iron whale   作:セメント工房

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11話 コセラーム村?覚えにくい名前だな~

山と山の間から太陽が顔を出す頃、山間を走る一本の道をジープが走っていた。

卓也は一晩中運転して疲れたのか、ハンドルを握ったまま、大きな欠伸をした。

「ふわぁ~」

「むにゃぁ・・・」

欠伸で起きたのか、後ろの席で寝ていたベレッタが起きた。

「おはよう、ベレッタ」

「おはよう、卓也。ずっと運転していたの?」

「そうだよ。でないとこんな所まで来れないだろ」

 

 

卓也とベレッタが会話をしていると、今度はこうきが起きた。

「・・・おはよう」

「おはよう、こうき」

「もしかしてずっと運転してたの?」

「今さっきその話してたんだけど・・・そうだよ」

「少し休んだら?その間僕が運転するよ」

「できるのか?」

「うん」

「本当か?」

卓也は疑うような目でこうきを見た。

「うっ・・・」

「はぁ。気持ちはありがたいけど出来ないのなら無理しなくていいよ。そっちのほうがかえって危険だ」

「ごめん・・・」

「でもさすがに疲れてきた。どっかで休むか」

「そうだね」

「賛成!」

 

ジープは休める所へ向けて走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くすると、看板が見えてきた。

「何だあれ?」

卓也がぼやいた。

そして看板の前で車を止めた。

「何だろう?この先に何かあるのかな?ベレッタ、何て書いてあるか読めない?」

「え~っと、こ・せ・ら・-・む・む・ら・・・コセラーム村だって」

ベレッタはスラム街の産まれで、読みは簡単な物しかできない。

「ごめんね、無理させて。村か・・・泊めてもらえないかな?」

「どうだろう。可能性はあるけど、いい人だとも限らないしな・・・」

「そうだな・・・」

「でも情報収集がてら行ってみようか」

「そうだな。でも・・・」

「どうしたの?」

「車で突っ込んで大丈夫かな?」

「いいんじゃない?」

「でも私が知ってる限り、こんな乗り物馬車以外に見たこと無いよ」

「う~む。取り敢えず茂みに隠しておくか」

そう言って、車を茂みの奥に隠しその上に草などをのせた。

車は緑色をしていたため、ぱっと見た感じ分からなくなった。

「完璧だね」

「あとは服装だが・・・これでいっか」

「そうだね」

「よし!いこう!」

「「おー!」」

(なんだこのノリ・・・)

 

三人は車から降りて道に戻り、歩き始めた。

卓也は鞄の中に拳銃を入れておいた。

 

 

 

車から降りて約十分、村に着いた。

村の入り口には看板が立っており、コセラーム村と書いてあった。

中に進むと、道は石畳みで舗装されており、あまり広くはないが、車が二台通れる位はスペースがある。

建物は木でできていて、家と家の間隔はそれなりにあいていた。

そして村人がちらほらといる。

 

さっそく近くにいたおじさんに話しかけた。

「こんにちは。すみません、ちょっとお話聞かせてもらってよろしいですか?」

卓也はおじさんに笑顔で聞いた。

「こんな村に若い少年がどうしたのかね?」

「あの俺たち旅をしていまして、たまたまこの村にたどり着いたんで、この国について話を聞きたいなーって思いまして・・・」

「ほほう、つまり少年たちはこの国の人では無いと?」

「はい~。のでお話を聞かせてほしいと・・・」

「ほっほっほ。面白い。わしで良けりゃ、話してやろう。所で、お主ら見慣れん格好をしておるが・・・どこから来たんじゃ?」

「この国の反対の国です」

(正確にはこの世界の反対かな?嘘は言っていない!)

「はたまた面白い事を言うの~。いいじゃろう。ついてきなさい。わしはこの村の村長のマコリット・ジュモスじゃ」

(((いきなり村長と出くわしたー!((出会っちゃったー!)))

「俺は卓也です」

「僕はこうきです」

「ベレッタです」

「卓也にこうきにベレッタか。うむ!覚えたぞ!お主らが来た事を歓迎するぞ!」

そう言ってマコリットは手を差し出してきた。

卓也も反対の手を差し出し、握手を交わした。

その後、こうき、ベレッタの順に握手を交わした。

「取り敢えず立ち話も何じゃ。ついてきなさい」

3人は、マコリットの後をついて行った。

マコリットについていくと、いろんな村人とすれ違った。

その度に村人から色々聞かれたり、歓迎されたりした。

するとこうきがひそひそと話しかけてきた。

(なぁ、これって歓迎されているんだよね?)

