ー伊404甲板 カタパルト先端付近
「さて、此処が何処なのかはおいおい調べるとして、取り敢えずどこかに向かうとしようかね」
「どこかってどこだ?」
「この辺何もないよ?」
「ざっくり言えば宛もなく海を漂うんだよ。それで適当な陸地を見つけてそこでこの世界について図書館かどこかで調べるとしようか」
「そうだな」
「賛成!」
「よし、ではまずワープした時にどこか壊れていないかチェックしようかね。各員配置につけ!」
「「了解(`・ω・)ゞ(いつから軍になったんだろう・・・)」」
少し軍人気分で楽しみつつ、3人は艦内へ戻り操縦室の各配置についた。
卓也は操舵席に座り、左側の2つ縦に並んだモニターを操作していた。
「船体ダメージ表示、各種状況表示」
上のモニターには船体側面図が表示され船体のダメージを表示していた。
下のモニターは電圧電流、発電量バッテリー残量ディーゼルエンジン回転数、燃料残量などを表示していた。
「電圧よし、電流よし発電量も良好、バッテリーも燃料も満タン、まあ燃料ディーゼルまわしてないから当然か。船体ダメージなしオールグリーン!」
一方こうきの方は右モニター船体の各兵装と各部のカメラやその他の観測器機やレーダーのダメージを表示していた。左モニターには、レーダーが捉えた周辺状況を表示していた。
「各兵装異常なし、レーダー感度良好、観測器機も異常なし、各兵装オールグリーン!」
二人は各部のチェックが終わるとアイコンタクトをした後、後ろにいた春樹に報告した。
「操縦席異常なし!」
「こっちも異常なし!」
「了解、では諸君、宛の無い目的地に向けて出発しようかね。速力12ノットで航行、針路そのまま。」
「了解、速力12針路そのまま」
船はゆっくりと動きだし数秒もたたないうちに12ノットに到達し安定した。
「よし、こうき、司令塔に行くぞ。タブレットを持って来てくれ。」
「了解」
操縦室からこうきと春樹が出て行き、卓也一人になった。
卓也は1人小さくため息をした。
『おつかれさまです~』
「セレナか。この世界がどんな世界なのか分かるか?」
『いいえ。ただネットが繋がらないのと通信が全く傍受しない辺り、私たちの居た世界より技術が発達していないかあるいは発達しすぎて私たちの能力では傍受できないか、そのどちらかです』
「そっか。レーダー表示」
卓也の前のモニターに円形のレーダー情報が表示された。
『現在周辺に脅威はありません』
「一隻ぐらい船が航行しててもいいんだけどなー」
『そうですねー』
卓也とセレナが操縦室で話している頃
司令塔
「今から周辺状況を黙視で確認するぞ」
そう言って春樹はこうきに双眼鏡を渡した。
「モニター越しだけでは分からない事もあるからな。なんせこの世界はどのくらいの技術があるのか分からんからな」
「もしかしたらステルス性能の優れた船とか?」
「あっても不思議じゃないかもしれんな。あるいは全く別の驚異とか」
春樹はにやっとしながらこうきを見た。
それを聞いたこうき青ざめてカタカタ震えていた。
「まあ冗談じゃ。なあに、いざとなったらミサイル数本叩き込めばいい。そのためにそのタブレットを持ってこさせたんじゃ」
それを聞いたこうきは安心し、周辺監視を開始した。
そんな時間はのんびりと過ぎていった。
そしてあっという間に日が落ちた。
結局その日の日中他の船と遭遇することはなく、ましてや周辺に島の一つも見つからなかった。
春樹は全員を作戦室に集めた。
二人が部屋に入ると、すごく深刻な顔をした春樹がいた。
場の空気は重くなった。
「それではミーティングを始める。まずは非常に重要な事から片付けよう」
そして春樹は大きく深呼吸をした。
「この中に料理の出来る奴はいるか?」
「・・・は?」
「なんでそんな下らない事を深刻そうに話てるんだおまえはー!」
「良いではないか!普通に言うより面白いではないか!」
「どこがだよ!」
二人が言い合いしている中、こうきは1人笑ってみていた。
「ゴホン。では本題に戻ろう。この船には厨房と1ヶ月分の食材が積んである。と言うわけなんだが・・・」
「俺は一応出来るよ」
「ぼくも出来るよ」
「じゃあ二人日替わりでやってくれ」
「「了解」」
「つーか全然深刻でも何でも無いじゃん!」
「てゆーか、ミーティングで決めることなのこれ?」
「一応決めておいた方がいいであろう?では次だ。今度は部屋だ。この船の居住区には部屋が十個ある」
「それだったら今各自が荷物おいてある部屋でいいんじゃない?」
「そうだな」
「グッ」
「そういえばこの船って医務室的なものあるの?」
「あるぞ。セットも一式揃えてあるぞ。手術用ロボットもあるから安心したまえ」
「医者がいないのに安心できるか!」
「医者ではないが私だったらそれ相応の対応が出来るぞ。これでも親に色々叩き込まれてるからな。救命処置なら出来るぞ」
「そういえば春樹のお母さん医者だったね」
「そういえばそうだったな。それもなかなか色んな意味で凄い人だったな」
「まあこれである程度の問題は解決したな。それと夜間の見張りはセレナに任せるよ」
『了解しました!』
「「居たのか」」
「決まることは決まったし、今日は解散!」
その後卓也の作った食事を取り、各配置につき眠たくなるまで監視を続けたが、結局一隻も見なかった。
まえの投稿からしばらく期間が空いてしまいました・・・。今回はちょっと会話多目で書いてみました。意見や感想があればどんどん書いてください。次回はいよいよ他の船と接触です。