iron whale   作:セメント工房

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19話 おとぎの国で・・・スパイ活動!(その1)

ーー首都ゴルバトゥーダ 大通りーーー

夕暮れの王城の門まで続く大通りを賑わう人混みをかき分け名がら3人組が歩いていた。

「さてと、今からどうする?」

「どうするも何も、目的の城へ向かうだろ」

こうきはぼんやりと言った感じで呟き、卓也は侵入方法を考えながら歩いていた。

「取り敢えず正面から行ってみる?」

「そうだな・・・」

卓也の回答に、ベレッタは不思議そうに聞いた。

「でも結果なんて見えてるよね?」

「そうだけど、やってみて得られる事もあるかもしれないからね」

卓也の説明にベレッタは納得したらしく、城へ続く道の先を見た。

 

 

「あ、城が見えた」

数分経って、道の先に王城の姿が見えた。

外見はシン〇レラ城の様な白い壁に青いとがった屋根が多く、ビル10階建てに等しい高い塔が一本突き出ていた。

そしてその城の周りには城壁があり、しっかりと城を守っている。

道の先には、城に入るための門が見える。

「あれだな」

「取り敢えず行ってみようか」

「そうだね」

3人は城に向かって歩き出した。

 

 

 

そしてその様子を陰から見ている人物がいた。

「あいつら、一体何をする気だ?」

彼らを不審に見つめる人物、タカは3人の後を追っていた。

そして、不審に思う気持ちとはまた別の感情も抱いていた。

「それにしても仲良いな。あいつら・・・」

実はこの少年には友達と呼べる友達がいないのである。

そのためタカは、仲のいい3人を羨ましく思っているのであった。

「取り敢えず・・・あとをつけよう」

タカは再び追跡を開始した。

 

 

 

「ダメだ!」

「ですよね~」

まさか追跡されているとは知らず、卓也たちは城内侵入を正面から試みたが、予想通りの結果になっていた。

「う~ん!やっぱダメか~!」

「やるまでも無かったきがする・・・」

「他の作戦を立てよう・・・」

落ち込む二人を慰めるように、ベレッタは次なる作戦を立てることを提案した。

「そうだな」

「そうだね・・・」

2人は気を取り直して、城門付近から離れた。

「それよりも僕、お腹すいたな~」

「何か買って食うか?」

「賛成~」

城門から離れながら3人は、そんな会話をしていた。

 

 

 

日もすっかり落ち、街がより一層賑やかになる中、3人はレストランで作戦会議を行っていた。

「それで、夜にこっそりと城内に侵入して資料庫に潜り込むと・・・」

「成程成程・・・」

卓也たちは、夜中に城内に潜りこむという作戦で行くことにした。

「それで、潜り込むメンバーなんだが・・・」

「それなら、体術に関しては一人前の僕が行くよ!」

「いや、お前は今日は後方支援をお願いするよ」

「えぇ~」

卓也に言われ、拗ねるこうきであった。

「あっそうだ。作戦内容と許可を春樹に取りに行ってくる」

「了解~」

そう言って卓也はトイレに向かった。

 

「こうきって体術できるの?」

ふいにベレッタはが聞いてきた。

「そう言えばベレッタには言ってなかったっけ」

するとこうきが自慢げに胸を張って話し始めた。

「ふっふーん!僕は実はこう見えて体術(柔道)を9年間やってて、その体術を競う大会では全国1位に何回もなったことがあるよ!意外でしょ?」

「へぇ~!そうなんだ!」

「因みに卓也とはその体術を習い始めた頃からの付き合いで、卓也とは1位2位を争う事だってあったんだよ。でも6年間やってやめちゃったけどね・・・」

「そうだったんだ・・・・」

ベレッタは意外そうな顔をしていた。

「お待たせ~。あれ?何話してたんだ?」

「内緒~」

こうきはにんまりと笑い、卓也にピースした。

「ベレッタ、こうきと何話してたんだ?」

今度はベレッタに聞いた。

「えへへ~内緒」

「そうか・・・」

すると卓也はこうきの頬を掴み、聞いた。

「何を話したんだ?」

「いふぁいふぁいふぁらふぃふぇ(痛い痛い離して)」

卓也は仕方なく話の内容を聞くのを諦めた。

「それで作戦の許可は下りたぜ」

「じゃあ作戦通りって事?」

「あぁ」

「「了解!」」

「それじゃぁ早速、行きますか!」

「そうだね!」

そう言って卓也たちは会計を済ませ、店を出た。

そして、西門を目指して歩き始めた。

 

 

 

そしてその様子を陰から見つめるタカ・・・。

「あの大きな壁で囲まれた城にどうやって侵入するつもりだ?」

タカは彼らの後を尾行し続けた。

彼らの仲間に入りたいなと思いながら・・・。

 

 

追跡されている事にすらいまだ気づいていない3人組は西門を出て、車の方へ向かった。

「作戦の詳しいことは車の中で話そう」

「「了解」」

3人はそう言って車へ乗り込んだ。

 

 

 

「何だあれは・・・」

タカは初めて見る乗り物を見て、驚いていた。

「本当に彼らは何者なんだ・・・」

もはやタカには、不審な感情は無く、彼らに対する好奇心で行動していた。

唖然としていると車は動き出そうとした。

慌てたタカは、車の後部ドアにしがみつき、後を追った。

 

 

一方車内では・・・。

「・・・という訳だ」

作戦はこうだ。

・まず、城の後ろの山の中腹辺りまで車で昇り、遠距離からの城の観察。

・00:00になったら山を下りて、城に侵入し資料をあさる。

・06:00までに作業を終えて、帰還する。

・なお発砲は緊急時のみ許可する。

・侵入するのは卓也・ベレッタ。後方支援はこうき。

 

「「了解」」

「にしてもやれるもんならあの城にAHAx2かMJY3でも叩き込みたいよ・・・」

「なんてこと言うんだ!そんなことしたら城どころか街ごと消し炭になっちまうよ!」

「そうだよこうき!」

卓也の言葉にベレッタが同意した。

「せめて街に影響が出ないように街にバリアを張ってよ!」

「いやそれもダメだろ!?」

卓也は苦笑いをしながら言った。

「確かこうきは貴族や政治家が大嫌いなんだっけ?」

「そうだよ。政治家や貴族はただ僕達一般人をいじめて遊ぶ生きてる価値のないゴキブリなんだよ」

その瞬間、車内の空気は凍り付いた。

そして、ベレッタはこうきを怒らせてはならないと悟った。

卓也は、相変わらずだな・・・と思った。

 

 

 

その被害は外まで及ぼしていた

「なんか今、この乗り物の温度が下がったような・・・」

タカは、どことない寒気に襲われていた。

 

 

 

 

車はやがて、城の後ろの山の中腹辺りに来て止まった。

 

 

 

「ここなら城敷地内を見渡せるな」

「そうだね!ここなら王も狙撃で・・・」

「こうき・・・今物騒なこと考えたでしょ」

「・・・すみません。落ち着きます・・・」

こうきは貴族に対する憎しみを漂わせていたが、ベレッタにジト目で見られたため冷静に戻った。

そして時計をみて時間を確認した。

「よし!21:00偵察開始!」

 

 

 

 

 

こうして3人組による遠距離偵察を開始した。

 

 

 

 

 




久しぶりの投稿です!
最近何かと忙しくなかなか投稿できませんでした。
何せイベントイベント・・・・はぁ・・・。
この前はカラオケで叫び散らしてのどを痛めたり・・・。


意見感想があればどしどし書いてください!
最後まで読んで頂きありがとうございました!

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