iron whale   作:セメント工房

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先週の放課後、部活が終わって音楽室を閉めようとしたら音楽室に鳥が入ってきました・・・



12話 この国の神話が滅茶苦茶すぎる・・・

ーーーコセラーム村 村長の家ーーー

午後、村長の話を聞きながら午前を過ごした卓也ら一行は今日は村長の家に泊まることになった。

「本当に泊めさせて頂いてよろしいのですか?」

「なぁに、孫を家に泊めてあげるのは当然じゃろ」

卓也はマコリットの心の広さに少し困惑していた。

しかしマコリットはフォッフォッフォと愉快に笑っていた。

「しかも、ここから隣の町までは馬車を使っても一日はかかるぞい」

「そ、そうなんですか・・・」

(僕たちの車でおよそ半日かかる位かな?)

こうきはマコリットの話を聞いて卓也に囁いた。

(そうだな・・・もしかしたらそんなにかからないかもな)

(違いないね)

そう言ってこうきは微笑み、出されていたコーヒーをすすった。

 

 

 

暫く村長と会話をしていたが村長がある事を言ってきた。

「そういえば今日は村に占い師が来ておる。丁度よい!お主らも今後の旅について占って貰うとよいぞ!」

「そうなんですか。う~んどうしよっか、卓也」

マコリットの提案にこうきは少し悩み、卓也に意見を求めた。

「そうだな・・・。正直占いなんて当てにしてないしな・・・」

「なぁに心配はいらんぞ。何せすごい当たると評判じゃからな」

そう言ってマコリットはフォッフォッフォと笑った。

「う~む。それじゃあ一回占って貰うか・・・」

「そうだね。もしかしたら色んな事がわかるかもしれないしね。ね、ベレッタ」

唐突にふられたベレッタは、お茶と一緒に出されていたお菓子を頬張りながら頷いた。

「よし!それじゃあ早速行こうか!ついて来てくれ」

そう言ってマコリットは出かける準備を始めた。

 

 

 

 

マコリットと家を出て、村の奥の噴水のある広場についた。

そこにはいかにも占いしてくれそうな紫色のテントが張っていた。

「さぁ中に入ろう」

マコリットは遠慮なしにそのテントに入っていき、卓也らも取り敢えず続いて入った。

 

 

 

中は薄暗く、しかし意外に広く、テントのど真ん中に小さな机があり、その上に水晶玉らしき物が紫色の座布団の上に置かれていた。

その水晶玉を眺めるように、いかにも占い師っぽい恰好をした人が座っていた。

そしてその光景を見た卓也とこうきは内心でこう思った。

((う~わ胡散臭!))

 

そんな卓也たちの第一印象をスルーし占い師は二人を椅子に座るように手招きしてくる。

その誘いに一応従い、三人は水晶玉の前に並べられた椅子に腰かけた。

「それじゃあわしは外で待っておるからな」

マコリットはそう言うとグーサインをだしてテントを出て行った。

「それでは早速始めましょうか。私はサルマーと申します」

「卓也です」

「こうきです」

「ベレッタです・・・」

卓也は少し笑いながら、こうきはちょっと不安そうに、ベレッタは怯えながら名乗った。

「では始めましょう」

そう言うと変な呪文を唱え始めた。

 

 

 

「はほえうじかきゅつくえつあ・・・・」

 

 

 

 

(((う~わ!大丈夫かこの人)))

何も知らない人からすれば適当にしか聞こえない呪文を唱え始めたサルマーに三人は笑いを堪えるのに必死であった。

しかしそんな事は知る由もなく、呪文は唱え続けられる。

 

 

「らくしえろけああくえらる~・・・・・うるるるるぁぁぁぁぁあ!」

 

唸り声をあげて呪文は終了し、サルマーは卓也とこうきにこんなことを聞いてきた。

「・・・あなた達二人は特殊能力をお持ちですね?」

「え?いえ・・・」

「持ってないですけど?」

するとサルマーは驚いたような口調で話し始めた。

「もしや、お気づきじゃないようですね。あなた方二人は特殊能力を持っています」

そう言うと卓也を指さした。

「あなたの能力はコントロール・・・」

そして今度はこうきを指さし、

「あなたの能力はマーシャルアーツ・・・」

と言った・・・

 

 

 

 

(なんか・・・)

(すごい事言われるのかと思ったけど・・・)

 

 

((ただ得意な事をそれっぽく聞こえるようにしただけにしか思えねぇ!(ない!))

 

 

二人は笑いを堪えながら心の中でそう思った。

しかし、ベレッタは驚いていた。

「卓也とこうきって・・・能力者だったんだ・・・」

そしてまたサルマーは口を開いた。

「そしてあなたたちのすぐそばにもいます。とても身近な存在・・・」

二人はもう察してしまった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

((絶対春樹だ・・・))

 

 

 

 

 

 

 

「能力はクリエイト・・・」

 

 

((やっぱりだぁぁぁぁぁぁ!))

