴もあげる暇も無くその場で倒れ仮死状態へと移行

 

「んでもって、二つ!」

 

 返す刀でディフェンダーでバンパイアに斬りかかる。

 だが、ひらりと攻撃をかわされてしまう。

 流石はレッドパンサー系最高位、通常モンスターとでは比較にならない強さが其処にはあった

 

「って言うか何で居るんだよバンパイア!其処動くなよ!大気満たす力震え、我が腕をして閃光とならん!」

 

 詠唱を唱えながら距離をとるバンパイアにエクスカリバーを向け

 距離など関係が無いとばかりに思い切り突き放つ!

 

「無双稲妻突き!」

 

 大地からは剣気が、天空より稲妻が走りバンパイアを倒していく。

 仮死状態になったのを確認してからすぐ周りを見渡せば足の速いのはもう居ない。

 今、空を飛んでいたキュベレーを落としたのが最後の一匹。

 後は足の遅いゴブリンだけ

 

「とは言えブラックゴブリンもか、怪我治ったばっかりなんだがなぁ」

 

 はぁ、とため息を一つ零しながらゴブリンとブラックゴブリンの群れに突撃していく。

 一つ、二つと斬り進めてもどうしても隙が出来てしまいタックルや回転パンチを受けてしまう。

 タックルはまだいい、タイミングさえ合えば交わせる。

 だがゴブリンから進化したブラックゴブリンの回転パンチが問題であった。

 あれが交わせない。

 だからこそ先にブラックゴブリンを叩く事を決めたシーラはそのままエクスカリバーでタックルを受け、反対のディフェンダーで反撃を行う

 戦闘は、終始シーラ達の側に傾いていた

 

 

 

「あぁぁ~~。う~ご~け~な~い~」

「はいはい、お疲れ様。ポーション飲んどけよ」

「身体動かしたくない。飲ませろ~」

「はいはいっとに、年頃の娘さんがはしたない」

 

 無事に守りきった馬車の中で思い切りだらけて横になるシーラ

 今回の数は何時もなら普通以下、雑魚的扱いなのだけれども2人だとやはり勝手がまるで違った。

 ともすれば、魔法使い二人でどうやって戦っているのかが気になる

 どちらかが前衛役をやっているのだろうか?

 

「基本的にエバンズみたいに後ろに居る事が多いはずなんだけどなぁ。前に出ても良い事あんまり無いし」

「ま、其の辺りは直接あってみてだな。」

 

 ふと辺りを見て違和感を覚える。

 先ほど戦ったモンスターに上位種が居た事。

 さらにゴブリンの数が妙に多かったことだ。

 そして今目の前の森の中をゴブリンが走り去って言った。

 本来そういうことはありえない。

 自分達よりも別の戦闘を優先しなければいけない戦いがなければ

 

 

「居たみたいだな。しかも戦闘らしいぞ」

 

 それを聞いてがばりと起き上がるシーラ

 先ほどまでだらけていたのが嘘の様に飛び起きる。

 すでに臨戦態勢、と言った所だ。

 

「状況は分かるか?」

「判断できるのはラムザ位だ。だが」

 

 空を見上げれば空を見上げれば綺麗な青空が見える。

 それをさえぎる厄介な敵は居ないと言うのは見て取れる

 

「しいて言えばキュベレー系は居ないと言う事位だな」

「チョコボ急がせて、加勢できるなら加勢するぞ」

「ん、任せろ」

 

 エバンズは返事をすると馬車の動きが早くなり戦闘音が聞こえてくる。

 氷魔法の炸裂する音が多い

 と言う事は

 

「ゴブリンの集団に出会ったか?」

「それもそれで厄介だな。さっき戦った奴等が偵察隊だとしたら」

「本体の可能性が出てくるわけか。このアラグアイの森ってこんなに荒れてたっけ?」

「情報が無い。って事はつまり」

 

「「此処に来た奴が全く居なかったか、来た奴ら全員が全滅しているかのどっちか」」

 

 情報が無いとはそう言う事である。

 ならば可能性が高いのは

 

「後者!エバンズ馬車を切り離せチョコボだけで行くぞ!」

「あいよ、馬車が帰りまで壊れてない事を祈るとするか!」

 

 二人は馬車を引っ張っていたチョコボに飛び乗りそのまま馬車を引っ張っていた部分を断ち切る。

 軽くなったチョコボは先ほどよりも速いスピードで戦闘音のする場所に向かっていく

 徐々に音が近づいていくうちにゴブリンがちらほらと散見し始めていく

 

「おいおい冗談過ぎるぞ、これだとこの辺りいったいのモンスター集まってくるぞ!」

「撤退戦になる、先に潰せるのは潰す。チョコボの操縦を頼む」

「任された。外れても良いから兎に角撃ちまくれ!」

 

 フォーマルハウトをしっかりと構え、森から出たと同時に乱射とも言えるほどの速度で打ち始める。

 しかしそれが全てゴブリンに命中しているのだから其の技量は計り知れない

 数匹は殺す事が出来たが其の十倍の数のゴブリンの手や足を吹き飛ばしてみせるエバンズ。

 早々簡単に再生など出来ないゴブリンはキーキーと声を上げるだけでこちらを追いかけようともしない。

 

 そのまま駆け抜け戦闘の中心部に漸くたどり着いた二人

 いくつもの宝箱やクリスタル、そして其の倍以上の仮死状態のモンスター達

 そして、それ以上に多くのゴブリンと退治しているのが件二人の魔道士なのであろう

 

「エバンズ!」

「応!」

 

 黒魔法使いは既に精神力を使い果たしているのであろう、肩で息をして必死に逃げている。

 白魔道士が盾になっているがそもそも体力が前衛職とは違うためこちらも必死に戦いながら逃げていた。

 其処にいくつもの銃撃音とともに現れるは

 

「騎兵隊の登場じゃぁ~!」

「ぇ、ぇ?」

「な、何!?味方!?」

 

 チョコボを下りてそのままエクスカリバーとディフェンダーを手に取る。

 それだけで彼女の時間は、他とは一線を画す

 ヘイスト状態になり一気に敵陣営に飛び込めば

 

「不動無明剣!」

 

 簡易詠唱と共に放たれる聖剣技。

 そして二人のそばにはエバンズが近寄る

 

「援軍、と思ってもらって構わん。クリスタルはいくつもそこ等辺にあるが、どうする?」

「逃げるわ。私とクラウディアはもう限界なの」

「了解。チョコボに乗れ、途中に馬車置いてきたからそれに乗って一気に逃げるぞ」

「御免なさい、乗った事無いわ、あなたも騎士なの?」

「一応はな。詳しい説明は後だ、二人ともチョコボには乗れないのか?」

 

 其の言葉に首を縦に振る二人

 確かにチョコボに乗る機会なんて早々あるものではない。

 騎士や盗賊なんかはチョコボを多用するが、一般的にチョコボなんてものは一般人が乗るようなものではない

 

「撤退戦、この数相手にするにゃぁ、ちと厳しいぞ」

「それなら私達の事を見捨てても」

「馬鹿を言うな、何のために二人のお嬢様を探しに来たと思ってるんだって事だ」

「詳しくは後で聞くわ。指揮、任せても?」

 

 エバンズは考える。

 正直ラムザのようにうまく指揮をすることが出来るなどかけらも思っていないからだ。

 こう言う時、ヒーローは遅れてやってくるものなんだがな、と言葉を漏らすと

 

「それなら、勝手に二人で行かないで欲しかった、かな?」

「なぬ?」

 

 すぐ背後には、チョコボに乗ったラムザたち三人の姿があった




毎回今回くらいかければなぁ

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