それではどうぞ!
ーー王城 王の間ーー
ユーキール・イーシの元に兵士がやって来て報告していた。
「報告します。港より緊急報告!例のビロテノスの新鋭艦に近づいた隊長が謎の魔術により死亡しました」
「なんじゃと!?所で何じゃその謎の魔術とは」
「それが・・・貫通式の魔術の様なのですが、詠唱無しで連続して可能な魔術のようです」
「化け物か・・・えぇい!遠征に出ているコーケンの騎士団はまだ帰らないのか!?」
「今晩中には戻る予定です」
「ぐぬぬ・・・奴らの所へ行くぞ!」
「は!」
そう言うとユーキールは立ち上がり、その豊かな腹を揺らしながら独房へと向かった。
ーー独房ーー
「おい貴様ら!」
独房の扉を乱暴に開き、ユーキールは叫んだ。
(やべぇよやべぇよ)
(誰が対応するんじゃ?)
(そんな事より全員外向け!バレるだろ)
「貴様らの他に仲間がいるだろ!正直に吐け!」
ユーキールは鉄格子を掴み、唾を飛ばしながら喚いた。
(おい、だれが対応する?)
すると卓也が溜息を吐きながら言った
「さて、何のことでしょう?」
「白々しくとぼけるんじゃない!貴様らの他に仲間がいるじゃろ!貴様らの艦の傍で撃たれて死んだ奴がいる!」
(絶対セレナじゃ・・・バレたら厄介じゃ)
(適当にごまかせ!)
すると今度はタカが咳ばらいをして話し出した。
「それは我々がここに来る最中に付けられた悪魔、グルーテの呪いです」
(((胡散臭・・・)))
しかし、王は意外と驚いていた。
「まさか・・・お主ら・・・」
するとこうきも乗り出した。
「そうだよ・・・だから下手に僕たちに手出ししたら貴方も命がありませんよ」
「だから早くここから出せぇ!」
王様は少し怯んではいたが、どうやら出してはくれないようだった。
「そ、そんな嘘・・・誰が信じるか!クソ共が!」
そうは言ったが、それ以上は何も聞いて来なかった。
しかし、彼らが衝撃を受けたのはその先だった。
ユーキールはさらに奥の檻へ向かった。
そう、この独房に彼ら以外に入れられているもう一人の所だった。
「おい、お前」
「ひぃ!」
独房の中に響く低い声と、少女の様な高い返事が木霊す。
その檻の中には、それは綺麗で美しい女性がその容姿に似合わない格好で入れられていたのである。
すると、王は再び口を開く。
「四つん這いになれ」
「は、はい」
そこから暫く彼らには信じられない状況が続いた。
薄暗い独房に響くムチを打つ音と喘ぎ声。
彼らには見えないが、音でその状況がどれだけ信じがたいか、想像に容易い。
悲鳴の様なその声と、王のその外道行為に、腐っても純粋とお人好しの彼らにとっては、その女性をどれだけ助けてあげたいと思っただろうか。
こうきはベレッタの耳を塞ぐ傍ら、自分の耳まで塞いだ。
タカも両耳を塞いだ。
卓也は俯いたまま、拳を握りしめていた。
春樹も似たように正座し、拳を握りしめていた。
春樹は普段は少し下品な所がある。
しかし、彼は強要をとことん嫌う男でもあった。
二人の拳は、小刻みに震えていた。
そして、突然春樹は立ち上がった。
ただ黙って立ち上がり、鉄格子に触れた。
その瞬間、鉄格子はくねくねと捩れ、やがてアサルトライフルに形を変えた。
「おい!春樹!」
卓也が立ちあがると、春樹はさらに量産したアサルトライフルを渡した。
「お前も震えてただろ?逆にあれを止めずして男じゃ無い」
そう言うと春樹は卓也の方を向いた。
小さな窓から射す月光が春樹の眼鏡に反射し、眼鏡が光る。
春樹がいつもの話し方では無い事に全員が驚いた。
否、卓也とこうきは他の人とは違う、他より長く彼といた人間だからこそわかる事で驚いていた。
春樹はコッキングハンドルを引いて弾倉から一発だけ発射筒に送りこみ、射撃モードを単連射に変更した。
そして一番奥の檻の前まで行き、開いた檻の入り口から中に入り、ユーキールの頭に銃口を向けた。
