もうすぐ山本の入ファミリー試験が始まるだろう。モブの私には関係ないことである。
まぁこの前の休みに山本武に会ったことは焦ったけどな。それに普段のお母さんはボーっとしてるのに、あそこで面倒な反応をするとは思わなかったのだ。ちなみにお母さんの暴走を止めてくれたのはお父さんだった。締め切りがあって疲れて帰って来たはずなのに、私の姿を見て助けてくれたのだ。
お父さんは凄いと思う。普段は放任してるのに、大事なところでは必ず怒る。兄があまりにも暴走した時も怒るしな。怒るといっても「コラ、ダメだよ。サクラが嫌がってる」と言い聞かせるタイプである。恐らく私はお父さんを嫌うということはないだろう。暴走した時に、助けてくれる人がいなくなるからな……。お父さん、兄が帰ってくるまでに仕事を終わらせてくれないだろうか……。切に願う。
そもそも山本武はなぜ私に話しかけてくるのだ。山本武が話しかけてこなければ、お母さんが暴走することはなかったはずだ。彼との好感度は最低のはずだが……。彼の思考回路がわからない。その前に私は彼に興味もないしな。だから毎朝私に挨拶しようとするな。死亡フラグが立つ。まぁ話しかけるなオーラを出し、適当にあしらってはいるが。
簡単に彼に嫌われる方法はないのだろうか。沢田綱吉をいじめれば嫌われると思うが、それはそれで死亡フラグが立つ。困ったものだ。
いい案が全く思い浮かばない。そのせいで彼から逃げるために早く家に帰る方法しかないのだが、今週は委員会の活動があり帰れなかった。全く、委員会の仕事は帰宅部に押し付けられるはおかしいだろ。帰宅部も部活動じゃないのか?帰宅「部」なのだから。活動内容は真面目に早く帰ること。うん、立派な部だ。私は間違っていない。
内心グチを言いながら職員室でカギを受け取り図書室に向かった。そう、私は図書委員なのだ。活動のほとんどは貸し借りのチェック。他にも本を探すのを手伝うなどがあるが、そこまで面倒ではない。理由は一週間単位で交代で、私は7月になって初めて当番になったのだ。さらにいえば、前期と後期で委員のメンバーがかわる。つまり活動日がかなり少なく、今週が終われば夏休みに後一週間だけ学校へ行けば終わるのだ。クーラーもきいてるし悪くない。本は嫌いじゃないしな。まだ当たりをひいたほうだ。
私はマンガしか読まないと思っていただろ。失礼である。これでも月に2冊ほど読むのだ。ただ、かなり偏ってるのは自覚している。私は基本、推理小説しか読まないからな。ちなみに私は犯人が誰か推理しながら読む派だ。だから犯人があからさまなのは好きじゃない。最後まで犯人がわからないのがいい。まぁ好みの問題だな。
ただ、この謎を解きたいとは思わない……。真実は1つかもしれないけど、これはどうでもいい。もちろん、じっちゃんの名にかけたいとも思わない。
なぜ、彼が図書室にいるのだろうか……?
確かに、このタイミングで彼がいるのはおかしくはない。だが、私は彼が本に興味があるとは思えない。まぁ彼が眠ってるところを見ると当たっているのだろう。そもそも私がカギを開けたのになぜここにいるのだ。恐らく日当たりが良くて寝てしまって気付かれずカギを閉められたのだろう。……バーロー、解いてしまったじゃねーか!!
……気を取り直すことにする。
何度もいうが、私は原作キャラと関わりたくはない。彼が自力で起きるまで放置したいが、いびきがうるさい。今は私以外には誰もいないが、誰かが来た時に委員の私が起こすことになるだろう。つまり、今起こすか後で起こすかの違いである。
恐らく彼と少しぐらい関わっても死亡フラグが立つ可能性が低い。だから起こしてすぐ離れれば問題ないと思うが、私は原作とかを抜きにしても、もの凄く彼とは関わりたくはない。
理由はウザイ奴だからだ。
私が得た知識で思ったのはこのキャラはウザイの一言だ。聞いてもいないのにマフィアの話をする。とにかく、うるさい。そして、極めつけはバカ。獄寺隼人が見るたびうぜーと思ったシーンがあったが、それは私も思った。今から来てボコボコにしてくれないだろうか……。
「ぐがああああ」
いびきもウザイと思ってきた。雲雀恭弥に通報したいぐらいだ。……通報してもいいかもしれない。彼は風紀を乱して迷惑していると伝えれば躊躇なく咬み殺すだろう。雲雀恭弥には関わりたくないので草壁哲矢を探そう。そうと決めればカギを閉めるか……。
「……んーーー!!」
「チッ」
思わず舌打ちをしてしまった。起きるなよ。そして起きてすぐうるさくてウザイ。
「あれ? あれ? あれ?」
黙れ。ここは図書室だ。静かにしろ。
「うそっ!? オレ、寝ちゃった!? やばいじゃん! やばいじゃん! ミーコとデートの時間! ん? もしかして起こしてくれたの? サンキュー! すっげー優しいー! もしかしてオレのこと好きなの? でもオレはミーコっていう彼女いるから諦めて じゃねぇー」
……今日中に匿名で雲雀恭弥に手紙を出したのは言うまでもないだろう。
今回のネタはタイトル詐欺?
引っかかった人がいれば嬉しいですね
正直、ランボは子どもだしウザイとは思えない……