この世すべてに愛を   作:紫藤 霞

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 結論から言えば、やはりアルマは居なかったのであった。

 

「ごめん、エバンズ、もっとボクがしっかりしていたら」

「気にするな。ルカヴィ所か死んだ筈の奴まで出てきたんだしょうがない」

 

 そう言って、頭を撫でるエバンズ

 

 結論から言えばアルマは居なかった。

 アルマが居る、と言うのは唯の嘘でありラムザを呼び寄せる為の罠であった。

 さらにティータ同様に死んだ筈のアルガスまで出てきてかなりの苦戦を強いられたラムザ達。

 メリアドールと言う剛剣使いの彼女が来なければかなり危うかった。

 敵はゾンビナイトにアルテマデーモン、その上デスナイトとなったアルガスまでもがいた。

 無論、エルムドアはルガヴィであり、彼がルガヴィへと変身したのであった

 ランベリー城での戦いは熾烈を極めるも、何とか倒しきったラムザたち。

 

 そんな訳で、アルマが居なかった事を信じ切れなかったエバンズに謝るラムザであった。

 最もエバンズはそんな事気にもしていないが

 

「んで、ラムザ次は如何する?」

「メリアドールさんが言っていたんだ、ダイスダーク兄さんにも聖石を渡したって」

 

 とすると次はイグーロス城かぁ、と呟くシーラ

 今回の件でヴォルマルフが独断で行っていることを知った為メリアドールには神殿騎士団を抜ける事にしたそうだ。

 イグーロス城はこのランベリー城と対極にある城。

 急ぐ必要は無いにしろ、そうそう時間もかけられないラムザ一行はチョコボ馬車に乗って一路イグーロス城を目指すのであった

 

 

 

 

 

 その頃、南天騎士団のとある城で一つの出来事があった。

 それは、ディリータの運命を変える出来事である

 オーランが独房から脱出し、女王となったオヴェリアに全てを打ち明けようとしていた。

 だが、南天騎士団に運悪く見つかってしまい深手を負ってしまう。

 それでもオーランは如何にかオヴェリアの元へとやってきた。

 オヴェリアの部屋にはオヴェリア以外にティータもその場に居た。

 自分の父であるオルランドゥ伯が暗殺をしていない事を打ち明け、真実を言おうとした時南天騎士団がオヴェリアの部屋に突入してきたのであった。

 もはやこれまで、と思っていたオーランであったがなんとそのオーランの始末をしようとしたのを止めたのは誰でもないディリータであった。

 そしてオヴェリアに部屋を出るように促すディリータ。

 だが

 

「兄さん、教えて。兄さんが知っている全てを」

 

 決意を胸に秘めたティータの言葉

 

「ふむ、其れはわしも聞きたいところだのぉ」

 

 オルランドゥ自ら其処にやってきたのである。

 ティータの護衛として名を変えていたオルランドゥであったが全てを知る権利がオヴェリアにはあると主張

 ディリータは反論するがそのままオーランは全てを語る。

 ラムザ達がルガヴィと戦っている事。

 父オルランドゥが罪をかぶせられた事

 そして今直ラムザ達がルガヴィと戦っている事

 

 彼の知る全てを話し終えたとき、オヴェリアは信じられないと言う表情をしていてた

 自分の境遇だけで全てであったオヴェリアはそんな真実があるとは故にも思っていなかったのだから。

 そしてその言葉を聞いたディリータはため息を零すとオーランの言葉が真実であるとオヴェリアに伝える。

 

「さぁ殺せ、言いたい事はすべて言った」

「オルランドゥ伯の居る前で殺すわけが無いだろう?お前は俺に仕えるんだよ」

 

 最初こそ笑って損なのはごめんだと言っていたオーランだったがディリータの本気の表情を見てその考えを変える

 

「本気なの、か?」

「俺は北天騎士団を倒す。倒して畏国を平定する。そしてオヴェリアの国を作るんだ。今は教皇の犬だが勿論教皇も倒す。オヴェリアの為にな」

 

 血なまぐさい話が続く。

 オヴェリアの為、祖の為にならなんだってすると言うディリータ

 

 そして運命の言葉

 

「祖の為に、お前は全てを利用する?」

 

 オーランのその言葉

 これが本来であればオヴェリアに間違った伝わり方をしただろう。

 打が此処には本来居るはずの無い人間がいる

 

「兄さん、それでは兄さんの国を作る為にオヴェリア様を利用するだけではないですか!」

 

 ティータがディリータの言葉に異議を申し立てる。

 オヴェリアが真っ青な顔で、それでも自分に見方がいる事に安堵してディリータを睨み付ける

 

「違う!俺の国ではない、オヴェリアのだ!祖の為ならば何でも利用するというだけの事。おれ自身さえも利用して、オヴェリアの為に国を作る。それが俺が王になった理由だ!」

 

 ディリータは心の其処からそう叫んだ。

 オヴェリアの物

 祖の為にならば自分自身さえ利用すると言った事。

 本来なら間違って伝わった筈の言葉は、此処に正しく伝わるのであった

 ティータはさらに兄にとかける

 

「なら、オヴェリア様の為に兄さんの命も?」

「当然だ、オヴェリアのためならばこの命さえいらん」

 

 どれだけオヴェリアを好いているのか、そして祖の為にどれだけのものを捨てることが出来るのかを語るディリータ。

 

「それは、私だからですか?偽者のオヴェリアだから利用としているのではないのですか?」

 

 ディリータの言葉に質問を投げかける

 当然だとディリータに返事をされてオヴェリアの体から力が抜ける

 自分は、本当にディリータを信用して良いのだと

 自分が、本当に信用できる人間を、目の前にしているのだと

 

 此処が、ディリータの運命を変えることになるとはディリータ自身夢にも思っていなかった。

 之以降オヴェリアは献身的にディリータの行動に必要な事をするようになりディリータ自身も様々な事がうまくいくようになっていった。

 ティータの一言。

 それがディリータの運命を変えたのであった 


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