この世すべてに愛を   作:紫藤 霞

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「待て待て待て!ラムザ、如何にも怪しいだろうが!」

 

 ティータを連れて行くことに反対のエバンズとシーラ

 珍しく2人がラムザの行動に反対の意思を示している

 

「でも、ティータは間違いなく、僕達の知っているティータだよ?」

「確かにそうだが、もう一年以上前の話だぞ?アレイズでさえ復活できないぞ」

 

 アレイズで復活できる傷はクリスタルや宝箱へと変化する前まで

 それ以降になってしまうといかに熟練の魔法使いでも治すことはできない。

 するとティータがとあるものを取り出した

 

「あの、近くにこれがあったのですが何か関係あるのでしょうか?」

「「聖石?!」」

 

 ティータが取り出したそれ。

 それは聖石であった。

 だが、こんな辺鄙な場所にあったとしてもここまで相当な距離がある。

 どうやって復活したと言うのか

 謎は深まるばかりである

 

「信じていいと思うか?」

「僕は信じたい」

 

 シーラの問いに正面から受け止めるラムザ。

 はぁ、とため息をついてから

 

「なら、しょうがないか。ゼルテニア城に行くぞ。ディリータが其処にいる筈だ」

「兄さんが?」

「城に着くまでに説明しとくか」

 

 それからティータには様々な事を話した

 今ディリータが教会、神霊騎士団にいる事

 ゾエィアックブレイブの伝説が間違っていた事

 聖石の使い方の事

 自分達の事

 

 全てを話し終えてからティータは静かに、泣いた

 

「兄は、私の死をきっかけに変わってしまったんですね」

「変わって無いよ」

「ラムザ?」

「ディリータは、変わって無いよ」

 

 遠くを見つめながらそうつぶやくラムザ

 いったい何を思い、何を見ているのか

 それは此処に居る誰にもわからなかった

 

 

 そしてゼルテニア城郊外の教会にてザルモゥを倒してから

 

「てぃ、てぃー、た?」

「はい、にいさん」

「ティータ!」

 

 ぎゅう、と強くティータを抱きしめるディリータ。

 たった一人の肉親

 あの時、死んだと思っていたはずのティータが生きていたのだ

 どれほど嬉しい事か計り知れない

 だが、何故生きているのか、それと問うたディリータ

 

 

「だ、だがお前なあの時……!」

「これが、守ってくれたようなんです」

「聖石!やはり妹はあの時に」

「信じてください、兄さん」

「ディリータかも~ん」

「な、ちょ、ちょっと待て!?」

 

 

 ラムザ、シーラ、エバンズの三人がディリータを引っ張る

 流石のディリータの体格でも騎士2人にラムザでは抵抗も出来ない

 

 と言う事でかくかくしかじか

 

「聖石で生き返る、だと?ルガヴィに成るだけではないのか」

「どうもそうらしい。つまり神殿騎士団にはこの情報は無いということか」

「あぁ、無いな。それは良い事を聞いた感謝しよう……で、何故ティータが?あの時ティータは間違いなく俺が埋葬した筈なんだが」

「そのことだか何処に埋葬した?あの爆発でお前も死んだと思ったらティータに助けられたと聞く。それなら埋葬するのはジークデン砦の近辺だと踏んでいたんだが」

 

 そのことでディリータは一度口を閉ざす。

 ラムザたちは次の事はを待ちながら考えを頭に浮かべる。

 多分、ジークデン砦で間違いは無いず。

 ならば何故、ジークデン砦の思い切り東、孤島になっているネルベスカ神殿にいたのか?

 

「すまないが何処に埋葬したかはいえない。だが、ネルベスカ神殿ではない事は確かだ」

「それだけ判れば十分だ。最後にネルベスカ神殿に行ったのは何時だ?」

「あそこは基本何も無いからな昨日行ったのが最後だ」

「ねぇ、ディリータ」

 

 其処まで沈黙を保っていたラムザが口を開く。

 

「やっぱり、嬉しいんだね」

「っラムザ、俺はな」

「判るよ、だって僕はディリータの親友なんだもの」

「くっ……そうだ、嬉しいよ、ティータか戻ってきて」

 

 其処にはシーラ、エバンズの知らない、ラムザの顔があった。

 

 と言う訳で

 

「ティータは無事にディリータに預ける事が出来ました」

「んが、もんだいもはっせいしました、と」

 

 北天騎士団と南天騎士団の正面からの衝突が近い事をディリータから教えてもらった。

 如何するか考えた結果

 

「オルランドゥ伯に合いに行こう。あの人なら、止められる。」

「会いに行こうといって会える人か?下手したらべスラ要塞の一部を突破せにゃならんぞ」

「皆と一緒なら、大丈夫」

 

 そういうラムザは少しだけ何時もと違って見えた。

 そんな感じでべスラ要塞、オルランドゥ伯に会いに行く事になったのであった

 

 


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