iron whale   作:セメント工房

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ついに伊404が入港してきます
そして捕まった春樹は一体何をされるのか・・・


23話 捕まったけどどうされるんじゃ?

ーービロテノス王国 ルニマール港町 仮物件ーーー

「んで春樹は捕まって夕方には入港するんだな?」

卓也はメールの内容を確認していた。

「しかしなんでばれちゃったんだろう?」

「確かあの艦って潜っていればそう簡単には見つからないはず・・・」

「それにこの世界にはその艦の様な水中を進める船なんて無いからね・・・」

「「「「うーん・・・」」」」

4人は見つかった原因を考えていた。

 

 

「取り敢えず本人に何があったのかを聞くか・・・」

「そうだね・・・」

4人は夕方を待った。

 

 

そして時刻は午後5時を回った。

「そろそろ行ってみるか!」

「そうだね!」

「もう来てると良いんだけど・・・」

4人は港に向かった。

 

 

 

 

 

港には昨日とは違い、殆どの駆逐艦や巡洋艦の様な軍艦が出ており、静かになっていた。

4人は車から降りて桟橋に立っていた。

「まだ戻って来てないな・・・」

「そうだな・・・」

「もうちょっとかな?」

「うん・・・」

3人は待った。

 

 

 

 

 

 

 

2時間は待った・・・

 

 

 

 

 

3時間・・・

 

 

 

 

 

「なんで来ないんだよ!」

卓也は地団駄を踏んだ。

港は闇に包まれ、灯台の明かりだけが見える。

しかし一向に春樹の来る気配はない。

それどころかここ数時間は一隻も港に入って来ていない。

3人は待ち疲れていた。

ベレッタは来ない事に不安を感じていた。

そして端末が鳴る。

「ん?・・・」

「どうした?卓也?」

こうきが端末の画面をのぞき込む。

そしてみんなも見る。

そこにはこう書かれてあった

『すまない・・・・明日の夕方じゃった・・・あとお前たちが陸にいることを話してしまった。大丈夫じゃ。城に侵入したことは言っとらんから』

「「「・・・」」」

こうき達も何も言えないような表情を浮かべた。

「・・・取り敢えず拠点に戻るか・・・」

「そうだな・・・あとレクさんに連絡入れといて。暫く帰れそうにないって」

「了解」

卓也はこうきにレクに連絡を入れるように指示した。

「さて・・・帰るか・・・」

「「そうだな(だね)」」

タカとこうきは疲れた感じで伸びしながら車に向かって歩いて行った。

しかしベレッタは浮かない表情をして海の向こうを見つめていた。

「どうしたベレッタ?」

「「ん?」」

タカがベレッタがついてきていない事に気づき、振り返って聞いた。

そして卓也とこうきも振り返る。

「・・・大丈夫かな?・・・春樹・・・」

ベレッタは春樹が心配になり、不安を隠せないようだった。

その様子を見た卓也はベレッタの傍まで戻ってきた。

そしてベレッタを優しく抱きしめた。

「大丈夫・・・春樹はそんなに弱い奴じゃない・・・ずっと一緒にいた俺が保証するぜ」

ベレッタは卓也の言葉で泣き出した。

そして卓也はよしよしっと言った感じで頭を撫でる。

 

 

 

 

 

 

