血が足りない・・・・
(うっわ何言ってんのこの人! Byこうき)
ーーールニマール 喫茶ドルフィンーーー
午前4時、卓也たちはレクの淹れたコーヒーを飲んでいた。
「やっぱり朝はコーヒーに限るな~」
「そうだね~艦では簡単なやつしか飲めなかったもんね~」
二人はのんびりとした口調で話していた。
「朝からコーヒー以外を飲んどる奴の気が知れんわぃ」
マスターはコップを拭きながらそう言った。
「俺はそこまでじゃないけどあるなら飲みたくなるよな」
卓也はそう言いながら机に頬杖をついた。
「だよね~。・・・そういえばレクさん」
ふとこうきが何かを思い出したようにレクに質問した。
レクはいつもの様なにこやかな表情で反応した
「どうしたんじゃい?」
「この街に役場ってありますか?」
「あるが・・・どうしたんじゃ急に?」
レクは不思議そうに聞いてきた。
「実は僕達この街に引っ越そうかなとか考えてる訳なんですけど・・・」
レクは驚いていた。
「おぉ、そうかそうか・・・ならば土地の事を聞きたい訳じゃな?」
二人は揃って首を縦に振った。
(さっすがマスター!分かってくれる!)
「よし分かった!土地を買うにはじゃな・・・」
それから1時間近く話を聞いた。
「・・・という訳なんじゃ」
「成程成程・・・」
レクの話によれば、要は役場に行くと土地を買うことも借りることもできるらしい。
それ以外にも、役場は色々なことをしてくれることが分かった。
「ところで、その役場はどこにありますか?」
「あぁ、そこの横の道から大通りに出て、南に大体そうじゃな・・・2時間あれば着くじゃろう・・・」
「つまり俺たちが来た道をさらに進んだところだな・・・」
卓也は今後の行動について考え始めた。
そしてこうきにひそひそと予定について話した。
(俺が今考えた予定なんだが・・・ヒソヒソ)
(成程成程・・・ヒソヒソ)
話し終えると、こうきはグーサインを出した。
それを見た卓也は納得したように頷き、レクの方を向いた。
「レクさん、せっかく宿を貸していただいているんですが、3日間だけ空けさせていただいても宜しいでしょうか?」
レクはまたもや驚き、
「あ、あぁ・・・構わんが・・・」
とだけ言った。
「「ありがとうございます」」
二人は深々と頭を下げた。
「まぁ荷物は置いといても良かろう」
「分かりました」
すると、時計がボーンボーンっと六回鐘を鳴らした。
「さて、朝食を作るかね」
するとこうきが言った。
「手伝いましょうか?」
「おぉ、良いのか?」
「勿論です!ね?卓也」
「あぁ。泊めさせて頂いているので、その位は」
レクは二人を見て少し驚いた。
しかし、すぐににこやかな表情を浮かべた。
「じゃぁ、お願いしようかのぅ」
「「了解です!!」」
二人は敬礼した。
それから一時間、朝食は完成し、コアとチルとベレッタの3人が起きてきた。
「おはよう・・・」
「おはようございます・・・」
「おはよぅ・・・」
3人は眠そうに目を擦り、ベレッタに至っては二度寝しそうにうとうとしていた。
「おはよう、3人とも。朝ごはんできたよ」
こうきが3人に言い、席につかせた。
「「「「「「「いただきます」」」」」」
朝食が終わり、各自それぞれの事を始めた。
「それじゃあ、今日も修行に行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
コアは卓也に見送られて師匠なる人物のもとへ出かけて行った。
チルとマスターは開店準備をしていた。
「さて、俺たちも出かけるか・・・」
「そうだね!」
「うん!」
三人は部屋に戻り、準備を始めた。
それぞれ準備が整うまでに15分弱かかった。
「ではマスター。しばらく出かけます」
「あぁ、まぁいつ戻って来てくれても構わんよ」
「では用が済み次第って事で・・・」
「こうきさん!ちゃんと戻って来てくださいね!」
「大丈夫だよ。荷物もあるし」
そう言ってこうきはチルの頭を撫でた。
チルは嬉しそうにえへへと笑った。
その後ろでベレッタが拗ねた目でその光景を見ていた。
「じゃあ行くぞ、こうき」
「じゃあね、チル」
こうきはチルの頭から手を放し、手を振った。
チルは少し寂しそうな表情を浮かべ、手を振り返した。
