「あ~、まだ頭がんがんする~。クラウディア~」
「そんな事言っても解毒はちゃんと出来てるわよ。後は気合よ気合」
べスラ要塞へと進む途中、ベッド砂漠にて神霊騎士団に遭遇。
毒を散布し北天騎士団の身動きを取れなくしようとしていた。
その指揮を執っていたバルクを倒したは良い物の、バルクたちが使った毒が未だに辺りに蔓延しており中々先に進めないのであった。
「まさかこんなところで足止めをされるとは」
「しょうがないよ。でも」
兄さん達は無事、かな。
ラムザの言葉を聞いたエバンズは何もいえない。
既に、ベオルブ家から勘当されているにも等しい状態なのに兄達の身を案じるラムザ。
それがラムザらしいと言えばラムザらしいのだが
「進軍はいったん中断だな。べスラ要塞も北と南、どっちから攻めるか考えないといけないからな」
エバンズが場をまとめる。
べスラ要塞
三方を切り立った崖に囲まれた天然の要塞。五十年戦争では最前線基地として使われた場所である。
其処を攻略するのだから並大抵の事ではない。
無論、オルランドゥ伯が素直にあってくれるのであれば問題は無いのだが
「うん、やっぱり嫌な予感がする。」
「ラムザのそういった勘は当たるからなぁ。戦闘になるんだろうな」
シーラがそう言うと各々は装備の確認を行う。
この中で一番の火力持ちはシーラ。
ついでアリス、ラムザ、アグリアスと続いていく。
前衛部隊でラムザがこの位置に居る事事態異常ではあるが実際一番敵を倒しているのでこの位置であったりする。
もっとも、一撃で倒す事に関してのみ言えばシーラとアリスが突出しているが
そんな訳でシーラとエバンズは本当にラムザが死ぬんじゃないかと毎回はらはら見ている訳である。
「ラムザの特攻癖は未だに直らんな」
「どうにかしたい物なんだけどなぁ~」
シーラとエバンズの悩みは続く。
最も、ラムザに何もしていないと言う事はなく今日は全員毒にやられたという事もありテントを造って此処にとまる事に。
やる事といえば後は残りは見張りだけ
と言う事でラムザのテントにアグリアス、アリス、シンシア、クラウディアの四人が集まっているわけだが
「本当にあれで良いのか最近悩むな」
「問題ない、女は偉大なのだ」
無い胸をえっへんと張るシーラ
まぁ、女性のシーラが言うならと思いながら
「で、メンバーはこれで全員と言う事でいいのか?」
「あとはなぁ、臨機応変に1人2人くらいなら味方にしてもいいと思っているけどそれ以上だとラムザが解散させちゃうからなぁ」
地味に問題は其処である。
ラムザは数が多くなるとルカヴィの被害を食い止めようと動く為人数をそれほど多く出来ない。
今だってルカヴィとやる前と比べても半分程度しか居ないのだから問題と言えば問題である。
「まぁ、しょうがないと言えばしょうがないだろう」
「そういうものならしょうがないな。 んで、べスラ要塞は如何見る?」
「突破できなくは無いだろう。が、出来れば戦いたくは無いところなんだよなぁ」
あの50年戦争の時の要所の一つである。
其処を攻めるのにはやはり二の足を踏んでしまう
「攻めるなら北から正面突破か南から裏門突破かの違いになるか?」
それを聞いてから一泊置いてエバンズは今の言葉に対して質問を述べる
「北って正面か?」
「正面、だと思うんだけどなぁ~」
実の所構造が良くわかっていないのでどっちを通るにせよ敵との邂逅は免れないと思っている。
さてさて、どうしたものかと考える
「まぁ、ラムザがどうにかしてくれるだろうて。今までもそうだったように、今回もどうにかなるだろう」
「そんな楽観的で良いのやら」
ため息を一つ零すエバンズに問題ない、と答えるシーラ
実際、シーラも戦闘は裂けて通れない道だと思っている所なので問題は無い
無いのは無いのだが
「ラムザの嫌な予感って、何だと思う?」
「神殿騎士団がいるか、ルカヴィが出張ってくるか、と言う御話か?」
「かも知れん。先のバルクも毒ばら撒いていたからなぁ」
「とは言え、神殿騎士全員がルカヴィに変身するわけじゃないのがわかっただけでも儲け物、ではあるがな」
先の戦闘で毒をまいた張本人はルカヴィにならなかった。
適性が無いのかそれとも聖石が無いのか
「出来る事なら、聖石が無いほうが良いんだけどなぁ~」
「確実に持っているのが2人、エルムドアと神殿騎士団の親分」
それだけでも面倒だな、とはシーラの言葉。
つい先日ウィーグラフ相手に殆どこっちが壊滅的な打撃を受けたばかりだからだ。
このままでは勝てないかも知れない。
そう考えてしまうのもしょうがない。
最もエバンズの考えは少々違うようでは在るが
「それもあるが、敵が何でアルマ嬢を浚ったのかって問題もあるぞ?」
「ん?ベオルブ家の人間だからじゃないのか?」
それ以外に何の理由が要る?と問いかければ必要ないだろうとの答え
「必要ない?」
「ティータって前例を思い出してみろ。言い方は悪いがラムザの兄、特にダイスダークとか言う長兄は自分の妹でも見捨てるぞきっと」
「まさか、血を分けた妹だぞ?」
「少ししか見た事無いが、あれは権力にとらわれている部類の人間だ。切り捨てて上に上がれるなら切り捨てていくぞ、たとえ友でも何かあったら殺すぞ」
その言葉を聞いて黙るシーラ。
確かに、ダイスダーク長兄であればそれをやりかねないと思う節があるからである。
「ラムザには言えんなぁ」
「言えないな。そしてテントが静かになったんだがそろそろ終わったころなのだろうか?」
「四人相手にしても普通に出てきそうなんだけど」
「いや、まさか」
でもラムザだしなぁ、なんて言っているとひょっこりとラムザがテントから外に出て川に向かうのが見えた
「ラムザ、そっちの方面でもすげぇのか」
「俺は何も言わん」
驚愕するシーラとエバンズをよそにテントの中の人の身体を拭くのであろう布を濡らして戻ってきたラムザ。
やはり、四人相手をしてなおそんな気遣いが出来る事に驚愕を隠せない二人であった。
それはそれとして
「全員がかりだと緊急事態に対応できないから辞めろといった記憶があるんだが?」
「ギブ!ギブギブ!頭痛いぃいぃいいい?!」
今日も今日とてエバンズのアイアンクローがシーラに繰り出されるのであった。