 

 

やはり笑いを堪えるのに必死になっていた・・・。

そんな二人とは違い、ベレッタは唖然としていた。

「こうきと卓也だけじゃなくて・・・春樹もだったんだ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー伊404 格納庫ーーー

「へっくしょい!」

『どうしましたマスター?』

「あぁセレナよ・・・二人が私がいなくて寂しがっているようじゃ・・・」

『・・・そうですね・・・』

春樹は格納庫内で一人、ビニールシートに覆われていた物体をいじっていた。

「さて、これが完成すれば色々できるぞ!」

 

彼以外誰もいない深海に彼の笑い声が響いた・・・

 

 

 

 

ーーー場所は戻って 占い師のテントーーー

「この能力が三つ集まっている・・・これはもしや・・・」

突然占い師はぶつぶつ言いだした。

二人はもう嫌な予感しかしていなかった。

((どうせろくな事ねぇだろ(ないと思う)・・・))

そしてベレッタは恐る恐る聞いた。

「一体その能力は三つ集まるとどうなっちゃうの?」

その質問にサルマーは答えた。

「恐らくこの国を大きく揺るがすことになるだろう。しかしそれは良くも悪くも運次第です。取り敢えずここからは村長を交えて話をしましょう」

そう言ってサルマーは村長を呼んだ。

「村長。少しお話があります」

すると、マコリットがテントに入ってきた。

「どうしたんじゃ?」

「少し重要なお話が・・・」

「重要な話か・・・」

するとマコリットの表情が険しくなった。

((よほどこの人を信用してるんだな・・・))

そしてベレッタの表情は不安に満ちていた。

マコリットが席に着くと、サルマーは話し始めた。

「まず、あなた方はこの国に古来から伝わるサビット神話をご存知でしょうか?」

「いいえ」

「僕も知らないです」

「私も・・・」

3人は知らないと答えた。

「わしは知っておるぞ」

この中で唯一マコリットだけが知っていた。

「そうですか。それではまず神話について話しましょう」

そう言ってサルマーは神話に関して話し始めた・・・

 

 

~~~以下神話内容~~~

この国にはかつて三人の神がいた。

一人は戦いにまつわる神。

一人は操りの神。

そしてそれをまとめる創造の神がいた。

戦いの神はコウェル。能力はマーシャルアーツ。

操りの神はタリアー。能力はコントロール。

そして創造の神はハミリー。能力はクリエイトだった。

三人の神はこの土地を守っていた・・・。

 

しかし、ある時に邪神マレーヌが攻めてきて、この国を侵略しようとした。

その時にハミリーは明らかにこの世の物と思えないような技術を使い、船を造った。

それに、勇者三人が乗り込み、マレーヌに戦いを挑んだ。

船はタリアーが操作し、コウェルが勇者と協力して攻撃してマレーヌを倒した。

 

 

それ以来三人の神は様々な災難からこの国を守っており、今でも国民によって崇められている・・・

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~

「・・・という訳です」

 

 

 

 

 

((なんかめっちゃ作り話感あるんですけどぉぉぉぉぉぉぉぉ!!))

二人は話の内容が自分たちの境遇に似ていると感じ、唖然としていた。

「・・・つまりわしの孫たちは神の様な存在という訳じゃな?」

「はい。そう考えるべきですね」

そう言われマコリットはしばらく目を閉じて考えた。

そして暫くして目を開けるなり立ち上がり、テントを出た。

(ねぇ、マコリットは何をするつもりなの?)

こうきは少し不安そうに聞いてきた。

(分からない。でも万が一の場合は・・・)

そう言って卓也はポケットに突っ込んできた拳銃のグリップに軽く手を添えた。

しかし警戒する必要は微塵もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「村民のみんなぁぁ!聞いてくれぇぇぇぇぇ!!」

突然マコリットは広場で叫びだしたのである。

そして、その叫び声を聞いて村人たちが集まって来る。

ある程度集まると、マコリットはそこにいる全員に聞こえるように話しだした。

「今日ここに神様が訪れた!!これは喜ばしい事である!!そこで突然ではあるが、祝福祭を行おうと思う!!突然で本当に申し訳ない!!」

そう言ってマコリットは深々と頭を下げた。

 

村人たちは唖然としていた。

しかし、三秒もすれば全員目を見開いて歓声を上げた。

「村長さん!!そんな事で頭なんか下げんといてくだせぇ!喜ばしいことじゃぁないですかい!」

「そうですよ!準備くらいすぐに終わりますよ!」

「そうだぜい!」

「さぁ宴だ宴!!」

「神様ってどんな方なんでしょう!?」

「顔立ちの整った殿方だと嬉しいわ!!」

「コウェル様やタリアー様やハミリー様のような方でしょう!!」

「あらやだ!今日おめかしするの忘れてたわ!!」

「あら!私もだわ!」

「ねぇねぇ!神様ってどんな人だろう?」

「きっとコウェル様みたいにかっこいい人だよ!」

「違うよ!きっとタリアー様みたいな落ち着きのあるかっこいい人だよ!」

ワイワイガヤガヤと村人たちは活気に満ち溢れていった。

「さぁて!村長や神様のためにひと働きするか!」

『『『『おおおおおおおおお!!!』』』』

村人たちは着々と祭りの準備に取り掛かった。

 

 

「みんな・・・。ありがとう・・・」

 

 

 

しかし、その状況を真っ青な顔で見ていた人物が二人いた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

((ギィヤァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

卓也とこうきの心の中は、ム〇クの叫びのようになっていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんか書いているうちに長くなってしまいました・・・


次回、のんびり過ごすはずだったのに、たった一人の占い師により神様扱いされることとなった卓也とこうき。二人は半強制的にお祭りに参加させられる!!

意見感想があればどしどし書いてください!

読んで頂きありがとうございました!

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