「・・・寝ちゃったな・・・」

「そうだね・・・」

暫くしてベレッタは泣き疲れたのか寝てしまった。

卓也はベレッタを抱っこして車へ歩き出す。

「取り敢えず後部座席に毛布敷いて置いたぞ」

「ありがとうタカ」

卓也は車に戻ってくると毛布の上にベレッタを寝かせ、タオルケットを掛ける。

「さて・・・帰るか・・・」

「そうだね・・・」

3人も車に乗った。

「そう言えばタカ。段々自分達の事分かって来たみたいだね」

こうきは嬉しそうに言った。

「う~ん・・・装備品とその各名称?みたいのはある程度覚えたけど・・・」

「そっか・・・」

「まぁ俺たちともだいぶ慣れてきたんじゃないか?」

卓也も運転しながら嬉しそうに言った。

「そうだね・・・昨日会ったばかりだけどもう長い事ずっと一緒にいる気がする!」

「そうか・・・」

卓也は満足そうに言った。

借物件(以降アジト)に着くと卓也はベレッタを元々置いてあったソファに寝かせた。

こうきは備え付けの電話でレクに連絡する。

電話番号は何かあった時の為に聞いておいた。

「・・・もしもし、こうきです」

『おぉ!こうきか!どうしたのじゃ?』

「レクさん・・・それが色々ありまして暫く帰れそうにありません」

『何じゃと!?大丈夫なのか!?一体何があったんじゃ!?』

「あまり詳しい事は言えませんが・・・いずれお話します」

『そうか・・・しかし無事でよかったわい・・・』

「ご迷惑ばかりおかけしてすみません」

『全然良いわい!・・・ん?どうしたチル?すまんちょっとチルに代わるわい!』

「はい・・・」

暫く無音が続き、突然に聞きなれた少女の声が聞こえてきた。

『こうきさん!どういうつもりですか!ちゃんと戻って来てくださいって約束しましたよね!?』

その声は今にも泣きそうな声で震えていた。

「あぁ・・チル・・・すまない」

こうきは何も言えなかった。。

その後軽く10分は話していた。

『それで・・・どうしたんですか?コアさん・・・ちょっとコアさんに代わりますね?』

「お、おぅ」

そして再び無音が続いた。

『あ!こうき君!久しぶり!』

「あぁ久しぶり」

『ちょっと突然で悪いんだけど卓也君に代わってもらえる?』

「あ、あぁ・・・いいけど・・・卓也ー!」

こうきは卓也を呼んだ。

「どうした?」

「コアちゃんが話があるって」

「こ、コアから?分かった」

こうきは卓也に受話器を渡した。

「もしもし?」

『卓也君!どうして私に何も言わないで出て行っちゃったの!?』

「それはだな・・・」

卓也は訳を話そうとしたら、それはコアに遮られた。

『言い訳は聞きたくないよ!それよりも・・・無事で良かった!』

怒った声から今度は泣いた声で話してきた。

『話で聞いてたよりも帰って来るのが遅かったから・・・何かあったのかなって・・・』

「あぁ・・・ごめんなさい・・・」

その後こうきと同様、10分は軽く話していた。

『・・・と言う事があったんだよ!』

「へぇ・・・」

卓也はコアからひたすら卓也たちがいない間の出来事について聞かされた。

『それじゃあそろそろ切るね!』

「あぁ・・・何かあったらまた連絡するな!」

『ちゃんと帰って来てね!絶対だよ!?』

「あぁ、分かってるよ!」

『それじゃぁお休み!』

「お休み」

電話を切り、卓也は床に就いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

 

 

午前10時頃、卓也とタカは町に買い物に出かけており、アジトにはこうきとベレッタがいた。

2人は元々置いてあったソファに腰かけ、のんびりしていた。

そしてそんなゆったりとした時間はタカと卓也が帰ってきた事により終わりを告げた。

「た、大変だ!伊404の事が新聞に載ってる!」

卓也とタカが息を切らしながら新聞を片手に帰ってきた。

「どうしたんだ!?」

こうきは息を切らした2人を見た後、新聞を手に取って読んだ。

そこにはこう書かれていた。

 

 

『不審船、この国の危機を救った!迫り来る敵竜騎士を撃ち落とした!』

「・・・」

「あとその船が今日の夕方に入港することまで書いてあるんだ!」

「もしや不審船って・・・」

「十中八九間違いない!だって特徴の所に・・・」

そう言って一部の文章を指さした。

そこにはこう書かれていた。

『形状は細長いボートのような形状で後ろ向きに見たことも無い砲が付いていた。小さな艦橋側面にはI404と記されており・・・』

「細長いマストが何本も立っていた・・・て完全に伊404じゃん!」

こうきは確信した。

「取り敢えず夕方まで待つか!」

「そうだね!」

 

4人は夕方まで待った。

 

 

 

 