(あぁ、多分な・・・)

(これからどうなっちゃうんだろう・・・)

(さぁ?まぁ最悪は、使いたくは無いがこれで・・・)

そう言って鞄を指さした。

こうきはごくりと唾をのんだ。

(できればそれは避けたいね)

(そうだな・・・)

そんな会話をしていると

「ほれ。着いたぞ、ここがわしの家じゃ」

目の前には木で作られた大きな家があった。

「さぁ、入って入って」

「それでは失礼します」

「お邪魔します」

「お邪魔します・・・」

中は広く、木の香りが漂い、安心できるほどの快適さだ。

「なかなかいい家ですね」

「そうじゃろう!なにせわしが十年かけて建てた家じゃからな!」

「すごい落ち着くね!」

「そうだね~!」

こうきとベレッタもさっきの緊張はどこへやら、はしゃいでいた。

「まあ取り敢えず、そこの椅子へ掛けてくれ」

そう言って、円形の机を囲むように配置された椅子へ三人を案内した。

そして三人は、マコリットを中心にして卓也、こうき、ベレッタの順に座った。

「さて、何から話そうかね?」

「では、さっきから気になっていたのですが、なぜ僕たちがこんなに歓迎されているんですか?」

「ああ、それはじゃな・・・」

そう言ってマコリットは話し始めた・・・

 

 

 

 

 

 

つまりこうだった・・・

この村は過疎化が進んでおり、若い人(0~30代くらいまで)の人が少なく、村人150人くらいに対して10人くらいしかいないので、なんとか村おこしを行っているが、人は一向に来ずここ数年は訪れる人すらいなかったらしい・・・

 

 

 

 

 

「・・・という訳なんじゃ」

「それで数年ぶりの来客が俺たちってわけですか」

「何せ場所も山間でお世辞にも便利な場所とも言えんからの~」

「大変ですね・・・こんなに良いところなのに・・・」

「さて、ほかの質問は無いかね?」

「では、この国についてお話を・・・」

「いいじゃろう」

 

 

 

 

 

「・・・てな感じじゃ」

「なるほど~」

マコリットの話である程度この世界について分かった。

 

ーーー以下こうきメモーーー

まずこの国の今の状況は場所によって貧富の差ができ、自分たちが上陸した場所は貧しい人たちが集められた場所らしい。そしてここの村を境に普通位の人たちがちらほらというわけ。首都のゴルバトゥーダは王族の人が多く、城下町は特に栄えている。

軍については、現在は海軍だけらしく、空軍はそもそも存在しない。そのかわり竜騎士団というのがあるらしい。なんでも空中から竜で奇襲するんだとか。そして肝心の海軍は、魔道戦艦というのが主流らしい。そして潜水艦も在しない。そして何より機関が蒸気機関と魔道機関というものを搭載している。しかし、僕たちの能力には敵わない。そして陸軍の代わりに騎士団がある。つまり、技術は進歩していない。しかし、電話はある(しかし昔から進歩していないらしい)。

車も馬車くらいしかない。

そして能力者や魔術師がいる。

ーーーーーーーーーーーーー

「・・・という訳じゃ」

「ほほう・・・面白い!」

「ならばよかじゃ」

そう言ってマコリットはフォッフォッフォと笑った。

「ところでマコリットさん」

「ん?どうしたんじゃ?」

「実は一つお願いがございまして・・・」

「どれどれ申してみよ」

「実は宿を探しておりまして、それでどこかに宿が無いかさがしてるんです」

「フォッフォッフォなんだそんなことか!ならば今日一日わしの家で休むといい!」

「本当ですか!」

「やったー!」

「よかったー!」

「でも僕たち無一文なんですよ」

「なぁにかまわんさ!何なら金だってやるわい!何せ今日からお主らはわしの孫じゃい!」

「は、はぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして俺たちは宿を見つけ、金銭的な問題も解決するのと引き換えに

 

 

 

 

 

 

 

マコリットの孫となってしまった・・・

 




はい!
上陸して早々味方が増えました!
さあこの後どうなるのやら・・・
意見、感想があればどしどし書いてください!

読んで頂きありがとうございました!

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