クラスメイト K [本編&おまけ完結]   作:ちびっこ

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はる

 今日は休みだ。休みの過ごし方は人それぞれだろう。私の場合はマンガを読む。……休みじゃなくても読むけどな。ちなみに宿題はテスト明けでない。素晴らしい。……夏休みの宿題が待機してるが、それは忘れよう。考えたくもない。

 

 言っておくが、マンガを読むだけではないぞ。他にも休みの日にはすることがある。

 

「今日の晩ご飯は何食べたい?」

「豚のしょうが焼き」

 

 豚のしょうが焼きは夏バテ対策には欠かせない。まぁ想像しただけで涎が出る私は夏バテにならないと思うが。私の返事を聞いたお母さんが豚の薄切りを買い物カゴに入れた。私の希望を叶えてくれるようだ。

 

 買い物カゴで気付いたと思うが、私は今、お母さんと買い物に出かけている。土日のどちらかは必ず一緒に出かける。理由はいろいろだ。お母さんが目を離した隙に買い物カゴにお菓子を入れたり、帰りにケーキをねだったり、ソフトクリームをねだったり、まぁいろいろだ。

 

 ……おこづかいでは足りないんだ。マンガ代で全て消えてしまうからな。それにお母さんも私がいる時に重い物を買う。手伝い代と思ってるのだろう。……兄には頼むだけで買ってくれるのだが、フランスに留学中でいないし、何より相手するのが面倒だからやはりお母さんにねだるのが1番だと思う。

 

「サクラちゃんはこのアメ好きよね」

 

 お母さんはレジを通して気付いたらしい。入れた私が思うのは変だが、もう少し警戒したほうがいい。

 

 ちなみにこのアメを選んだ理由は、先週はケーキをねだったから今回は安いアメを選んだだけだ。好きなのは否定しないけどな。1日1個は必ず食べるしな……。だが、このアメは少し特殊だが普通の味だ。たこわさび味やカキフライ味ではない。そもそも棒付きじゃない。

 

「お母さんにも1つちょうだいね~」

 

 お母さんのお金で買ったんだ。私に聞く必要がないと思いながら許可する。まだ部屋にも残ってるはずだしな。

 

「何味があるんだった?」

「オレンジ、イチゴ、レモン、メロン、ブドウ、青リンゴのどれか」

 

 なぜどれかという曖昧な言葉を使ったかと言うと、このアメは食べてみないと味がわからないからだ。本当に見た目ではわからない、ふしぎなアメだ。ちなみに商品名は大空キャンディだ。……青リンゴが藍色を示してるわけじゃないよな?それは無理があるだろう。深読みしすぎだな。それにリンゴじゃなくパイナップルだ。

 

 よく考えれば引越してからお母さんと一緒に買い物を何度したのだろう。この街に慣れるために引っ越してすぐはほぼ毎日一緒に出かけたはずだ。その間に原作キャラと関わることはなかった。もしかすると私は警戒しすぎかもしれないな……。

 

「よぉ、神埼。手伝いか?」

「…………」

「まぁ! サクラちゃんのお友達!? それも男の子!」

 

 前言撤回。危険だ。この街は危険だ。後ろから急に声をかけてくるな。気配を消していたのかもしれない。生まれながら殺し屋の力をここで使うな。そして、お母さん。なぜ期待した目で私を見るんだ。その後に世話になってると頭を下げて、オレの方こそ世話に……と話しているが、私は世話になった記憶もないし、世話をした記憶もない。だから自己紹介しあうな。

 

「お母さん、彼とは別に友達じゃないから」

「神崎……」

 

 事実だろ。彼の中ではクラスが一緒になるだけで友達になるのか?無意識に死亡フラグを振りまくな。……考えるとそれはないな。クラス全員がボンゴレ狩りにあえば、黒川花も死ぬからな。

 

「サクラちゃん!」

 

 お母さんがいきなり私の名前を叫んだ。恐らく私の友達じゃない発言に怒ってるのだろう。しばらく甘いものは禁止かもしれない。……全くいい迷惑だ。軽く怒りを覚えたが、後回しにする。急いでこの場から去らないといけない。甘いものを禁止レベルでは済まなくなる。お母さんと私が死んでしまう未来が来ることを待つことになってしまう。

 

「……知らない間に大きくなって……」

「お母さん……?」

 

 なんで泣きかけてるんだ!?怒られると思っていたがこれは予想外だ。それに大きくなってとはどういうことなのだ。

 

「……お母さん、違うから」

「武君! いつでも家に来てもいいからね!」

「あざっす!」

 

 ……勘違いしてるようだ。友達じゃない=特別な関係。そして、山本武も返事をするな。絶対、意味をわかってないだろ!!

 

 これは私の言い方が悪かったのか?お母さんの天然が悪いのか?うん。それはもういい。後で何とかする。とにかく急いでここから去ろう。

 

「……重いし早く帰ろう」

「神崎の家でいいのか? 持つぐらい手伝うぜ」

「大丈夫だ!!」

「てれちゃって……サクラちゃん可愛い!!」

 

 うん。お母さんは黙っててくれ。私がイラッとして話が進まない。

 

「武君ありがとう。でも今日は気持ちだけもらうわ。サクラちゃんが怒っちゃったからね」

「ん? 神崎……怒ってるのか?」

「私のせいなのよ」

 

 間違ってはないが、話がかみ合っていない気がするな。だが、この場はこれでいい。逃げた後で何とかすればいいからな。黙っててくれと思ったのは撤回しよう。

 

「お母さん、帰るよ」

 

 無理矢理引っ張りながら山本武から去った。お母さんは私に掴まれてる逆の腕で山本武に手を振ってる。……うん。お母さんは何もしないでくれ。

 

 

 

 

 しばらくすると、お母さんは手を振るのをやめた。恐らく山本武の姿を見えなくなったのだろう。

 

「お母さん、本当に彼とは何も無いから」

「わかってる~。わかってる~」

 

 絶対わかってない。断言できる。

 

「後、名前で呼ばないで」

 

 名前で呼ぶとか、親しいと公表してるものだからな。死亡フラグがたってしまう。

 

「……かわいい! やきもち!? やきもちなのね!!」

 

 ……判断を間違えた。今はお母さんに何も言ってはいけなかったようだ。もう黙っておこう。

 

「次は山本君って呼ぶわね。……サクラちゃんに春が来たのね~」

 

 もう春はとっくに終わってるぞ。今は夏だ。まぁもうすぐハルは来るけどな。




母のテンションが高い……
まぁこれを酷くしたのが兄だからしょうがないww

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