この世すべてに愛を   作:紫藤 霞

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 ドグーラ峠にて南天騎士団と出会い交戦となった。

 だが、唯でさえ反則的な強さを誇る此方のメンバーが正規軍とは言え一般の南天騎士団に敵う筈も無くあっけなく勝利。

 そのまま自治都市ベルベニアへと脚を進めるのであった

 

 その間にもシンシア、クラウディアと相談

 

「難しい、と言えば難しいのよ。使える事は使えるわよ、暗黒。でも実践運用できるかって聞かれると」

「そう、ですね、元々魔道士として知識を蓄えてきた身としては中々難しいものがあります。」

「私はまだましよ。陰陽術の魔吸唱があるから時間さえあれば回復は出来無いことも無いわね。でも」

「私にはそういった類の術がありませんので」

 

 回復魔法のクラウディアに魔力回復方法があるのは運が良かった。

 問題は攻撃魔法担当のシンシアだ。

 暗黒をつけないのを如何するべきか

 

「ラムザ~、何かいい案無いか~?」

「僕に言われてもあぁ。暗黒がまともに付かないならアイテムに頼るしか無いんじゃないかな?」

「やっぱりそうなるかぁ~」

 

 基本的にはノンチャージは強力な能力である。

 だが、その分魔力を膨大に消費する

 それこそ、ルガヴィクラスでなければ長期戦になれば成程不利になるのは間違い無い

 それをどうにかしたいラムザ一向なのだが

 

「ど~う~に~も~なら~~~ん!」

 

 シーラが叫ぶ。

 暗黒騎士になれ、剣装備まで出来るが剣の扱いが不向きな事。

 そして何より魔法攻撃力が極端に落ちるために暗黒を使う状況に持っていけないのである。

 とりあえずは

 

「クラウディアさん、エリクサーで我慢してね?」

「判ってるわ。そろそろ今日のキャンプ地を探さないといけないわね」

 

 言われてみれば天気が怪しい。

 日とめくる前にテントを張ろうと言う事になった

 

 が、其処得ちょっとした問題が

 

「だから!ラムザは自分のハーレムメンバーと一緒にいればよいのじゃ!」

「聞いてないよ?!アグリアスさんたちと一緒のテントだなんて」

「いい加減覚悟決めろ~!アグリアスさんとアリスさんとは一線超えたくせに!」

「な、なな」

 

 ラムザが動揺している隙にアグリアスとアリスが左右に張り付いて

 

「シンシア、クラウディア。今夜は少々眠れないかもしれないが、かまわないか?」

「覚悟は出来てるわ」

「楽しくなりそうですね」

「楽しいの、かなぁ?」

 

 アグリアス達がテントへと向かっていく。

 それあら数十分後、テントが騒がしくなっていく

 

「始まったか」

「今夜は寝ずの番、か」

 

 パチパチと火に木をくべて物思いにふけるシーラとエバンズ

 よくまあ、此処まできたものだと思うのであろう。

 

「ルガヴィ、後何体いるんだろうな」

「さて、エルムドアとヴォルマルフの二人は確定だろうな」

「三人目がいるかどうか、か……厄介この上ない」

 

 パチパチと焚き火が燃える。

 それを二人そろってみているとテントの中の動きがまた変わった

 

「今回は止め無いんだな」

「ラムザの無茶がかなり進んでいるからな。本気で今回のルガヴィ戦は死んだかと思ったぞ」

「攻撃を全部受け止めていたからなぁ。ケアル系で回復できなくてレイズ系使わないといけないと知ったときには驚いたもんな」

 

 先の戦闘の話をする2人。

 如何すればラムザの無茶を止める事が出来るのか。

 2人して考えるが答えが出ない

 

「やっぱり、今みたいな状況をもっと大人数で作るべきか?」

「いや、これ以上の大所帯になると割と敵に見つかる。しかも唯でさえ女性が多いんだし」

「だよなぁ」

 

 こればかりは如何する事も出来ない事であった。

 どうにかラムザの手綱を取る事が出来る相手がいないものか

 

 それを考える、シーラとエバンズであった

 それから少しして、自治都市ベルベニア、フィナス河を経てあと少しでゼルテニア城の近くまでやってきたラムザ一行。

 そこでシーラがふとかなり遠くに何かがあるのを見つける

 

「ラムザ、ちょっとあっちまで行かない?」

「流石にあの距離はちょっと難しいかな?でも」

 

 ラムザが遠くを見つめる。

 その瞳には何が移っているのか

 

「何でだろうあそこに行かないといけない気がする」

 

 ラムザの発言を聞いて首をかしげる一同。

 だが、いくと決めたからにはゼルテニア城を迂回してネルベスカ神殿に向かう。

 

 神殿は静かなものである。

 何かを祭る神殿なのだろうが誰もいず何もいない。

 一応、2人一組となってあたりを捜索してみるが何かあるわけでもなし

 まぁ、何かがあると思っても期待したわけじゃないから行くか、と思ったところで悲鳴が聞こえた

 

「何も無いなっと、ん?」

 

 

 普通に話していたシーラが剣に手を掛ける。

 それに伴いエバンズもシーラの見ている方向を見れば

 

「戦闘、か?」

「多分な。行くか?」

「エバンズ頼む。私はラムザ達に増援要請してくる」

 

 援護が早急必要なら3発連続で空に打て

 そう伝え終わったシーラはラムザたちのほうへと向く。

 エバンズもそれに納得したのか戦闘している場所へと向かっていく。

 

 其処では1人の女性に対して数人の男性が襲い掛かっている場面であった

 エバンズは何も言わず男性の1人の頭を吹き飛ばす

 

「援護に来た、後は任せ、ろ?」

 

 その顔を見たエバンズは思わず銃を落としてしまいそうになった

 なぜなら其処にいたのは

 

「有難うござます。援護、お願い痛います」

 

 ティータ・ハイラル

 自分達の目の前で死んだ筈の、女性だったのであった

 直ぐに頭を切り替えて3発空にうち敵を打ち倒していくエバンズ

 

「今度は、死なさん!」

 

 一度は死なせてしまった命。

 別人だとしても、罠であったとしても、何があっても死なせないとばかりに撃ち続けた。

 シーラ達が来たときには既に敵は壊滅していた。

 肩で息をしているエバンズ

 そのそばで心配そうにしているティータを見て

 

「冗談……きついぜ、神様」

 

 思わず、天を見上げて今の状況を如何すればいいのか頭を悩ますシーラであった。

 

「ティータ、ティータなの?!」

「は、はいラムザさん」

 

 ラムザは1も2も無くティータを強く抱きしめる。

 そのぬくもりは、間違いなくティータのものそのものであった

 

「よく、よく生きていたね。僕もディリータも死んだ物とばかりに」

「はい、私にも良くわかりませんが気が付いたら此処に」

 

 もはや何がどうしてという状況のシーラとエバンズ

 残りのメンバーはティータを見た事がなかった

 

「これから、ディリータに会いに行く。一緒に来ないかな?」

「兄に会いに行くのですか?是非に!」

 

 こうして、ティータが一時敵意仲間になったのである。

 このことがディリータの運命を決定的に変える事になるのであった


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