ーーー駆逐艦レヴィーラーーー
伊404による戦闘が終わり、辺りは波と機関音だけが響き渡る。
「なん・・・だ・・・あれは」
レヴィーラの艦長タルカは唖然としていた。
そして横にいる副長のレイムも信じられないという顔をしていた。
「あれは・・・敵なのでしょうか・・・」
「敵だったら俺たちを狙ってくるはずじゃないのか?」
「ではあれは味方なのでしょうか・・・」
「分からん・・・しかし助けられたとはいえ相手は不明艦だ」
タルカはマイクを持ち、伊404に呼び掛けた。
「そこの不明艦!直ちに武装を解除し、機関を停止させろ!」
伊404は大人しく機関を停止させた。
「・・・やけに素直に従うな」
「助けてくれるような船です。きっと悪い集団ではないと思いますよ」
「どうだか・・・近づいたところを殺られる可能性だってある。警戒を怠るな」
「了解」
「取り敢えず本部に連絡せよ。あと僚艦に指示を出す」
タルカは少し不安を抱きながら僚艦へ連絡する。
「駆逐艦レヴィーラより駆逐艦レントル。不明艦に接近し、拘束せよ。」
すると駆逐艦レントルから返信がくる。
『レントル、了解』
「接近する際は警戒を怠らないように」
『了解です』
ーー駆逐艦レントルーーー
「さてと・・・相手はどんなのかな?」
レントル艦長、リカ・ツルージはワクワクしながらも、軍人として警戒しながら近づいた。
リカは、軍の中で唯一の女性艦長である。
そのためか、レントルの乗組員の4割は女性だ。
「艦長・・・楽しみなのはわかりますがあまり気を抜かないでくださいよ?相手は一応不明艦なんですから・・・」
副長アンジェリカは溜息をつきながらリカに忠告した。
「分かってる分かってる!その為に砲をちゃんと向けているじゃないの!」
「はいはい・・・」
そう言って前に向き直った。
その視線の先には伊404があった。
(見たことのない形状をしているわね・・・なんか細いし兵装は少ない・・・しかし威力は化け物・・・)
アンジェリカは報告書に書いていく。
(それに艦橋部分が小さい・・・左右に文字が・・・『I404』・・・?)
程なくして伊404の横にレントルが着いた。
ーー伊404---
「さすがに見逃してはくれんか・・・」
『ですね・・・何しろ盛大に暴れてしまいましたからね』
「ほとんどわしは指示を出していただけじゃがな・・・」
『共犯じゃないですかーマスター!』
セレナはブーっと言わんばかりに頬を膨らませて不機嫌アピールをしていた。
「さて・・・マニュアルモードに切り替えるぞ。しばらく大人しくしておいてくれ」
『はーい・・・』
セレナは不機嫌そうに画面から消えた。
「さて・・・外に出るかのぅ・・・」
春樹は操縦室を出て通路を進み、梯子を昇って外に向かった。
そして重いハッチを開けて外に出た。
ーー駆逐艦 レントルーーー
「誰か出てきたよ!?」
リカは声を上げた。
「そうですか・・・ん?1人?」
アンジェリカは疑問に思った。
(なぜ一人だけ出てきたの?ほかの乗組員は?)
様々な疑問を浮かべながら甲板に降り、お互い話せるところまで近づいた。
こうして軍と初めて接触した。
「私はビロテノス王国海軍所属駆逐艦レントル副長アンジェリカ!」
「私は潜水艦伊404艦長、辻春樹じゃ」
春樹は自信満々に挨拶した。
「潜水艦?所属と航行目的は?」
「特にないな・・・」
アンジェリカはその回答に唖然とした。
「・・・と言うと?」
アンジェリカの質問に春樹は当然のように言った。
「この艦は個人所有物であり、軍属ではない」
「ではあなた達はどこから来たの?」
「さぁな・・・」
アンジェリカは再び唖然とした。
しかし気を取り直し、こう言った。
「取り敢えずあなた達には恩があります。しかしあなた達の艦はなかなかの戦闘能力を有していると見受けられました。ので一時身柄を拘束させて頂きます」
「了解じゃ。しかし大破したそちらの二隻は航行できるのか?」
春樹は少し不安そうに聞いた。
しかしアンジェリカは何も言わなかった。
「と、取り敢えず係留ロープで船体を固定します」
そう言ってロープを伊404の甲板へ投げてきた。
春樹はそれを船体に括り付けた。
括り付けたのを確認したアンジェリカは艦橋へ指示を出した。
やがてレントルはゆっくりと動き出した。
そしていつの間にか航行不能になった2隻にもロープが繋がれており、ゆっくりとひっぱられている。
春樹はこっそり端末を操作し、卓也たちに連絡を入れた。
ーービロテノス王国 ルニマール港町ーーー
ここはルニマール港町。
首都からは南門を出てすぐの町だ。
卓也たちが首都に向かっている最中に軍艦を見た町である。
そしてここには卓也たちが拠点として借りた物件がある。
「カギはあるんだよな?」
「あるよ。アリヤートからもらっといたんだ~」
卓也たちは借りた物件に向かっている最中であった。
「書類はまだ申請中だけどな・・・」
「でも内緒話する位だったら大丈夫だよ!」
「そうだけどさ・・・ん?」
その時、腕に付けた端末が着信音を立てた。
「何だ?メールか・・・」
こうきは内容を確認し、硬直した。
「どうしたのこうk・・・」
ベレッタも内容を見るなり硬直した。
「どうしたんだ?2人そろって」
「ん?」
タカはこうきの画面を見て顔を青くした。
「・・・仲間が一人軍隊に捕まったみたい・・・確か春樹って人・・・」
「・・・え?」
「それで今日の夕方に港に着くから来てほしいだって・・・」
卓也はハンドルを握ったまま硬直した。
そしてこの後の展開など、だれも予想もしたくなかったのであった・・・
そう、したくなかったのである・・・
したくなかったんd・・・ry
(うるさいんじゃ・・・By春樹)
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