iron whale   作:セメント工房

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20話 そう言うときもあるさ・・・

「ど、どうも・・・」

「・・・」

こうきは何も言えず、持っていた銃を落としそうになった。

 

そして次の瞬間、こうきは無線を入れた。

「こちらこうき!緊急事態発生!直ちにこっちに来てくれ!」

『卓也了解!』

「え?」

タカは、不味い事になったと思った。

「ちょっと話したいことがあるんだけどいいかな?」

タカにこうきは優しそうにいった。

しかし、その笑顔が逆にタカを恐怖に陥れる。

「は、はい!・・・」

こうきはタカに近づき、話を始めた。

「じゃあまず一つ・・・いつから見てたの?」

「は、はい・・・昨日僕の店から出て行ったあとからです・・・」

「そっか・・・じゃあ二つ目」

こうきは笑顔のまま、しかしどこかどす黒いオーラを放ちながら続ける。

「なぜ尾行してきたのかな?」

「それは・・・卓也の話が少し信じられなかったから・・・」

「成程ね・・・」

こうきはそれだけ聞くと、それ以上は訊いてこなかった。

「君にはいろいろ見られたらまずいまずいものを物を見られちゃったから・・・」

そう言ってタカのほうを見た。

「タダじゃ済まないかもね?」

「ひっ!」

そこには穏やかな表情の裏に隠されたどす黒いオーラを強く放ちながら、笑うこうきがいた。

 

 

暫くして卓也たちが戻ってきた。

「こうき!なにがあった・・・あれ?」

「ど、どうも・・・」

そこには申し訳なさそうなタカがいた。

「お帰り卓也、ベレッタ。用ならもう済んだけどちょっと相談があるんだけど」

そう言って卓也の前に姿を現したこうきは二人を恐怖させた。

「い、一体何があった・・・」

「よ、良く分からないわね・・・」

2人がそう呟く。

「な、なんでもするから!命だけはご勘弁を!」

「「え!?」」

突然タカがガタガタ震えて、涙目で土下座していた。

「な、なぁこうき・・・本当に何があったんだ?」

「そ、それは僕から説明します・・・包み隠さず」

そしてタカからすべての話を聞いた。

 

 

 

「成程ね・・・確かに知られたら不味い事だけど・・・」

「別にこうきがあそこまで怒る必要はないわね・・・」

「・・・調子乗りましたすみません」

タカから事情を聞いて、卓也たちは別にそこまで怒る様な事でもないと判断した。

そのため、こうきはベレッタによって鎮圧された。

しかし、少しタカは知ってはいけない機密に触れてしまった事により、卓也たちの監視下に置かれることとなった。

 

「という訳だ」

「つまり僕は、その春樹と言う人の部下になるって事?」

「そうだね」

卓也はタカに、春樹の存在と自分たちの目的などを話した。

「取り敢えずこの話は他人には話さないでほしい」

「了解です」

 

 

「変わり者ですが、よろしくお願いします」

「「「よろしく!」」」

春の心地の良い風が吹く朝の山の中腹、タカは春樹たちの仲間になった。

 

 

 

 

 

 

ーー伊404--

09:57

ビロテノス王国陸地より5000km離れた海の上、一隻の潜水艦が洋上を航海していた。

「最終プログラムチェック」

『プログラム、異常ありません』

「燃料チェック」

『問題ありません』

「通信」

『オールグリーン』

「了解じゃ!」

艦内では春樹の実験の為、準備が行われていた。

「これが無事にいくといいんじゃが・・・」

『きっと上手く行きますよマスター』

「だといいんじゃが・・・」

『さて、打ち上げ1分前で~す!』

「了解!発射準備!」

『了解!発射準備!』

 

号令と共にぷしゅーっと音がして艦側面にある右舷側のミサイル発射管の蓋が開いた。

『ミサイル発射管ハッチ解放!』

「了解!風向風速チェック!」

『共に問題なしでーす!』

「了解じゃ!」

春樹は、深呼吸をし、言った。

「発射用意!」

『発射用意!』

セレナが後に続く。

 

 

 

 

 

 

 

「発射!」

『了解!ブースター点火!』

 

その言葉と共に、ミサイル発射管上部から勢いよく煙が噴出し、発射管本体から一本の筒の様なものが発射された。

 

そして暫く水面を飛翔した後、左右からガスを噴出し頭を天に向けた直後、バシューっと音を立てて大空へと消えて行った。

 

『ブースタ切り離し!高度上昇中!大気圏突入まで3,2,1突入!』

「思ったより早いのぅ・・・」

 

 

打ち上げたロケットは、大気圏を抜け、やがて衛星を切り離し役目を終えた。

放たれた衛星は、艦と連絡をやり取りしつつ、仕事を始めた。

「打ち上げてから30分か・・・」

『思ったより早かったですね・・・』

「そうじゃな・・・ん?」

春樹は、モニターを見ていると、対空レーダーに30個位の反応があった。

「急速潜航!潜望鏡深度じゃ!」

『了解です!』

艦は春樹の指示通り、海中にその巨体を潜らせた。

「対空レーダーに反応か・・・なんじゃろう?」

『飛行機は情報によれば開発すら行われていないようですし・・・まさかのドラゴン?』

「まさか・・・いや一理あるかもしれんな」

『さっそく衛星使ってみますか』

「そうじゃな!」

春樹は衛星からの映像を見た。

「・・・これは本当にドラゴンじゃな」

『そのようですね』

「敵か味方か分からんのう・・・」

『なにか目印でもあればいいんだけど・・・』

 

「取り敢えずビロテノス王国から1500kmの海域に移動じゃ。そこじゃとまだ防ぎようもあるからのぅ」

『了解しました!』

艦は回頭し、針路をビロテノス王国大陸へと向けた。

 

 

 

 

 

それから約1時間、11:30目標海域に到着した。

「おや?何隻か出港していくようじゃのぅ・・・」

『やっぱり敵だったのでしょうか?』

「まだわからん・・・」

 

 

それから数十分後、レーダーの端に、さっきよりも数を減らした大群がいた。

「そこそこ数は減ったが・・・20匹か」

『減ったと言えば減りましたね・・・』

 

 

「しかし減ったと言う事は・・・」

 

 

 

 

『敵・・・ですね!』

 

 

 

 

 

「よし!」

 

 

春樹は深呼吸をし、言った。

 

 

 

 

 

 

 

「対空戦闘用意!」

 

『対空戦闘用意!』

 

 

艦内のライトがすべて赤になり、操縦室はすべてのライトが消え、モニターの明かりと各種計器の明かりのみになった。

 

 

 

 

 

 

 




卓也達の戦いに続いて、こっちは完全に殺る気しかない・・・
次回、春樹による国土防衛戦の始まりです!


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最後まで読んで頂きありがとうございました!

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