そして時が流れてもうすぐ4時頃だ。

日は段々傾き、日没まで2時間ちょっと位だろうか・・・

「すごい人だかり・・・」

港には新聞で噂を聞いて一目見ようと集まった人達で埋め尽くされていた。

桟橋への入り口にはロープが張られていてそれ以上中へは入れないようになっている。

「何せ見たことも無い構造をしていたとなればそりゃね・・・」

「しかも国を救ったなんて書かれたら気になるだろ・・・」

卓也とタカはそんな事を言っていた。

「そわそわ・・・そわそわ・・・・」

ベレッタはこうきの足元でそわそわしていた。

 

 

 

 

 

 

「きたぞぉぉぉぉぉ!」

一人の男性が叫んだ。

港の入り口には駆逐艦が入港してきた。

「あれ?一隻だけ?・・・」

全員がざわめきだした。

 

 

段々駆逐艦が近づいてきた。

「・・・おぉぉぉ・・・」

縦に並んで航行していたため一隻に見えたが、艦後方にロープでつながれてその艦はいた。

 

 

 

新聞記事に記された通り、縦長い形状をし、後ろに向いた14cm砲、真ん中にある格納庫にその上に突き出た司令塔にはI404の文字が書かれている。

そして何と言っても目に引くのがその全長122mと言う大きな船体だった。

 

 

程なくして伊404は卓也たちの目の前の桟橋に係留された。

 

そしてハッチが開き、春樹が出てきた。

「春樹!」

ベレッタは春樹を見るなりロープを潜って走り出した。

「ちょっとベレッタ!?」

こうきはベレッタを追いかけた。

「もういいや!俺たちも行こうか!」

「そうだな」

卓也とタカもロープを潜って走り出した。

 

 

 

「春樹!」

「うぉっ!」

ベレッタは桟橋から甲板へ飛び移り、春樹に抱きついた。

「春樹!心配したよ・・・無事で良かった!」

ベレッタは泣きながらしがみついていた。

春樹は驚いた表情を浮かべていたがベレッタの頭に手を置いて撫でた。

「すまなかったのぅ・・・」

するとこうきと卓也とタカが来た。

「初めまして!新たに仲間に加わったタカ・コレーゼです!」

そう言って今朝こうきに教えられた敬礼をした。

春樹も敬礼で返した。

「わしはこのチームのリーダー兼この艦の艦長辻春樹じゃ!」

そしてニッと笑った。

 

暫くこうなった経緯について春樹から話を聞いた。

そしてここに来るまでにどんな事を話したかについても・・・。

 

「・・・という訳じゃ」

「成程・・・」

どうやら自分たちが異世界から来た事、この艦の能力、自分たちが上陸して何をしているかについては言わなかったらしい。

「つまりある程度はごまかしてあるぞ」

「助かったと言うべきか・・・」

「複雑だね・・・」

そんな感じで会話していた5人であった。

すると卓也はふと陸の方から二人の女性の軍人が歩いてくるのに気づいた。

「えぇっと・・・あなた達4人があの子の仲間さん?」

そう言って話しかけてきたのは少しあh・・・天然そうな背の低めの女性だった。

「はいそうですが・・・あなた達は?見た所海軍の方のようですが・・・」

「あ、申し遅れました。私、ビロテノス王国海軍所属駆逐艦レントル艦長リカ・ツルージです。階級は中佐です」

「同じくビロテノス王国海軍所属駆逐艦レントル副長アンジェリカです。階級は少佐です」

「俺は宮井卓也です」

「下川こうきです」

「ベレッタです」

「タカ・コレーゼです」

4人は敬礼した。

「丁度良かったです。5人には今から王城に来てもらいます」

「「「「「え!?」」」」」

「何でも王様から直々に話がしたいそうです~」

そう言いながらリカは髪の毛を指に巻き付けながら言った。

(こんなのが中佐で大丈夫なのか!?)

こうきは内心そんな事を思った。

(中佐よりも少佐の方がしっかりしてる・・・)

卓也もそんな事を思った。

「取り敢えずついて来てください」

5人は不安げな顔をしながらリカとアンジェリカについて行った。

 

 

 

 

 

その後どうなるのかは今の5人には知る由も無かった・・・




超絶長くなってしまいました!
あと・・・ようやくまともに港に着けました!


意見感想があればどしどし書いてください!
最後まで読んで頂きありがとうございました!

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