ジープのエンジンが作動し、暫くして動き出した。
そして大通りに繋がる細い道へと進んで行った。
大通りに出て、右に曲がりひたすら南に走る。
「まずは役場だね」
「そうだな。春樹に頼まれたやつだな」
彼らは春樹に頼まれた事を果たすべく、役場に向かっていた。
「にしてもこの道長いね・・・」
「レクの話によればこの道を真っ直ぐ行くと首都らしい」
「そうなんだ・・・」
その後は何気ない会話をしながら走る事1時間、役所に着いた。
車は役所の前に停まった。
「じゃあ、行こうか」
「そうだね」
「うん」
3人は車を降り、役所の中に入って行った。
中に入ると、広い待合室のようなところがあり、木製の長椅子がずらりと並んでおり、何人かの人が座っていた。
そして、その奥の方にカウンターがあり、何人かの受け付け係がいた。
3人はカウンターに向かった。
「いらっしゃいませ。どのようなご用件で?」
カウンターに着くと受付係の女の人が明るく話しかけてきた。
「えーっと土地を借りたいのですが・・・」
「そうですか。では少々お待ちください」
そう言って奥の方へスタスタと歩いて行った。
暫くすると、奥から紺色の瞳に、肩にかかる位まで伸びたプラチナブロンドの髪が特徴的なのほ・・・落ち着いた女性がやってきた。
「お待たせしました~。土地関係を担当しているアリヤート・ミリーです~。それでどのようなご用件でしょうか~?」
「あの、物件を借りたいのですが・・・」
「わかりました~。ちょっと資料を取ってくるのでお待ちください~」
「分かりました」
そう言うとアリヤートはまた奥に戻っていった。
「随分と不思議な感じの人だな・・・」
「なかなかの美人だったね・・・」
「てかこの世界来てから美人と良い人にしか会ってない気がする」
「そうだね」
すると、奥の方から何かが崩れ落ちた音と同時に、アリヤートの悲鳴が聞こえてきた。
「「大丈夫か(な)・・・?」」
3人は少し不安感を抱きながらアリヤートを待った。
暫くして、埃まみれになったアリヤートが資料を抱えて戻ってきた。
「お待たせしました~、これが各物件のしry・・・きゃ!」
3人に話しかけながら歩いてきたアリヤートは今度は何もない所でつまづき転んだ。
そして持っていたファイルを投げ飛ばし、卓也めがけて一直線に飛んできた。
「バシッ!・・・ありがとうございます」
真横に立っていたこうきは、飛んできた資料を卓也に当たる寸手の所で受け止め、何事もなかったかのように資料を読み始めた。
「・・・生きた心地がしなかったぜ・・・」
卓也は、心臓を軽くなでながら言った。
その後アリヤートから何度も謝られた。
そしてこれを機にアリヤートと仲良くなった。
「それじゃあ、ここを貸してもらえますか?」
「分かりました~」
卓也たちは、首都の近くにあり、港にも近い二階建ての小さな空き家を借りた。
そしてついでに、この国の国民にもなった。
「にしてもあんないとも簡単に家が借りられるとは・・・」
「でも住めるのは1週間後だけどね」
用件を済ませ、役所からでてそんな会話をしながら車に乗り込む。
「さて次はいよいよ・・・」
「首都に行く・・・!」
3人は顔を見合わせ、ニヤリと笑った。
キーを回しエンジンがかかり、車は首都ゴルバトゥーダへ向けて走り出した。
ーーー伊404 格納庫内ーーー
「フンフンフン♪」
格納庫内に、春樹の鼻歌が響く。
何かを作っているようで、手には工具が握られている。
そして、工具が向けられている方には、小さなロケットの様な筒が横たわっていた。
「よし!完成じゃ!」
『何ですかそれ?』
「これは宇宙から情報を集めるための衛星じゃ!これが上がれば・・・フフフ」
春樹はいたずらをする小学生のような笑みを浮かべていた。
「よし!明日の10時に打ち上げるぞ!」
『了解です!無事に上がるといいですねマスター!』
「そうじゃな!ハッハッハ!」
格納庫内に、春樹の笑い声が響いた。
場所はビロテノス王国から南に5000km離れた海域。
周りに航行する船は一隻もいなかった
はい!
また新たなキャラが出てきました!
次回は・・・まさかの脅威が・・・!
意見感想があればどしどし書いてください!
今回も、読んで頂きありがとうございました!