「おいクソ豚野郎・・・今すぐその女性から離れろ」
春樹はいつもとは違う口調で話す。
「あぁ?・・・お前・・・どうやって」
「いいからその女性から離れろ!」
「何だと!?ガキの分際でぇ!!」
その瞬間、春樹は右手で銃を持ったままユーキールに殴りかかった。
春樹の普段からは想像もつかない行動に、檻から出てきていたベレッタたちは驚いていた。
そして床に倒れ込んだユーキールに銃口を向けた。
「痛ぇなクソガキ!」
そう言って起き上がってこようとするユーキールに今度は足でけりを入れた。
「ぐはぁッ!」
「こんなの銃も必要ないかもね」
「ひぃぃぃ!」
そう言って顔を踏みつけようとした瞬間、ユーキールは変な悲鳴を上げて、独房から彼らが出ていたことも気にせず逃げて行った。
「とんだ腰・・・抜け・・・だ」
春樹はその瞬間、床に倒れた。
「「「「「「春樹(さん)!」」」」」
全員が倒れ込んだ春樹に寄り集まる。
春樹は一時的に気絶したらしい。
「・・・なんだ。気絶してるだけみたい」
「良かったぁ」
「死んだかと思ったぜぇ」
「前にもこう言う事あったな・・・」
卓也のつぶやきは運よくか、だれにも聞こえなかった。
「取り敢えず、この子と春樹を保護して」
「「「了解」」」
卓也は春樹を抱え、ベレッタとタカは少女に春樹が何故か持っていた白衣を着せて保護した。
そして数分後、何とか春樹は目覚めた。
「・・・ん?あれ?わしは一体なぜ寝ているのじゃ?」
「あ、春樹!」
「べ、ベレッタちゃん!?」
春樹は目覚めると、目の前にベレッタがいた。
「お!気づいたか!どうせ王様が入ってきて怒鳴ってたって事しか覚えてねぇだろ」
「た、卓也・・・君・・・きもいぞ?」
「何故だぁ!?」
「わしの心の中見透かしてるみたいだぞ?」
「あ、因みに僕も同じことを考えていたよ」
「おっとこうき、奇遇だな」
「お主ら・・・ところでそこで寝ているものすごく少女は?」
そう言って春樹は起き上がり、リカとアンジェリカの傍で寝ている少女を指さした。
「あぁ、この子はね・・・」
アンジェリカがそう言って説明しようとした時だった。
「おいゴルァ!」
突然独房のドアが蹴破られ、厳つい軍服の男が入ってきた。
その瞬間、全員の背筋に刺激が走った。
(不味い・・・)
(追い詰められた可能性・・・)
(可能性と言うか追い詰められてんじゃねぇか!)
そんな会話をヒソヒソと続けている内に、段々とその男は近づいてくる。
その時だった・・・
ーー王城 上空ーーー
王城上空を飛行していたリーチェがECシステムから指令を受けた。
『From E.C.System to riche(ECシステムよりリーチェへ)
Attack the point’a’(ポイントaに攻撃しろ)
・・・
』
『Riche Rojers(リーチェ 了解)
Open Fire(攻撃開始)
・・・
』
リーチェはくるくるとバレルロールをくり出すと、両翼のミサイル2本を、ポイントa(春樹達の檻と隣の檻の間)に叩き込んだ。
さらに、おまけと言わんばかりに軍隊に機銃掃射を加えて急上昇した。
ーーーーーーーーーー
「なんだ今のは!?」
「フフフ、諸君よ、これで私のオペレーションは可能になった!」
春樹はいつもの調子に戻った。
「それは・・・何なんだ?」
「よくぞ聞いてくれた!それはだな・・・」
全員がゴクリと唾を呑んだ。
そして春樹は横たわっている少女を白衣に包んだ状態で背負った
「それはだな・・・
にげるんだよぉぉぉぉぉ!
フフフフフフ
・
・
ハハハハハハハハ!
」
「「「「「「やっぱりだぁぁぁぁ!」」」」」」
「「「「「「「まてぇクズ共!」」」」」」」
最後適当になってませんかね・・・
まぁいいか!
(よくねぇよ!By一行)
また近いうちに上げます!
意見感想があればどしどし書いてください!
最後まで読んで頂きありがとうございました!